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就活失敗して頭に来たので独立したが就活の方が楽すぎて草ww②

「鳥部さん、パナイっすよね!」

一緒に働いていたジャニオタの女の子が
自分に向かって、声を掛けた。

自分は褒められたことよりも、
やり切ったことへの満足で、

その場で、「せやね」と
返事を雑にしてしまった。

今日は、いつもと違う。

普段のドームの試合終わりの
お客様と違って、

昼間から色んな国籍の方が、
店舗の中や外に沢山いる。

その理由は二つ。
1国内でも認知度の高い音楽ドームコンサート開催
2旅行ツアーの重なり(東南アジア系)

だから、売上が上がったというのは、
安直な答えに過ぎない。

なぜなら、お昼の時点で開店して、
外にウジャウジャ人がいるのに、

自分が担当しているグッズ売り場は
誰も来店してくれない。

「これだけ外に人がいて、
今日1日の売上が平日と同じは、

バイトとは言えど、
流石にマズイな・・・」

この文章を見ている人は、
別にそんなことバイトが気にしなくても良くね?と
思うかもしれないが、

当事者になれば、話は違う。

世の中何でもそうだ。
第三者は責任も負わないし
暇人だからあれこれ言う。

当事者同士は利害関係の中に
いるので、利害で忖度するのは
当然だ。

しかし、この時の自分は、
特段忖度する相手はいなかった。

可愛いあの子にアピールしよう!とか
店長に自慢して、飯でも奢ってもらおうとか

そんなことは微塵もない。

「優秀で何でもこなせる」と思っている自分が
今日の売上次第では、ポンコツ確定という烙印を
自分自身が押してしまう。

環境のお膳立てがあって、
結果が出せないのは、
究極にダサい。

「よし!今日は、土日で
マネージャーもおらへんから、
売上にコミットするために
あれこれ好き勝手にやってみよう!」

そう決めたのである。

まずは、検討や予測、仮説を
レジ前のメモに乱雑に書く。
・客数はおそらく少ない(ある種、周りに人が多くても期待しない)
・一人当たり客単価は高く(セット売りorお土産複数人買い)
・ニーズよりも興味で買う(音楽ファンやブランドディング寄りの企業の為)

・お声掛け(グッズとレストランのレジは一箇所の為、積極的に応援)
 ・ニコニコ気さくな接客をする(アパレルではなく、ブランドを売る)

書いて、行動して、チェックする!
できたら、自分を褒める!

そうして、夕方頃には、 50万を超えるペースで順調も、
ここでもう一踏ん張り欲しい。

そして、退勤前1~2h前に
英語圏の観光団体のお客様が 
来店して、一気にラストチャンス。
お客様からお願いされたものに、
予めオススメ商品をお客様預かりした
ものに入れておく。

お客様には、会計時に1点1点、
「この商品はいらないわ!」と言われたら、

了承の上、商品を外す。 

いわゆる、「抱き込み会計」という戦法だ。

一見するとそれってクレームに
なり兼ねないの?と聞かれるが無問題。

会計上は、お客様が自分で納得して
買っているのである。

さらに、こちらもちゃんと商品点数と
名称を確認している。

現に、この日以降で、
この団体のお客様からのクレームは 一件も入っていない。

この戦法で、どんどんオススメ商品を
外国人に適応させると売れる売れる。

日本観光なんて、状況次第では
もう2度と来れないかもよ!という

煽り文句もガンガン英語で伝える。

「そうね!あなたの提案通り、
息子や息子の友達の家族にも買って行くわ!」

そんなお客様がどんどん、
お買い上げ頂くことができて、

結果、一人当たり単価が爆増して
売上も70万円台を越えたのである。

そして、退勤する時に、 
夜の部と入れ替わる際に、

交代する女の子から
声を掛けられる。

「鳥部さん、パナイっすよね!」
「せやね。(俺よーやったわ!w)」

クールな感じに周囲が見えていたとしても、
中身は小学生みたいな人格であることに違いない。

THE 単純。

いつもの帰り道と違ったのは、
“疲れ”が心地良かったことだ。

“決める”

これこそが、すべての土台にある。

そう気づいたのは、

これから始まる苦しみながらも
独立した道の道中で、

その時からしばらく後になる。

これから自分がどういう人生を
20代で歩むのか。

長く険しい山道は、

気楽な大学生には見えていなかった。



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