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対策上手な女性の常識② 女性の薄毛・抜け毛の2大原因と「不調のタイプ」



記事執筆/監修:金子 章子/ Akiko Kaneko, MD, PhD: 日本形成外科学会専門医、医学博士、女性の薄毛・抜け毛対策の治療専門病院・ボナディアクリニック院長👉 臨床データに基づき作られた、女性の髪対策 Selfcareプログラム「ブロッコリーSprouts」開発

ブロッコリーSprouts


 
こんにちは。いきなりですが、こちらの記事はお読みになりましたでしょうか?やっぱり、大事ですからね・・。もしまだでしたら、私たち女性の髪の成長とヘアサイクルが、私たちの体(髪以外)から、いかに影響を受けるものか、まず知っておきましょう。

■ おさらい ■  「女性が薄毛・抜け毛対策する時に、絶対知っていてほしいこと👉ヘアサイクルと女性の心と身体」

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 そして、私たち女性が、薄毛や抜け毛への対策を実行して、髪のからだもヘルシーな毎日を目指したいとき、ヘアサイクルの次に理解したいのは、女性の薄毛や抜け毛の原因と、私たちが気付かないうちに、自分で健康的な髪を作りづらくさせてしまうライフスタイルでの、髪の不調のタイプです。

■ 女性の薄毛・抜け毛の原因の特徴は?(vs 男性の薄毛/AGA) 

男女

 男性の場合、薄毛や抜け毛の主な原因は、髪を作る場所(毛包)が、男性ホルモンのジヒドロテストステロン(Dihydrotestosterone:DHT)の影響によりミニチュア化するためで、他には、ストレス・疲労・睡眠不足・偏食などライフスタイルや加齢によって、薄毛や抜け毛が進行します。(なので、テ
ストステロンからDHTへの変換を阻害する薬理作用の、男性型脱毛症治療薬を飲んでいる男性であっても、仕事が立て込んだり、ストレスなどでどっと疲れている場合は、抜け毛が増えたりしています。)

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一方、女性の薄毛や抜け毛の原因は、複数の要因が、同時に複雑に影響しあって、しかもその時々で変わったりするのが特徴です😱。

女性の薄毛

「えぇー、こんな複雑な原因を、全部対処しないと、薄毛や抜け毛は良くならないなんて・・大変💦」と思いますよね。そうです、「〇〇さえ、使えばOK」といった簡単なものでは、本来ありません。でも・・大丈夫です💚。対策はできますよ。効率よく自分にあった対策を進めるためにも、まずは私たち女性の髪に影響して、薄毛や抜け毛につながる原因を、整理していきましょう。

■「仕方ない」原因と「がんばれば、取り戻せる」原因

仕方ない

 女性の薄毛や抜け毛は、様々な要因が複雑に影響すると考えられていますが、大きく分けると、加齢や女性ホルモンの減少など「仕方ない」要因と、日々のストレスや疲労、偏った食事、睡眠の質の低下、運動不足など「がんばれば、取り戻せる」要因の2つに分かれます。

例えば・・

① 遺伝子 vs エピジェネティクス

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「もともと、髪が細くて少ないんです。」という方もいると思います。もともとの毛穴の数や髪の太さ(髪が正常なヘアサイクルをたどって、どこまで太くなるか)は遺伝的に決まります。(なので、毛穴の数は赤ちゃんの時から増えません。ちなみに、髪の太さの平均値は、日本人よりも白人の方々の方が細めです。)

 また「母親や姉/叔母も髪が薄いから、私の髪も・・。」と、半分あきらめの気持ちの方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、肌質や体質のように、髪の変化にも遺伝的な影響はありえます。そして、遺伝子そのものは変えることはできません(=仕方ない原因)。ですが「エピジェネティクス」という言葉はご存じでしょうか?

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 私たちの体は、どの細胞も基本的に同じ遺伝情報を持っています。ですが、からだの部位によって役割の異なる細胞が出来ているわけですが、同じ遺伝情報を持っているのに、異なる細胞ができる理由が、遺伝子発現を調節するシステムがあるからです。それがエピジェネティクス

 そもそも、遺伝情報は地図の道順のようなもので、道順通りに進んだら予定通りの場所にたどり着くようになってますが、人のからだ(または人生)の進み方は、1つしかない・・という風にはなっていません。道順の要所要所に「ON/OFF」スイッチがあり、同じ地図でも、あみだくじのように色んな結果がありえます。

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 この”遺伝子発現の調節システム”は、食事やストレスなどの環境要因によってON/OFFが変化するため、髪の変化に限らず、老化や疾病にも関わっています。(=がんばれば、取り戻せる原因😃)

 ということで、遺伝子は、薄毛などの髪の変化の発症リスクのひとつではありますが、遺伝情報だけで必ずみんな、同じような髪の変化が起こってしまうわけではありません。
 もし髪にとってリスキーな遺伝子を持っていたとしても、望ましくない遺伝子発現ができるだけ進まないように、エピジェネティックな対策(=がんばれば、取り戻せる原因😃)で、回避していきましょう。

~おまけ~自分にあったエピジェネティックな対策を見つけづらい時は、髪の不調のタイプチェックをやってみると、実行しやすくなると思いますよ。👉「あなたは何タイプ?💚女性の”髪の不調タイプ”チェックで、自分にあった髪対策」

② 自然な加齢変化 vs 生活習慣が招く加齢変化

エイジング

  エイジングサインの1つとして、白髪(←老化により、髪に色を入れる細胞が働かなくなるから)とあわせて、髪が細くなったり、毛量が減るなどの変化(←老化により、髪を作る細胞の働きが落ちるので)があります。

 しかし、加齢変化のうち、遺伝子的にプログラムされた「仕方のない」加齢変化は約25%、そして生活習慣などの結果としての加齢変化が約75%と考えられています。

 ということは、髪の加齢変化に関しても、遺伝子的にプログラムされた「仕方のない」部分がある一方で、ライフスタイルの影響(=がんばれば、取り戻せる原因😃)も、結構ある!と推測できます。

③ 女性ホルモンの低下(更年期/閉経) vs ホルモン全体のバランスの乱れ

バランス

 私たちの女性のQOL(Quolity of life:単に病気や病弱の状態ではないというだけでなく、肉体的、精神的および社会的にも、すべて良好な状態かどうか)に、結構インパクトを与えているホルモン・・。女性の不調というと、すぐ女性ホルモンが話題に出てしまいますが、自分のや、自分の髪を作ってくれる自分のを良い状態に保ったり、イマイチな状態から立て直すことを目標にした場合、女性ホルモンだけにとらわれていると、目標から遠ざかってしまうかもしれません。

 なぜなら、女性ホルモンだけで、女性の髪とからだは調整されていないからです。また、しかるべき時期に必ず女性が経験する女性ホルモンの低下は、からだのシステムでプログラムされてますので、「仕方のない」要因に含まれます😅。でも、女性ホルモンの低下が気になる方も、あきらめる必要はないですよ。なぜなら、女性ホルモンの低下そのもの(数値の変化)は、自然の摂理ですので「仕方ない」ですが、女性ホルモンの低下をきっかけに経験する様々な不調は、髪に影響を及ぼす側面がありますので、ライフスタイルの工夫など、調子を整える対策は、髪の対策にもなりますので「がんばれば、取り戻せる原因😃」です。

 おまけ👉具体的な対策の参考に💚:女性のホルモン対策(ピル、更年期、エイジングも関連して)

 さて、そもそもホルモンとは、ごく少量で、体の健康維持のためいろいろな機能を調節する働きを持つ物質です。(参考:日本内分泌学会HPより改変)

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 体には卵巣以外にも、ホルモンを作る場所(下垂体、松果体、甲状腺、副甲状腺、副腎、膵臓)が複数あり、体内に存在するホルモンまたはホルモン様物質は、100種類以上あります。

 中でも、女性の髪とヘアサイクルにも関連のあるホルモンと、そのホルモンが作られている場所はというと、以下の通りです。👇

1. 下垂体 🤹‍♂️(体内のマネジメント→髪)

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 下垂体からは、複数のホルモンが出ていますが、全身の内分泌臓器に作用するので、ホルモンの司令塔ともいわれます。 ちなみに、ホルモンの司令塔である下垂体には、さらに上から指令を出す中央司令部のような存在がいまして(視床下部)、後述の副腎とともに、私たちに日々ストレスが加わったときに、体内で対処してくれています(★HPA軸)。

★HPA(視床下部-下垂体-副腎)軸:神経内分泌と自律神経の応答を調整するストレス応答の主要なプレイヤー👉詳しくは「気分のゆらぎ・ストレス対策と女性の髪」

2. 松果体 😴(眠り→髪)

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 松果体はサーカディアンリズム(概日リズム)を調節して、睡眠サイクルに重要な役割を果たすメラトニンを産生します。そして私たちは加齢とともに、夕方からの松果体でのメラトニン産生が減少してきます。👉睡眠不足/睡眠の質と女性の髪

3. 甲状腺 😀 (元気度→髪)

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 甲状腺は、首の中央にある小さな器官です。カロリーを速く燃やしたり、心臓の鼓動の速さを制御するなど、日々の元気度に関わる甲状腺ホルモンを産生します。そんな甲状腺ホルモンですが、年齢とともに、甲状腺の働きが低下したり、甲状腺ホルモンの産生が減少しやすくなります。甲状腺ホルモンが少なくなったときに見られる多くの症状は、更年期障害や女性ホルモンのアンバランス(エストロゲン優勢)の症状に似ています。

身体的症状:疲労エネルギー不足、体重増加、コレステロール値上昇など
メンタル面:うつ、記憶障害

そして、髪の症状としても、抜け毛が増えたり、髪のボリュームダウン(薄毛のサイン)があります😱。

4. 副腎 😀(活力とストレス対処→髪)

副腎

 ホルモンを作る場所の中でも、副腎はいろんな場所から情報を受け取り、影響を受けて仕事をしています。そして、コルチゾール、アドレナリン(ストレスで交感神経が活発になると分泌され血圧や血糖値をあげる)、DHEA(男性ホルモン、女性ホルモンの原料)などを産生します。中でも、忘れてはいけないのが、コルチゾール!コルチゾールは主要なストレスホルモンであり、コルチゾールは体のほぼすべての細胞に影響を与えます。

・肝臓で糖をつくり出す
・脂肪を分解して代謝促進する
・抗炎症作用
・筋肉でタンパク質を代謝する                     ・ストレス反応として放出され,血圧を上昇させる など

 1日の中で、体内のコルチゾールのレベルは変動します。早朝にピークを迎え、私たちの体が目覚める準備をし、夕方に低くなって、夜からだを休める準備をします。コルチゾールが適切に日内変動できると、朝からシャキっと活動できて、夜もぐっすり休めます。

 しかし・・、ストレスが絶え間なく続くと、そのストレスに反応して、コルチゾールも放出し続けます(元気なうちは)。そうなると、本当は夕方から減少しなければいけないコルチゾールが、夕方以降も下がらない・・ということもおこりはじめ、結果的に、血糖値が上がったり(ダイエットには大敵😱)、ぐっすり眠れなかったりします(お肌には大敵😱)。そして何より・・、疲れが取れなくなって、体は弱ります。体が自らの体が「弱っている!」と判断すると、作るのにとてもエネルギーを使う「髪」を、成長期から休止期に前倒しで移行させてしまいます。(おさらい : 「女性が薄毛・抜け毛対策する時に、絶対知っていてほしいこと👉ヘアサイクルと女性の心と身体」

 そうなると・・、抜け毛が増え、長引くと髪のボリュームも減少します💦。

 本来コルチゾールは、私たち自身を守るしくみではありますが、このようにストレス反応として、コルチゾールがあまりにも頻繁に、または長い間放出されると、私たちの髪とからだにダメージを受けます。さらに、ストレスが非常に深刻で長引いてくると、副腎はストレスがあっても、コルチゾールを放出できなくなってしまいます😨。・・ストレス反応を担う副腎も疲れ切っている状態になると・・当然抜け毛は増えますし、髪はボリュームダウンします😱。

 なので、40代以降の私たち女性は、自分に余計なストレス反応をおこしてはいけません!!

 ストレスは「仕方ない」ですが、ストレス反応は、私たちが工夫次第で対処できる「がんばれば、取り戻せる😃」要因です。

 ストレスに上手く対処して髪を守りたい時💚は、こちらをご参考に。👉「気分のゆらぎ・ストレス対策と女性の髪」

*補足*コルチゾール、甲状腺ホルモン、エストロゲン(女性ホルモンの1つ)の3つは、互いに影響しあっているため、あるホルモンが変動すると、他のホルモンのバランスも崩しやすくなることがあります。

5.膵臓 🍰(糖代謝→髪)

すい臓

 膵臓では、インスリン、グルカゴンといったホルモンにより糖代謝を含めた物質代謝の調節をおこなっています。主に血糖値を制御するために使われます。血糖値の高い状態は、からだのエイジングを加速させてしまいますし(先ほど出てきた「生活習慣が招く加齢変化」に当てはまります。)、血糖値の乱高下は、からだにとってはストレスですから、気付かない間に自分でストレス反応を加速させてしまっていることもあります。(先ほど「副腎」で出てきましたね。)

6. 卵巣 👱‍♀️(ゆらぎ→髪)

卵巣

 卵巣は卵子を貯蔵し、エストロゲン、テストステロン、プロゲステロンなどの性ホルモンを産生します。

④ ストレス vs ストレス反応

 もう、ストレスとストレス反応の違いはお解りですね!?(読み飛ばしちゃった方は、👆ホルモンの「副腎」を、さらっと読み返してみましょう。)

 ストレスは自分で認識できる社会的な出来事だけではなく、体の中で起こっているけど自分では気付いていないことも、体にとってはストレスです。(例:食べ物の選び方、運動のしなさすぎ、行動の癖等)でも、ストレスそのものを全て避けるのは非現実的ですし、ストレスがあることは「仕方ない」ことです。・・ですが、ストレス反応は、抜け毛の増加や髪のボリュームダウンにつながります。ただし、ストレス反応は、私たちの工夫次第で対処できるので、「がんばれば、取り戻せる😃」要因です!

ここからComing soon!💦 

⑤ 治療中の病気と治療、薬剤


■ まだまだある「がんばれば、取り戻せる」原因

▶ 睡眠

👉 睡眠不足/睡眠の質と女性の髪

▶ 疲労 Mt 

👉 疲れ対策と女性の髪

▶ 不適切な食べ物・食べる量・食べ方(栄養素の過不足、ダイエット、糖質制限、など)

👉 女性が健康的な髪を作る時の💚食べ物の選び方・甘いものの摂り方

▶ 運動不足(量・質・強度)

👉 髪のためにも、運動量と強度をアップ

▶ 胃腸の機能低下・腸内微生物叢の不均衡

👉 おなか(胃腸)の調子と髪

▶ 頭皮環境の悪化

▶ 回復させやすい病気(貧血など)

👉 女性が健康的な髪を作る時に必要な栄養💚3大ミネラル(マグネシウム、亜鉛、鉄)

■ 不調のタイプ

【おまけ】

👇 ここに、女性の”髪の不調タイプ”チェック💚が、あります。効率よく髪対策をしたい女性に、おすすめです。(その前に、女性の”髪の不調タイプ”チェックって、なんですか?という方は、こちらの解説を読んでみてくださいね。)

タイプチェック

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💚記事執筆/監修💚

金子 章子/ Akiko Kaneko,MD,PhD: 日本形成外科学会専門医、医学博士、ボナディアクリニック院長株式会社Aventino創業者:筑波大学医学専門学群卒業、慶應義塾大学大学院医学研究科修了。慶應義塾大学病院、静岡赤十字病院、国立成育医療センター、横浜市立市民病院等を経て、現在ボナディアクリニック院長として、女性の脱毛症の診療に従事。日本臨床毛髪学会評議員。 2022年、女性の髪の問題(薄毛・抜け毛)対策のセルフケアに必要なプロセスを全てそろえた、日本初の女性の髪対策セルフケア支援サービス「ブロッコリーSprouts」をリリース。専門領域:女性の脱毛症(薄毛・抜け毛)論文:A new classification of Early Female Pattern Hair Loss International Journal of Trichology. Mar-Apr 2018;10(2):61-67. 医学書:Retrospective analyses of Nutrition status of Asian Female Pattern Hair Loss patients ( 「Practical Aspect in Hair Transplantation for Asians」 (chapter70 )