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フラッシュダンスの感想(第4回)

第二幕は、妖艶でセクシーなカメレオンガールズとCCのオンステージから。
ギラギラと乱反射するミラーボールにピンク色の照明。異世界感が一気に高まる。
(Chameleon Girls)

思い思いに紳士たちを惑わそうと、シナをつくり腰を振りきわどいポーズをとるかわい子ちゃん達、まじ綺麗で可愛くてセクシー。
丈の短いランジェリードレスを、さらに脱ぎ捨てて露出度の高い姿を惜しげもなく晒すかわい子ちゃん達。
ひとりひとりに絡みながらこれでもかと紳士たちを煽るCC。
そのCCが偉そうに、高く突き上げられたかわい子ちゃんのお尻を大袈裟に打擲する振付がもんのすごく好きでした。あれ、めっちゃいいCC。

ぐちゃぐちゃにしてよ私たち!

と中央に降臨するCCに吸い寄せられていくかわい子ちゃん達。
なんと派手派手しいハーレム。

CCはどうしてこんな風になってしまったんだろう?どうしてあそこまでグロリアに執着したんだろう?
どこかで「CCは完全悪!」と言われていたのを目にしたけれど、自分にはそうは思えなかったんだよなぁ。
完璧な善人なんて存在しないように、完全な悪人もきっといないんだと思う。
どんな弱さを隠すためにあんな悪役の鎧を纏ったんだろう…なんて、すぐ妄想に走るのがわたしの悪い癖☆

まだ丈の長い黒のドレスを着ているグロがCCに駆け寄る。

接客でついた相手が大物と繋がってるって!チャンスなの!
そいつは自分が大嘘つきだとも言ってなかったか?さっさと振り移ししてもらうんだ。

その言葉に、脱がなくて良いって言ったのに!話が違う!と怒るグロリア。
マリリンモンローの話をして、あくまで自分はお前を売るためにマネージメントするのだと言い包めるCC。

隙はない油断はしない、でも、これこそが広い街でメジャーになれるラストチャンスなんだと迷うグロリア。

調べが、がらりと変わる。ベースがブーストしてホーン隊が伸びやかに彩り、よりジャジーでセクシーな音の波が押し寄せる。

なれば良いんでしょ、ビッグスター!

黒のドレスを脱ぎ捨てるグロリア。
鮮血のようなランジェリードレスが眩しい。

なれるわ、なってみせるわ!

男性アンサンブルに絡みながら、精一杯の性を魅せて歌い踊るグロリア。
迷いながら、本当にこれでいいのかと自問しながら、それでも、どうしても夢を捨てきれない、素敵な夢を見たい、手を伸ばしたい掴みたい!と願うことをやめられない彼女が切ない。
キリストのように担ぎ上げられる姿が、他のカメレオンガールズ達と比べると明らかにぎこちない仕草が、悲しい。
でもだんだんと覚悟を決めてギラリとした瞳に、表情に変わっていく。
玲香様の見せ所。ぞくぞくする。

CCが高らかにカメレオンでの彼女の名を宣言する。
ランジェリードレスを脱ぎ捨て肌を晒したグロリアは、それでも、未来を信じて前を見据えいていた。

暗転から、シーンはアレックスの部屋。
ニックのシャツを纏い、ハンナの歌をそっとなぞるアレックス。
(A Million To One・再)

このシーンはですね、まず、ちゃぴちゃんに彼シャツ着せることにした方にめちゃくちゃ感謝申し上げたい。
あの瞬間会場の全員がニックとおんなじ気持ちだったことでしょう。破壊力たるや、思わず頭を抱えるレベル。

僕のシャツは君が着た方がずっと似合うね?
そうね、わたしのクローゼットが二倍に増えたわね。

二人の恋が順調なことがうかがえる。蜜月ってやつですね。見ているこっちまで幸せになる。

メロメロになって良いのよ?

そう言ってくるっと回って見せるアレックス。に、メロメロになるニック…気持ちわかるよ、これはあかんやつや、可愛すぎるぞアレックス。

やる気に満ちた君を見ることになるはずさ。
立ち止まったりせずに、今を生きる。
(今こそ…ここから。再)

どんな立場でも。どんな状況下でも。
今を生きる。今こそが、何よりも大切である。
もしかしたら、これこそがこの作品の核たるテーマなのかもしれない。

リストラに対抗するための策を考えなくてはいけない。一人きりで。
そのプレッシャーに眠れない夜が続くニックを、アレックスは励ます。

誇りに思うよ。
誇りに思うのは、合格してからにした方がいいわ。
きっと受かるよ。

励まし合い、愛し合う二人。ずっとこのままであればいいのにね。

ハンナの家の庭?に転換し、ハンナに追加のレッスンを受けるアレックス。

転んでも立ち上がれ、まだ一回戦だと、厳しく鼓舞するハンナ。

クラブで観られるのとは訳が違うと怖がるアレックス。
ある夜には、ステージに出ていくのが待ちきれなくなることもある。自分自身は存在しなくなる。と独りごちる。

これは映画にもあったシーン(表現)。

人生には不可能なことなど何もない時がある。でも、その前には深い絶望を超えなくてはいけない。
ダメだったとしてもすぐに立ち上がるのよ。転んでもすぐにやり直せばいい。
ハンナは続ける。

映画のラストシーンで、一度転んでしまったアレックスが「やり直します」と気丈に言い放つシーンがあった。
わたしはその瞬間がとても印象に残っていて、好きだったから、このハンナの台詞がそこに繋がっていったらとても胸熱だなと初見の時に思ったっけな。
ラストシーンでちゃぴアレックスがその台詞を言うことはなかったので、それは少しだけ残念だったんでした。

ハンナの激励を受けて、再起するアレックス。

とらわれず弾けろ!わたしの中で燃える炎!
と力強く歌う。(My Turn)

ニックは続くリストラを止められずに苦悩する。低く歌う。自分にとっても大切な仲間のために闘いたい。

自分を見つけてとらわれずに炎を燃やせ!戦え!その時は今!

アンサンブル、工員達、CCとグロ。
そして、アレックスとキキとテスとニックとアンディとジョーさん。
ダンスパート。とんでもなくバンドサウンドがかっこいい。

湧き上がれ!掴み取れ!今!瞬間をつかめ!その時が今!

場面は変わり、ジミーがハリーズにこっそり帰ってくる。
板の後ろに寝そべって隠れていたハリーおじさんに速攻見つかる。

忘れ物でもしたのかな?
そういう見方もできるね!OKOKOKOKOK!

っていろんな言い訳を並べ立てる相変わらずなジミー。

才能も、懐の深さも、人間としての器の大きさも。
どれも自分には足りない。ハリーおじさんに指摘されて瞬間項垂れる。

でも!そのなかでも!本当に足りないのは一つだけだったんだ!
とグロリアへの溢れる想いをハートフルに歌い上げる。(本当の居場所)

この福ちゃんの歌がとってもとってもとーっても、心に染みた。
楽しげなメロディ、コミカルな振り付け、でも、歌われているのは1人の若者の挫折。見せつけられた現実。傷ついた心。
そして、愛おしいひとへの真っ直ぐな愛情。
そのギャップがぐっとくる。

ジミーは夢を追ってニューヨークへ行ったけれど、自分が居る場所は、いたいと思う場所は、ちっぽけな町の安酒場。立派な安酒場。グロリアの隣。

この場所はおじさんが思うよりもいい場所だよ!ねえ!そうだろう…?

ついついおちゃらけてしまうけれど、そんないい加減な自分を、ちゃんと受け入れてくれる人がいてくれるこの場所こそ、愛おしい人がいるこの場所こそが、僕の本当の居場所なんだって、気付けたことは、この1人の若者にとって、夢を叶えるよりも、ひょっとしたら必要なことだったのかもしれない。

そんな甥っ子に鍵を投げて寄越すハリーおじさん。

俺たちは、またここから始めるんだ。

そんなことしたらネズミたちに怒られないかなぁ!ははははは!
…今のは、すみませんでした!ははは、、
ほんとうに、ありがとう。

ありがとう、って、帽子を胸に抱えて鼻をすするジミーに、こっちまでもらい泣く。
いますぐグロの代わりに走って行って抱きしめたいくらいにいとおしいよ、ジミー、おかえり。

自分の夢追いかけろ、皆そう言うけど今わかった
どんな道を進んでも、隣に君がいなくちゃ!
間違って気付いたもの、冒険して見つけたこと
もう二度と迷うことはない!
君と二人ここで生きてく!僕の居場所はここだけさ!

今度こそ、この本当の居場所で、大好きなグロリアの笑顔を守って生きていくんだって、両手を広げて、両足を踏ん張って、おなかの底から歌いあげられる、真っすぐな歌声に涙が止まらなかった。
福ちゃん!!かっこいいよ!!号泣

福ちゃんの歌は福ちゃんが思っているよりとっても上手だよ!ねえ!そうでしょ?
どうかもっと自信をもって、謙遜なんてしないで、自信もって。

あと、君と二人ここで生きてく、のときに胸の前にハートマークつくるのがとんでもなくいとおしかったのは特筆事項。テストに出ます。あと常時お顔が最高。これも絶対テストに出ます。

手が痛くなるくらい拍手している間に、転換し、工場のシーン。

ついにアンディのリストラが決まってしまって、ニックの部屋に集まってくるジョーさん、アンディ。
クビにさせられることに取り乱し、アンディがニックに当たり散らしているところに、良い振り付けを思いついた!と秘書の制止を振り切って飛び込んでくるアレックス。ただことではない雰囲気を察する。

はーい、アンディ。調子はどう?
君よりは良くないかな。気の利いた振り付けもお見せできないしね。

飛び出すアンディと、追いかけるジョーさん。
二人きりになるアレックスは、ニックについ大きな声を上げる。

アンディも頑張ってるのにどうして!私の友達なのに!
僕だって!彼らのことが好きさ!

役員達にちゃんとしたノーをもらった、自分だって工員達が好きさ、どれだけ全力を注いだか君ならわかるだろ?ととうなだれるニック。
ごめんなさい、と抱きしめるアレックス。そこには深い愛がある。たしかに。

でも、ついオーディションの日程について口を滑らせたことで、自分が裏で動いてアレックスの一次審査を通したこと知られてしまうニック。
烈火の如く怒り出すアレックス。いちばんしてほしくないことだったのに!

自分のポジションをアンディにあげて!!と言い捨てて飛び出していくアレックス。
追いかける気力も起きないニック。

強く椅子を叩き内なる激情を表すニックが、溢れる想いを歌い上げる。
(Enough)

僕は誰なの?手を差し伸べても報われない。夢を分かち合い心を許しても大切な人は遠くへ行ってしまう。
きみのためにできることがないなら、もう生きる価値もない。名前も家族も名誉もプライドも手放し捨てれば、誰も傷つけずに生きていけるのか?

ニックにしかわからない苦悩。
それでも、彼も、ひとりの人間として生きている。変わりたいと、そうもがき苦しんで生きている。
そして決意する。父親に話をすることを。

工場の壁に大きく映し出される影がとても美しい。絵になる。この情景は一冊でもどこかの雑誌に載せて残しておいてほしい。

ちなみに、廣瀬さんのお芝居には、差し引きというか、強弱というか、そうしたふとした時にきらりと光る瞬間があったなぁと思った。
「好きさ」が、ずっととても弱弱しい言い方だったのに、最後に見たときは言い切り一連で強かったので、お!どんな心境の変化があったんだろう!と前のめりになった、というどうでもいい備忘事項。


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