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フラッシュダンスの感想(第2回)

軽快なワルツに乗って転換、ハンナの部屋。
テレビに映し出されたバレリーナにむけてああでもないこうでもないとひとりごちている。

車椅子に乗り、鮮やかなグリーンのワンピースにシルバーのショートカットスタイルが素敵なハンナ。
准看護師のルイーズが薬を飲めと詰め寄っている。
変な味のコーヒーは紅茶だから。

前の雇い主はなくなりました。
……や(殺)ったわね。

くすりと笑いを誘う愉快なシーン。
変人なところが気に入っている、とニヤリとするハンナ。
ルイーズとの掛け合いはとても楽しげ。

お金を渡そうとするアレックス、それを頑なに断るハンナ。
ようやくシップレイの願書を書いたというアレックスにハンナはようやくこの子が願書を書いてくれた!と喜ぶ。
ハンナが一度だけ踊った時に身に着けたという、バレエシューズはとても小さかった。

あなたが踊るために必要なものを一言で説明しなさい。なぜ空欄なの?
ひどい質問よね…
そうは思わないわ。あなたにとって必要なものは?
情熱…。

ハンナの華やかな車椅子捌きで始まる、アレックスへの応援歌。
(A Million To One)

なんだってできる!目指せfor the sky!諦めず夢を!!
負けやしない!挑んでみて!
立ち上がり、時折可愛らしい振り付けを交えて、祈るような仕草で力強く歌い切る。

あなたは100万分の1の女の子なのよ、と優しく、力強く、励ますハンナ。

元タカラジェンヌの2人が見せるラインダンスのシーンは胸熱。
再演があるなら、ぜひルイーズもその瞬間だけ登場させていただきたい…。

ハンナが自分の見初めた少女へ託す気持ちと、それをしっかりと理解して受け止めるアレックスと。
この場面、この歌、とてもとても泣いてしまう。
誰よりも想い合うこのこの2人のシーンは、先のことを知っているのと、自分の体験が混線して、初見からぼろ泣きしてしまった。

場面はシップレイの第一次選考のシーン。
ミスワイルドの美しく妖艶な歌とバレエダンスと曲のアレンジに、思わずこちらまで姿勢を正す。(Inside)
基礎訓練を受けていないアレックス。でも。持ち前のセンスでなんとか食い下がる。
でも、次こそが伝統の最終選考のモダンダンスだと知り、自分にはとても無理なんだと思い知らされるアレックス。

ジーザス!!!!

気づくの、ここはわたしの居場所じゃない。資格はない、と。

転換し、工場の食堂へ。
顔を隠して何度も賃金を受け取ろうとするアンディ。3人の子供のパパで、仕事を失えない。
ここにいる誰もが、苦しい生活をしている。必死で生きている。

ジミーとグロリアが夢に敗れるという現実感を担うなら、アンディは貧困と格差いう生死に直結するリアルさを担うのかもしれない。
このキャラクターがいるから、増す重みや凄味があったと思う。

リストラに怯える工員。そのリストラを告げる立場にならざるを得ないニック。
ニックからしたら天と地ほどの格差がある。
でも、そんな地を這いつくばるような立場のアレックスへの恋心をなんとか伝えたいニック。
でも、コーラを浴びせて全力で拒否するアレックス。

ボンボヤージュ!そして、さらば!

勝ち組が負け組になった瞬間を目の当たりにして、愉快で仕方ない工員達。

そんなに面白いかな?
面白い!あんたも俺たちもおんなじだ!
だめなものはだめなんだ、たとえ勝ち組のお前でも!それこそがこの世の正義だ!
終わった完璧人生!お前も俺たちもおんなじだ!最低で最高!仲間さ!
どこの誰かは関係ない。それが重要!この世の正義だ!

と、激励を受けて工員達との間に仲間意識が生まれるニック。
そして、本社からとうとうリストラ決行の通達が届く。
心を通わせた工員達のために戦うことを決意するニック。

(Justice)

閉店後のハリーズには、片づけをするグロリアとハリーおじさん。

いつの間にか現れたCCに店を売れと詰め寄られ、うせろ!と激昂するハリー。

懲りずにグロリアに言い寄るCC。
君だけの魅力、つまり、裸になれと、言葉巧みにカメレオンに誘い込もうとする。
君の魅力の何かに気付いてる、と。でもそれはすべてが嘘偽り。

ジミーはその様子を陰から伺い、我慢ならなくなって飛び出す。
CCに掴みかかるも、いとも簡単にねじ伏せられてしまう。

今すぐにお前を始末してやろうか?
今すぐって…ぼくそんなに慌ててないんだけど…

こんな時でもへらへらしてる。グロ、こんな男のどこがいいんですか…いや、お顔は最高。それはたしかに一番大事です。脱線しました。

そこにアレックスが現れ、友達から離れて!と詰め寄る。

きみの友達はヒーローのように現れるんだねぇ。
ジミーから離れて!
おおおこってるねえええべいびいいいいい~

そこに颯爽と現れるニック。
CCが去ると崩れ落ちるジミー。しっかり帽子を外してから崩れ落ちるので、福ちゃんのきれいなおでこが見られるチャンスです。
引き起こされて、そのまま下手でグロリアの腰に抱き着いて慰めてもらうジミー。
そして、中央ではアレックスをなんとかデートに誘おうと頑張るニック。

ボスとはデートしない主義なの!
じゃあ、きみをクビにする!

友達を助けてくれたことへのお礼の気持ちもあったのか、最終的には、日曜の夜ならと渋々デートの誘いを受けるアレックス。
身分証明のナンバーを空んじてアレックスに引かれつつ、デートの約束を取り付けたニックは明らかに浮かれている様子。

そんなふたりにきゃっきゃするグロジミかわいい!!
浮かれた様子のまま、ジャケット…着ないんかーい!的なことをしつつ、コミカルにはけていくニック。

二人きりになると、途端に喧嘩が始まるグロジミ。

どうしてあなたはあたしを助けてくれないの!?
ピルでも飲んでるのかい?イラついちゃってる~~~!

この言い方ほんっとに腹立つ!誰がそうさしてんのよ!ってグロリアじゃなくても言いたくなってしまう。調子のいい男。調子がいいだけの男。
でもお顔が最高。

どうでもいいけど、当時のピルは劣悪だったのか、単にそういうイメージだったのか。
いまではイライラしたくないから飲んだりもするのにね、なんて思ってみたり。

一度くらい真剣に話すことはできないの!?
俺はいま慎重にいきたいんだ!

ヒステリックな恋人に徐々に苛立ち、ニューヨークに一人で行くと告げるジミー。
めんどくせえ!と心の声が聞こえてきそうな表情に、悲鳴を上げそうになった福田ファンはきっと多くいたことでしょう。もちろん自分もその一人です。
すごいよね、心の声が聞こえてくる演技って。なんだそれ。天才か。

愛してるけど、毎日言い合いで足を引っ張り合ってる!だから僕が少しだけ先に行くってだけさ…君を愛してる。
そう言い募るジミー。
でも、あたしが邪魔なんでしょ!!と置いていかれることへのショックで聞く耳をもてなくなっているグロリア。
出てって!!そう言われて、苛立ちを足音に込めてはけていくジミー。

玲香様のグロリアは、どんどんと解放されていって、回を追うごとに深みのあるヒステリックになってた。
人は本気で怒りを吐き出すとき、声のトーンが落ちるんですよね。金切声ばかりが女性のヒスじゃない。
つい、息を飲む男女の本音のシーン。

ハリーおじさんに一人にしてくれと懇願し、一人きりになったグロリアは自分に問いかける。

グロリア、どうするつもり?
彼を追い求める?違う世界へ行く?
(Gloria Prequel)

CCから受け取った名刺を見つめるグロリア。そこに、CCの声が聞こえる。
なぜか今は、その囁きが甘美なものに聞こえてしまう。

映画ではグロリアのポジションの子はたしかスケーターを目指していて、でも大会では転んで最後まで演技できずに夢半ばで落ちぶれてしまう、そんな流れだったかな。
そのスケートのシーンでこの曲が流れていた気がする。だから、曲調は明るくて、その分、このグロリアがこの後歌う世界観とのギャップがものすごかった。

そのまま場面はハリーズナイト!
テス姉さんのド迫力なロックナンバーに鉄の男達が熱狂し、空気が一変する。

I Love Rock 'N Roll!!!!

テス姉さん、かっこ良過ぎます。ハリーさんも踊る踊る!
石田ニコルちゃん、これが初ミュージカルってうそでしょ…踊れてるし歌えてるし、そうは見えませんでした。すごい!

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