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子供たちに正しいことを教えるのは難しい?

平日の午前中、だいたい10時から11時ぐらいの間に、ウチの前でにぎやかなパレードが行われる。小さな子供たちがちょっとおバカなことを言って保育士さんを困らせたり、テンションが上がり過ぎて奇声を発したために怒られたりしていたり。
 
数人の保育士さんがそんなカオスな状況を何とか取りまとめて散歩に出かける日常の風景だ。
 
人によっては騒音にしか聞こえないであろう子供たちの騒ぎを、私は日々楽しみにしている。なぜなら、私にとってその声は「エネルギーのかたまり」であり、聞くだけで元気をもらえるから。
 
その日も私はいつもの調子で、脈絡みゃくらくのない子供たちの会話を聞くともなしに聞いていた。
 
そして、その違和感は突然訪れた。
 
「青になったら渡るんだよー」
赤信号で止まっていた子供たちに、保育士さんが大声でそう叫んでいた。
 
「・・・ん?」
果たしてそれでいいのだろうか?保育士さんが言っていることは正しい・・・のだが「何かが足りない」と私は思った。
 
もし信号無視をして交差点に突入してきた車がいた場合、子供たちはどうなるだろう?
そう。間違いなく、車にはねられてしまう。
 
青になったら渡る。小さな子供たちは日々、そう教えられる。
無邪気で真面目な子供たちは信号が青になれば、大人である保育士さんたちのその言葉を信じて渡るに違いない。
 
しかし、こちらが青になっていても、赤信号になったばかりのタイミングで交差点を走り抜けようとする車は多い。そうして日々、交通事故が起きる。
 
小学生ぐらいになれば、その不測の事態を想定することは可能なのかもしれない。けれど、さらに小さな子供たちにそれを教えることはとても難しいのでは?
 
青信号になったら渡っていいんだけど、もしかしたら信号を無視して走ってくる車もいるかもしれないから、青信号だからといってすぐに渡ってはいけない。
 
果たして小さな子供たちは、そのあたりを理解出来るのだろうか?
 
「赤信号は渡ったらダメでしょ?」
「青信号なのに渡ったらダメなのは何で?」
 
無邪気でピュアな子供たちにそう訊かれたら、どう答えればいいのだろう。
 
保育士さんたちの「青になったら渡るんだよー」その言葉を聞いて、そんなことを思った。
 
杓子定規しゃくしじょうぎに大人は絶対にルールを守れ、などと言うつもりはない。けれど、そこにもし子供がいたら、子供たちの目の前で平気でルールを破るようなことはしないで欲しい。
 
平気でルールを破る大人、平気で嘘をつく大人、平気で人を傷つける大人、子供たちは日々そうした大人を見てガッカリしているに違いない。
 
子供たちの未来を少しでも明るくするのが大人たちの使命だと私は信じている。
 
明日もまた、誰ひとり欠けることなく元気でにぎやかなパレードが行われることを、日曜日の午後のひととき、はちみつ紅茶を飲みながら願っている。
 
 

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