eスポーツに通じる推薦本:麻雀放浪記

麻雀放浪記(一) 青春編 (角川文庫) 阿佐田 哲也 https://www.amazon.co.jp/dp/4041459516/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_jhJKCbEJK3W3B

ピエール瀧さんの事件で、麻雀放浪記が映画になることを知りました。

映画の出来はよくわかりませんが、以前に原作を読んだ時は、引きずりこまれる面白さで、勝負事をする人にはお薦めの本だと思いました。

現代のスポーツはルールが整っていて、イカサマが通用する余地はほとんどありませんし、何かしら組織に属して生きていると、卑怯な戦法をやろうものなら所属団体がペナルティを受けたり所属団体から追放されたりするので、スポーツというものはたいてい、反則やイカサマに過度に警戒する必要はなく、想定内の勝負に専念できるようになっていると思います。

ところが、この本で書かれる戦後の麻雀は、玄人がイカサマで素人から金を巻き上げ、玄人同士がイカサマの技を駆使して死闘を繰り広げる修羅場です。「麻雀のルールの枠内」の勝負ではなく、勝つためなら「暴力以外なんでもあり」の勝負であり、
・ばれなきゃイカサマじゃない
・相手を出し抜こうとする
・出し抜かれないようにする
そういう勝負で、「ルールの枠内で戦う」という意識がないのです。

現代の生活ではそんな経験をすることは滅多にないでしょう。現代のスポーツの場合、先人が整えて完成域に達したルールの枠内で勝負し、ルールの枠内で勝つ方法を考えるわけです。

ですが、eスポーツのような新興競技の場合、案外、ルールに穴があったりするので、そこに気づいたら、
・穴を突かずに正々堂々と勝負して勝つ
・卑怯と言われようと穴を突いて勝つ
・卑怯と言わせないように巧妙に穴を突く方法を探して勝つ
の戦法を選ぶことになったり、
・相手が穴を突こうとした時にどう対応するのがベストか?
考えたりするわけです。

また、ルールの不備でもめた時に自分が有利になるように、大会の司会者やスポンサーに好かれる行動を打算的に行ったり、なんてこともあるのではないでしょうか。

え?そんなこと考えたこともなかったですか?(まあ、心当たりなくとも仮定の話として聞いてくださいw)

殺伐なネタを出してしまいましたが、プロを目指す方にとっては、収入を得るにはただ強いだけではなく、金を落としてくれる客やスポンサーに「媚びる」必要が出てくることは、わかる人にはわかって頂けるでしょう。今は分からない方もプロを目指す過程で、いずれ必ず体験すると思います。

そういう時に、ルールの枠内で勝ちを目指すのではなく、ルールの枠外の攻防もできるのが真の強者でしょう。ルールに穴がある大会においては、

明文化されてないNGルールを予想すること。
それが何故NGと考えたのか、論理的に説明できること。
誰がどのようにOKかNGかを決めるか理解すること(=神は誰か?)

ここら辺の備えができているか?が勝負を左右することもあるでしょう。
※ゆるふわさんや圧倒的実力のある王者の方には関係ない話ですねw

麻雀放浪記の中では、イカサマが容易な=ルールが穴だらけの、麻雀というゲームで、枠に閉じこもらない広いスケールの「なんでもあり」勝負がふんだんに出てきて、正々堂々と清く正しく生きてきた私にとっては、とても刺激的な内容でした。

また、(イカサマ技術含めて)麻雀が強くても、勝ちすぎると誰も相手をしてくれなくなり、店からも嫌われて出禁になる、なんて話もあり、これもゲームで独り勝ちしすぎると友達が遊んでくれなくなる、大会も次回開催されなくなる、なんてことにつながる話で考えさせられるものでした。

平凡な人生を送る上では、なんでもありの世界での生き方は鍛える必要はないでしょうが、発展途上中のeスポーツの場合、ルールの整備が追い付かないでいい加減なルールで大会が開かれることもあるでしょうから、

そこで後悔しない勝負をするために、また、運営の「いい加減さ」とうまく付き合う上で、麻雀放浪記は勉強になる本だと思います。お薦めです!


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