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『グロースハッカー佚』(第5話)【コンセプト】

現在Webメディア『マーキャリメディア』内にて執筆掲載している大好評の連載小説『グロースハッカー佚』をnoteにて第四話に続いて第五話も配信致します。

BtoBマーケティング会社に中途入社した八月一日 佚(ほずみ てつ)。前職ではプロモーターとして勤務していた小さな音楽レーベルを1人でメジャーレーベルにまで成長させたキャリアを持つ26歳彼女の誰も思いつかないような独創的な発想は果たしてBtoBマーケティング会社でも通用するのか。会社のブレーンとして様々な企業課題に立ち向かう彼女と会社の成長を追ったオリジナルのストーリー小説です。

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コンセプト

横「なるほどね、コンセプトをそもそも指摘か」

柿島「そうなんです、あのコの言ってることも確かに分かりますが、もう開発に入ってるし今更変えるわけには...」

横「いや、それで言うと、まだローンチのタイミングも決まってないし練り直しのチャンスはあるよ」

柿島「私たちが何か月も掛けて話し合ってきて皆の意見がようやく一致したものを、また崩すんですか?」

横「例えば施工会社が正しいと思ったやり方で立てた新築でもホームインスペクターから欠陥を指摘されたら、聞き流せないだろ。場合によっては立て直さなくてはならない。」

柿島「では彼女はプロってことですか?」

横「プロかは分からないけど多少なりとも信頼性のある第三者の意見と言う意味でね」

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佚「類巣さん、お疲れ様です。」

類巣「ん?お疲れ様です。」

佚「先ほど、柿島さんからプラットフォームの開発に携わってるメンバーだとお聞きして。」

類巣「ああ!そうですそうです、テッサンもサイトの改修に加わったんですよね?分からないとこあったら遠慮なく聞いてください。」

佚「ありがとうございます。早速お聞きしたいことがありまして。」

類巣「なんでしょう?」

佚「実はまだ、コンセプトの理解がしっかりと出来てなくて...これは一般ユーザーにとってどこが一番のバリューになるのですか?」

類巣「うーん、やっぱお金稼ぎですかね。本業だけだとこれからの時代不安ですからね。」

佚「なるほど、副業ってことですよね。企業側はどうですか?」

類巣「企業側は...低コストで良い部署を作れるところですかね。中々良い部署作るって難しいですからね」

佚「そういうことなんですね。ありがとうございます。」

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川門「お疲れ様!と言うか初めましてだよね」

佚「はい、そうですね、初めまして。よろしくお願いします。」

川門「宜しく!で、どうしたの?」

佚「はい、プラットフォームのサービスサイト改修メンバーに入れて頂いたんですけど、どうユーザー側にサービスコンセプトを打ち出していこうか悩んでまして」

川門「あ!そういうことね!やっぱ、一番はキャリアアップでしょ!本業をやりながら、他会社のマーケティングチームの一員としてこれまでのスキルが活かせるし、貢献すれば当然その人の価値も上がるからね!」

佚「なるほど、逆に企業側はどこにバリューを?」

川門「一応、安いコストでマーケティングチームを持てるってところだけど、実際どうなんだろうね。即席で集めたメンバーで更にオンラインで意見の出し合いって、チームとして統制取れるのかも疑問だよね」

佚「そうですね。話し合いの時にそういった意見は出されなかったんですか?」

川門「まぁ話し合いって言っても機能的なものがほとんどだったから、そもそものコンセプトはもう決まってたしね。」

佚「そもそもは誰が出されたんですか?」

川門「多分、横さんと柿島さんじゃない?俺らが話し合う段階で既になんとなく決まってたし。」

佚「そうだったんですね。」

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柳爪「テッサン、お疲れ様!」

佚「お疲れ様。」

柳爪「もう今日は上がりですよね?駅まで一緒に帰りましょう!」

佚「はい。」

柳爪「疲れましたね!どうでした?サイト改修の方は」

佚「今日は柿島さんから色々サービスのレクチャー受けましたよ。」

柳爪「私もLP製作の為に坂西さんからサービス説明受けましたけど、なんかいまいちわからなかったです(笑)」

佚「そうだったんですね(笑) どの辺が分からなかったですか?」

柳爪「なんかあの人直ぐ話逸れて、結局何がしたいサービスなのか...(笑)」

佚「それは時間勿体ないですね(笑)」

柳爪「また時間ある時に教えるって言って、Lineでも送るからってID聞かれたし」

佚「え、教えたんですか?」

柳爪「会社のメールにお願いしますって流しました(笑)上司と言えどもいきなりプライベートはちょっとね。」

佚「ナイスな対応ですね(笑)」

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川門「坂西!もう今日はあがろうぜ、ん?何見てんだ?」

坂西「あ、これ、テッサンが捨ててたメモ紙」

川門「そんなもん、漁るなよ!気持ち悪いぞ」

坂西「いやなんか暗号みたいなもんがいっぱい書いてあったから気になって」

川門「え?なにこれ。リ5、ナ2、ゴ1? 買い物のメモとかじゃない? リンゴ5個、ナス2個、ゴウヤ1本みたいな」

坂西「そうかな、この下の部分とか見てよ」

川門「うわ、なんだこれ!数字とかアルファベットでびっしりじゃん」

坂西「あのコのノートPCチラッと見えたけど、なんか解析してるっぽいんだよね」

川門「まぁ、仕事熱心なんじゃないの?今日早速質問されたし」

坂西「え!?何を?」

川門「プラットフォームのコンセプトとか」

坂西「なんでカワ(お前)に?」

川門「俺が開発メンバーだって聞いたからじゃない?」

坂西「ふーん、そっか」

-----続く

『グロースハッカー佚』はマーキャリメディアにて絶賛連載中です。最新号も無料で読めます。もし気に入っていただけましたら是非チェックしてみてください。宜しければnoteのフォローもよろしくお願いします。

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