2.2010年代の巨人 GAFA VS BATH
こんにちは。小山です。
前回に引き続き、2020年代の展望をしていきます。前回は、2010年代に衰退していった日本の家電メーカーのことでしたが、今回は、2010年代に栄えた企業をみていきましょう。
2010年代の世界の時価総額ランキング
2010年代の躍進した企業といえば、言わずもがな、時価総額の高いアメリカのIT業界の巨人「GAFA」とそれに対抗する形の中国のIT業界の巨人「BATH」です。
世界の時価総額ランキングの上位を占めるアメリカのIT会社
GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)
時価総額 約400兆円 (2019年12月時点)
(アップル 約141兆円、グーグル 約102兆円、アマゾン 約95兆円、フェイスブック 約61兆円)
GAFAに対する中国の時価総額の大きいIT企業
BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)
時価総額 約100兆円(3社計。ファーウェイは非上場)
(バイドゥ 約4兆円、アリババ 約61兆円、テンセント 約48兆円、フェーウェイは非上場)
GAFA VS BATH に見られるような、覇権争いが、米中貿易摩擦につながっていくわけです。
と、その前に、米中貿易摩擦の前は、さかのぼること、1980年代は、日米貿易摩擦でした。
1980年代の世界時価総額ランキング
こちらの平成元年(1989年)と平成30年(2018年)の世界の時価総額ランキングの比較によれば、
1989年の世界時価総額TOP50の中には、昨日の記事で書いた日本の電機メーカー、松下電器産業(現、パナソニック)、日立製作所、東芝、日本電気(NEC)が入っています。
1989年の世界時価総額TOP50の中には、日本企業が32社もはいっていました(ちょうど、日本はバブル期)。アメリカ企業で、TOP50入りしているのは、17社だったわけですから、
そりゃ、日米貿易摩擦、にもなっていたでしょう。
そして、時は、流れ、
2010年に中国は、GDPで日本を抜いて、世界第2位になり、躍進していきます。
2019年4月には、世界時価総額ランキングTOP50のうち、
7社は、中国企業
31社は、アメリカ企業
(日本企業は、トヨタ自動車1社のみ)と変化していくわけです。
2010年代は、中国の躍進であり、
1990年代以降のバブルがはじけた日本の「失われた20年」(というか30年GDPはほぼよこばい)の
明暗が、
1980年代の日米貿易摩擦が、
2010年代の米中貿易摩擦に変わっていくわけです。
貿易摩擦
貿易摩擦というのは、自由経済の中で、競争力のある外国のモノが入ってきて、自国のモノが売れなくなるから自国の産業を保護するために、外国のモノに関税をかけたりして、自国の産業を守ろうとするわけですね。
日本も、おコメに対して、700%くらいの関税を昔はかけていました。
日米貿易摩擦は、日本の自動車がどんどんアメリカに入ってきて、アメリカの自動車が売れなくなっていったわけです。
自動車産業は、雇用の規模も大きいし、国が守るわけです。日本の車が入ってきたときも、アメリカのリーマンの時も、アメリカ政府が、アメリカの自動車産業を守るわけです。
「じゃあ、日本の家電メーカーを守るために、中国製のテレビとかに関税をかければよかったのか?」
当時も、エコポイントなどでテレビの消費喚起施策はあったので、政府が介入したところで、企業の商品のグローバル競争力で負けてしまうと、衰退していくのは時間の問題ですね。
GAFA VS BATHの争い
GAFAに対して、中国がどう対抗したかというと、モノではないので、関税による規制ではなく、ネットを規制したわけですね。
グーグルが中国で使われていたら、バイドゥは成長しなかっただろうし、
フェイスブックが中国で使えていたら、テンセントは成長しなかったでしょう。
アマゾンは、規制の問題というより、競争力で、アリババにEコマース市場で勝てずに、中国市場から撤退したように思われます。
かといって、バイドゥをアメリカで使う人もいないし、テンセントをアメリカで使う人もいないし、おそらくアリババをアメリカで使う人はいないでしょう。
残りは、ファーウェイとアップル。中国の携帯市場は、ファーウェイなどの中国メーカーが上位を占めて、アップルは苦戦でして、アメリカの携帯市場は、あプルとサムソンの寡占状態で、ファーフェイは、通信設備の安全保障の問題もあって、苦戦の状態です。
ちなみに、日本の携帯市場は、アメリカ市場以上に、最も、iphoneのシェアが高いようです。
世界のGDP1位と2位のアメリカと中国という巨大市場ですが、GAFAは中国の市場に浸透していないし、BATHもアメリカの市場に浸透していないわけです。
以上、
2010年代は、米中のIT企業の躍進でした。
次回は、2020年代の展望を見ていきましょう。
小山
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インド、フィリピン、マレーシア、トルコ、インドネシア、ベトナム、バミャンマーで働く11名の喜怒哀楽の物語。 【新卒海外研修】(連載中) http://www.kuno-cpa.co.jp/recruit/shinsotsu-kaigai/