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2020年6月21日「風をよむ ~”コロナバブル”~」

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16日のニューヨーク株式市場。ダウ平均株価は前日に比べ、500ドル以上上げ、2万6289ドルで取引を終えました。

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19日は2万6000ドルを割ったものの、3月下旬の1万8000ドル台と比べ、およそ3か月で7000ドル以上も上昇しています。 

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また東京株式市場でも16日、株価は大幅に上昇。前日より1000円以上高い2万2582円となり、3月中旬の1万6000円台からおよそ3か月で6000円も値を上げたのです。

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女性「ちょっとびっくり、株が上がっているのは」
男性「株価だけ実体経済とかけ離れて上がっているのでなんかおかしい」
男性「仕事少なくなっちゃって」「ボーナスに影響出てくるし、給料も下がってくる。自分も家のローンを抱えていて・・」

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6月17日(水)。経団連の発表によれば、大手企業の夏のボーナスは平均で6%のマイナス。

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大幅に減額された企業から上場来初めて夏のボーナスがゼロになった企業もあるなど、経済の苦境は続いています。

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こうした中、住宅金融支援機構には、住宅ローンの支払いに困った人からの相談も急増しているといいます。

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民間エコノミストの経済見通しの集計によれば、ことし4月から6月期のGDP=国内総生産は、前の期と比べ、実質で年率23.02%のマイナス成長と、「戦後最悪の水準」になると予測。

冷え込む経済の実態とかけ離れた株価の状況。その点はアメリカも同様です。

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FRB(米連邦準備制度理事会)・パウエル議長(16日)「生産や雇用の水準はパンデミック前の水準を大きく下回っている」

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アメリカ議会予算局は、4月から6月期のGDPを年率マイナス39.6%と、戦後最悪の落ち込みになると予測。

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失業率も4月に14.7%と、やはり戦後最悪の水準に。その後、少し持ち直したものの、「景気後退により、経済格差が一段と拡大する恐れがある」とFRB=アメリカ連邦準備制度理事会は警鐘を鳴らしたのです。 

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経済は危機的状況にあるのに、株価が上がる。さながら“コロナバブル”とも言われる状況です。

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その仕組みは、おおまかに以下のように説明されます。日本の場合、まず日銀が、金融緩和という形で銀行などが保有する国債や投資信託を買い上げて、銀行側に資金を提供します。

銀行は、この資金を企業や個人に貸し出しますが、現状はそれが大量に余り、株式市場に流れていると専門家はいいます。

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宿輪純一・帝京大学教授(経済学)「銀行は企業や個人にお金を貸し出そうとして目一杯やっている。しかし、新型コロナの影響でお金をあまり使わない。日銀は、企業や個人が必要な金額以上に大量に資金供給をしていて、余ってしまって、その分が株式市場に流れていると。これが“コロナバブル”と
言われるものです」

異例ともいえる金融緩和を背景にした株価高騰。にもかかわらず、日銀はつい先日も…

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日銀・黒田総裁(16日)「躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じますー」

日銀の大規模な金融緩和が生み出したとみられる株価高騰。そうした中・・

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宿輪純一・帝京大学教授(経済学)「中央銀行が株を直接買うというのは禁じ手。ただ日銀が異次元を超えるような金融緩和をやっていて、間接的に株式の投資信託という形で保有している。(2019年には)日本の上場企業の5割の大株主に日銀はなっている。異常と言うことがいえるのではないか」

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それでも16日、日銀は金融政策決定会合を開き、現在の景気を「きわめて厳しい状態にある」との認識を示した上で、なお大規模な金融緩和策の維持を決定したのです。

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日銀・黒田総裁(16日)「当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じます」

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中央銀行が株価を支える状況は、海外も同様です。アメリカでは、FRBが10日、金融緩和の長期的な継続で景気を下支えするとしています。

しっかりした経済の裏付けがない中での、現在の「コロナバブル」。しかし、過去を振り返れば、「バブル」には常に「崩壊」の危険性が伴います。

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2000年には、「ITバブル」が崩壊し、世界的な不況に。2008年には、アメリカの「住宅バブル」が崩壊し、「リーマンショック」に襲われました。

それでは、今回の「コロナバブル」に崩壊の危険性はないのでしょうか?

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宿輪純一・帝京大学教授(経済学)「今の金融緩和というのは応急処置。これから本格的な経済改革の政策を打たない限り、このバブルは崩壊する可能性が高くなる」

皮肉にも、世界中に蔓延する新型コロナがもたらした「バブル」。今後、その崩壊が懸念されるのです。

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