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2019/06/30 風をよむ「日米安保条約は不公平?」

今から50年あまり前…アメリカ市民は「日米安全保障条約」についてこう語っています。

TBSドキュメンタリー「現代の主役」(1967年)

Q 日米安保条約を知っているか?
アメリカ人①「知っている」
Q 日本が攻撃されたら日本のために命を賭けて戦えるか?
アメリカ人①「イエス」
アメリカ人②「僕が?…イエス、招集されたらね」
アメリカ人③「私の国も攻撃されたら助けてもらいたい、だから日本のために戦う」

それから半世紀。アメリカのトランプ大統領の発言が今、波紋を呼んでいます。

きのう閉幕したG20大阪サミット。記者会見でトランプ大統領は日米安保条約について問われ…

トランプ大統領「アメリカが攻撃されたとしても日本に戦う義務はない。これは不公平だ。我々アメリカ人をバカにしているような条約だ」

「不公平だ」と改めて語ったのです。実は来日前の24日、アメリカのブルームバーグ通信が、トランプ氏が側近に対し、条約は不公平だとして、その破棄に言及したと報道するなど、日米両政府に動揺が広がっていました。

今回のG20でも・・・

海外メディア「総理大臣、日米安保は改正しないのですか?」
安倍首相「ありがとうございます。サンキュー、サンキュー」
外務省職員「退室願います」


神経を尖らせる日本政府。

日米安保条約について、現在のアメリカ市民はどんな意識を持っているのでしょうか。

外務省がアメリカで行った世論調査。日米安保条約を「維持すべきだ」と答えたのは、2018年は69%で、トランプ大統領が就任する前の2016年の82%から下落しています。

トランプ氏が繰り返し批判する日米安保条約。そもそも、どのようなものなのでしょうか?

1951年、連合国による日本の占領が終わりを告げるサンフランシスコ平和条約を締結。同時に調印されたのが「日米安全保障条約」。
この条約で引き続きアメリカ軍が日本に駐留することになりました

さらに1960年、岸内閣が、改定された新安保条約に調印。この新たな条約で「アメリカによる日本防衛の義務」が明文化されたのです。

しかし、日本国内では「アメリカの戦争に巻き込まれるのではないか」という懸念が広がり、安保闘争へとつながりました。

ところが、こうした日米安保条約に対する反対の声は、時を経るに従い下火となります。その背景を春名さんは…

春名幹男・元共同通信ワシントン支局長
「‘反共の砦’として日本を発展させなければいけない、まず経済的に発展させるということをアメリカは考えたんですね。日米安保条約を結んだことによって、日本としては経済発展に専念することができた。経済の高度成長が進行して、むしろ安保条約を評価する傾向が強まった」

ところが、ここに来て、トランプ大統領は日米安保条約は不公平だと度々不満を表明しています。

では本当に「日米安保条約」は、アメリカが損をする不公平な条約なのでしょうか?―

トランプ大統領「日本とは条約がある。もし日本が攻撃されたらアメリカは直ちに駆けつける。しかしアメリカが攻撃を受けても日本は助ける必要がない…」(2015年)

大統領就任前からトランプ氏が不公平だと主張する「日米安全保障条約」。それは今、日本に極めて大きな負担を強いています。

1972年の返還後も沖縄には米軍専用施設の7割が集中。在日米軍駐留経費を日本が負担する、いわゆる「思いやり予算」は今年度1974億円に上っています。

さらにアメリカから、維持・運営費などを含めると2基でおよそ4389億円もする地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」に加え、一機およそ150億円の最新鋭ステルス戦闘機F35Bなど105機、併せて1兆円以上を追加で購入する方針も政府は決めています。

にもかかわらず、今の日米安保は不公平と断ずるトランプ大統領。
本当に安保条約はアメリカに損なのか、専門家は…

春名幹男・元共同通信ワシントン支局長
「在日米軍がいることによって、日本は大きい負担を強いられている。基地経費の負担、巨額な武器の購入費、それに加えてアメリカ兵の犯罪についても非常に強い批判があって、現在のような地位協定のままでいいのかと。得よりも損の方が増えていると思います」

しかし、きのう、トランプ大統領は…

トランプ大統領「日米安保条約の破棄は考えていない。過去半年、安倍首相に不公平な条約だと言ってきた。変える必要がある」
  

「日米安保条約」締結から70年近くたつ中、日米関係のありようが今、改めて問われています。

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