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2021年10月17日放送風をよむ「核拡散…科学者の死」

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万雷の拍手に迎えられる北朝鮮の金正恩総書記。11日に平壌で開幕した兵器の展示会「国防発展展覧会」の模様を朝鮮中央テレビが公開しました。

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アナウンサーの実況「あの凛々しく頼もしい姿こそが、まさに、祖国が誇る百人力の戦闘員たちです」

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瓦のようなものを頭で割ったり、おなかの上に乗せたブロックをハンマーで割るなどして、鍛え上げられた肉体をアピールする兵士たち。

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それを見つめる金総書記の後ろには、妹の金与正氏の姿も…。

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上空では航空ショーのような光景が繰り広げられたほか、会場には、ICBM=大陸間弾道ミサイルや、先月、発射実験が行われた極超音速(ごく・ちょうおんそく)ミサイルとみられる兵器が登場します。さらに、兵器を視察する金総書記が、満足気にたばこをくゆらせ、ビールを楽しみ、幹部たちと談笑する場面も…そして割れんばかりの拍手の中、金総書記が演説…

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アナウンサー実況「敬愛する総書記同志は、国防政策の真髄は自分の力で祖国と人民を防衛することで…」

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演説の中で金総書記は、軍事力を強化する方針を示す一方、「主な敵は、戦争そのものであり、特定の国、勢力ではない」と、今後のアメリカや韓国との対話再開に含みを持たせるような発言を行ったのです。こうした金総書記の発言に限らず、ここ最近、北朝鮮をめぐる動きが活発になっています…。  

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先月21日、韓国の文在寅大統領が、国連総会で演説。
文在寅大統領・国連総会(9月21日)「朝鮮戦争の当事国が集まって『終戦宣言』を成し遂げる時に、非核化の不可逆的な進展とともに完全な平和が始まると信じている」

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その中で、韓国、北朝鮮、アメリカの3者、または中国を加えた4者で集まり、朝鮮戦争の終戦宣言をするよう呼びかけるとともに、「非核化」の進展を訴えたのです。

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しかし、これに対し、金総書記は先月29日、「終戦宣言の前に敵視政策をまず撤回するべきだ」と否定的な姿勢を見せます。しかも、北朝鮮は核開発をやめるどころか、継続する構えを崩していません。

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IAEA=国際原子力機関は、北朝鮮が、7月から寧辺(ヨンビョン)にある核施設を再稼働させた兆候があると分析。先月の年次総会でも、核活動を「全速力で進めている」と強い懸念を示しました。

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北朝鮮があくまでもこだわり続ける「核開発」。そして10日、その道筋をつけた科学者が亡くなったのです…

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パキスタンの「核開発の父」と呼ばれたアブドル・カディル・カーン博士。10日、肺疾患のため病院で亡くなりました。85歳でした。

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1998年、核実験を行ったインドに対抗し、ウラン濃縮の専門家だったカーン博士の指導のもと、パキスタンもイスラム教国として初の核実験に成功。 カーン博士は、「救国の英雄」と称えられたのです。

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しかし、カーン博士は世界規模で核開発技術などの売買を行う、いわゆる「核の闇市場(やみしじょう)」を構築。

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北朝鮮をはじめイラン、リビアに核技術を提供し、カーン博士は西側諸国から「史上最大の核拡散者」とまで呼ばれましたが、博士は、欧米中心の核兵器独占という状況を批判していたといいます。

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そうした中、2004年にカーン博士は、北朝鮮はじめ各国への核技術提供の事実を認め、テレビで謝罪しています。
カーン博士(2004年2月)「心からの悔恨の念と、この上ない謝罪を申し上げるために皆様の前に現れることにしました…」

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カーン博士によって引き起こされた、北朝鮮への核技術の拡散。その北朝鮮は、これまで6回に及ぶ核実験を行ったほか…

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大型核が搭載可能というICBMの発射実験を実施。

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最近も次々、ミサイル発射実験を繰り返しており、いまや北朝鮮は30から40もの核弾頭を保有しているとされます。

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現在、北朝鮮が国交を結ぶ国はおよそ160か国。その中にはミャンマーやシリアなど政情不安の国もあり、今後さらなる「核拡散」の懸念は拭えません。「核なき世界」どころか、「核拡散」の脅威に怯える世界の現状。私たちはこの問題にどう取り組んでいけばいいのでしょうか…。

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