2020年11月22日「風をよむ ~コロナ禍の五輪の行方」
北海道・鈴木直道知事「迷ったら札幌市内では不要不急の外出はしないで下さい」
金曜日、新型コロナで過去最多となる304人の新規感染者が出た北海道。札幌市は191人と6割以上を占めています。
そして東京都でもきのう(21日)新たな感染者が過去最多となる539人に。
来年のオリンピック・パラリンピックの舞台となる東京、そしてマラソン競技が行われる札幌でも、感染が広がっています。
こうした中、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長が来日し、月曜日、菅総理と会談しました。
IOC・バッハ会長「来年実現するんだという強い意欲を示して頂き、心より御礼申し上げます。その意欲は私たちも同じです」
さらに、バッハ会長は、東京都の小池知事や、大会組織委員会の森会長といったキーパーソンと相次いで会談。会組織委員会の森会長といったキーパーソンと相次いで会談。バッハ会長は観客を入れての開催に自信を示しました。しかし、コロナの感染拡大が続く中、バッハ会長と組織委員会・森会長の会見では、こんな質問も・・・
記者「世論調査などでも五輪開催への機運が高いとは言えないと思うが、共感を得るためにはどうような考えをお持ちか?」
森喜朗・東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長「コロナがどんどん増えて、そういうニュースばかり見ていると(回答に)ウェイトがかかってしまう。『こんな時に五輪なんてやるべきではない』と出るだろう。我々も今、共感を得られるようにあらゆる努力をしている」
実際、8月にJNNが行った世論調査では、「予定通り来年7月に開催すべき」が20%、「さらに延期すべき」が39%、「中止にすべき」が33%と、意見は割れています。街で聞いても・・・。
街の人①「開催されるのであれば、ぜひ行きたい」
街の人②「無観客とかリモートだと、地場の熱気が生まれないから、人は入れた方がいい」
街の人③「楽しみだけど、本当にやるのかな、みたいな。コロナがやっぱり心配」
この時期のバッハ会長来日の背景を、東京都の元職員でオリンピック招致にも携わった国士舘大学の鈴木教授は・・・。
鈴木知幸・国士舘大学客員教授「今の時期に来た意味は、日本側のスポンサーへのメッセージです。『中止はありません。必ず実施します』と。スポンサー企業は組織委員会との契約が12月で切れるんですね。再契約してもらわないと、来年度の追加経費が出てこなくなってしまう」
巨額の予算が動くオリンピック。実際、今回の東京大会の予算は、去年末の時点でおよそ1兆3500億円にも達しています。
9月、大会組織委員会は、IOCと52の項目で簡素化を進めることで合意し、削減額がおよそ300億円になったと発表しましたが、削減額は限定的です。
巨大マネーに左右される今のオリンピック。その岐路となったのが、今からおよそ40年前の大会でした。
1984年のロサンゼルス・オリンピック。東西冷戦で西側諸国がボイコットしたモスクワ大会の直後、立候補する都市が他にない中、実業家でもあるピーター・ユベロス組織委員長による民間主導のもと、開催にこぎつけます。
「放送権料」と「スポンサー料」が巨大化し、「商業五輪」と呼ばれたこの大会の成功が、その後のオリンピックの在り様を大きく変えたのです。
しかし、今回のコロナ問題が、余りに商業化し肥大化した近代オリンピックを問い直すきっかけになるのではと鈴木教授は語ります。
鈴木知幸・国士舘大学客員教授「将来の近代オリンピックの在り方を今回提案する良い機会になった。IOCは『満席を目指していきます』ではなく『最低でも無観客で、大会は実施します』というべき。それで(コロナの)状況を見ながら席数は増やしていく。一番アスリートたちを考えてやってほしいと思う」
では、当のアスリート自身はどんな思いを抱いているのでしょうか・・・。
卓球・石川佳純選手「オリンピックは本当に頑張ってきたご褒美の舞台でもあるので、最高の努力をして、楽しんでプレーしたい」
スポーツクライミング・野口啓代選手「頂いた1年間でどれだけ自分が強くなれるのかなっていうのを毎日考えていますね」
今回、来日したIOCのバッハ会長は、開催時に有効なワクチンが入手できれば、外国人アスリートへの接種費用をIOCが負担するとも語っています。
前例のないコロナ禍の東京オリンピック。来年7月の開会式まで、あと243日です。来年7月の開会式まで、あと243日です。
IOC・バッハ会長「9か月後の五輪も成功をおさめられると自信を持っている」
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