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2020年10月25日「風をよむ~元大統領のメッセージ」

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トラクターの整備をする男性…。実は南米ウルグアイの元大統領です。

ウルグアイ ホセ・ムヒカ元大統領「シャワーを浴び、ヒゲを剃りスーツを着る。大統領になった日に着たのと同じ服だ。クリーニングに出せば新品と変わらない」

彼を一躍有名にしたのが、2012年に開かれた国連主催の環境サミットで行った、この演説… 

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ウルグアイ ムヒカ元大統領のスピーチ(2012年)「環境危機が問題なのではなく、我々が作り出した文明モデルが問題だ。我々が振り返るべきは、私たちのライフスタイルなのです」

この演説で世界的注目を集めたのは、ホセ・ムヒカ氏。「持続可能な社会」のありようについて世界に問いかけたのです。

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2010年から2015年までウルグアイの大統領を務め、任期中も官邸には住まず、郊外の農場で妻とペットと共に生活。

国民のために収入の9割を寄付し、自らは質素な生活を送ったムヒカ氏は、「世界で一番貧しい大統領」とも呼ばれました。

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大統領退任後は上院議員として活躍。しかし、今回のコロナの感染拡大が続く中、85歳という高齢と免疫系の持病の為、20日、政界を引退すると発表したのです。

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大量生産、大量消費に明け暮れ、効率や利益を求めて地球環境を破壊する現代の資本主義を強く批判した国連でのスピーチは、日本でも絵本となって紹介されました。

『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』より「人生は短く、あっという間です。命より大事なものはありません。しかし必要以上にものを手に入れようと、働きづめに働いたために、早々に命が尽きてしまったら?…」
「あくことなく、ものを手に入れ、ものを作り続けることが今の社会を動かしています」
「私たちは“発展”するためにこの世に生まれてきたのではありません。この惑星に“幸せ”になろうと思って生まれてきたのです」
       

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貧しい幼少期を過ごし、若い頃はキューバ革命の影響を受けて、軍事政権に抵抗、民族解放運動に身を投じたムヒカ氏。

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その後政治家となって頭角を現し、2010年3月、大統領に就任。在任中は、貧困層のためのインフラや住宅整備などに奔走…。

ウルグアイ ホセ・ムヒカ元大統領「建材が大幅に値上がりしている。貧困層が住宅を購入するのは無理だ。作業の報酬は期待しないでくれ・・」

また子供たちの教育向上にも努めました。

ウルグアイ ホセ・ムヒカ元大統領「学校一つで世界は変えられないが、変えるためにはたくさんの学校が必要だ。」

さらに力を注いだのが、再生エネルギー普及などの環境対策。ムヒカ氏は、監督とのインタビューの中で、こう語っています。

ウルグアイ ホセ・ムヒカ元大統領「人類に必要なのは命を愛するための投資だ。全人類のためになる活動は山ほどある。世界一乾いた砂漠の気候を変える。それは人間にもできる。年寄りが金を貯め込んだり、高価な車を生産する代わりにできる」

そして2015年、80歳を目前にして大統領を退任。翌年4月、彼は日本を訪問したのです。

2016年4月、日本を訪問したムヒカ氏。その目的をこう語っています。

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ウルグアイ ホセ・ムヒカ元大統領「私たちは互いに遠く離れていますが、学ぶべき事が沢山あります」

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そして、広島を訪れ、原爆資料館でこう書き記したのです。

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ウルグアイ ホセ・ムヒカ元大統領「地球上で人間だけが同じ過ちを繰り返す」「私たちは過去の過ちから学んだだろうか」 

現代文明や資本主義が生み出した様々な問題に一石を投じ続けたムヒカ元大統領。

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大統領退任後は、私財を投じて貧しい人々のために、家を建てることに取り組んでいます。

大統領、そして上院議員を経て、今回、政界引退を決めたムヒカ元大統領。今、その思いをこう語っています…

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ウルグアイ ホセ・ムヒカ元大統領「今の時代、“自由”とは“欲望”を追求することになってしまった。変わらなければならない、新しい世代にその機会をゆだねたい…」

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