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いま話題の職業「データサイエンティスト」って何者?

堀口ミイナ:本日のゲストをご紹介します。株式会社グラフの代表取締役CEO原田博植(はらだ・ひろうえ)さんです。よろしくお願いします。

原田博植:よろしくお願いします。 
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ミイナ:博植さんって珍しい名前ですよね。

原田:そうですね。よく言われますし、Facebook上でもローマ字で「Hiroue Harada」が一人しかいないので、非常に助かってます。

ミイナ:素晴らしいですね。原田さんのご職業はなんですか?

原田:データサイエンティストというお仕事でして、データを使って世の中を便利にしていくというお仕事です。

ビッグデータを分析し、分析結果を生かしてビジネスの価値を生み出したり
課題を解決する「データサイエンティスト」という職業。

2019年2月にアメリカの求人情報サイトが発表した「最高の職業ランキング」では、なんと1位に選ばれたほか、データサイエンティストとして働く人の数も大幅に増えるなど、注目度ナンバー1の職業。データサイエンティストについてのあれこれ・・・じっくり聞きます。

ミイナ:データサイエンティスト。最近よく聞くようになりましたよね。

原田:そうですね。職業欄にもはっきりとデータサイエンティストという職種として書けるようになってますし、いろいろ求人会社とかでも普通に扱いが出ている状態になっていますね。

ミイナ:具体的にはどういうお仕事が多いんですか?

原田:今のところまだまだ企業の中でデータベースの付加価値を上げていくみたいなお仕事ですね。いろんな今あらゆる産業とかあらゆるお仕事の中でデータを使わない仕事がなくて、かつデータベースがない大企業ってほぼ無いと思うんですけども、そういうデータベースの付加価値をもっと上げていって「次の事業の種」を探していったりとか、売り上げを上げたりとか。

ミイナ:確かに普通に営業したりとかしてるだけでデータって溜まっていくものなんですよね。

原田:そうですね。どんどんたまって行きますし。数字のデータだけじゃなくて、こういう顔であるとか声であるとか、様々なデータの種類が増えてますし、種類もそれを取る場所もすごく増えてますので、データを扱う人の数が全然足りなくて、それを早いうちからやっていたというところで、いろいろ先に学んだことをいろいろお伝えできるっていう、そういう立場かなと思っています。

グラフを立ち上げる以前は「グルーポン」や「リクルート」でデータサイエンスの部門を作る主導的な役割をしていた原田さん。2015年には「データサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

ミイナ:身近なところでも例えばiPhoneだったりとか、ちょっとすごい万歩計みたいになってるじゃないですか。歩数わかったり、心拍数わかったり、AppleWatchとか着用しようものなら、自分についてのデータもすごい増えてるなっていう気がするんです。生きてるだけでどんどん蓄積されてって。

原田:個人のデータもいっぱい増えるっていうことは、細かくなっているものを細かくターゲットすればするほど、商品開発もビジネスも成功する確率が上がっているので、具体的にはそういう支援とか、そういうお仕事が多いかなと思いますね。

ミイナ:なるほど。そういうのって何て言うんでうすか?

原田:「ターゲティング」とか「ターゲット」ってよく言うと思うんですけど。昔に比べて細かくターゲティングできるようになってるっていうのが、所謂ビッグデータの恩恵というか、ビッグデータ時代の特徴かなと思います。

ミイナ:今だと女性、男性、何十代みたいな。それで終わっちゃってるのをもっともっと細かくしていくと、やっぱりみんなハッピーになっていくんですかね。

原田:そうですね。あのもちろん良し悪しだと思いますし。それの、今、皆さんのニュースとかで見たことあるかもしれないですけど、最たるものが中国ですとハッピーになるっていうと、どうかっていうと滅茶苦茶便利になってますよね、きっと。本当に国全体でキャッシュレスになってるし、一説にはそのパスポートを忘れた人の、パスポートが必要な時に顔のデータが中国政府が全部持ってますんで、「あぁ良いよ」みたいな。

原田:逆に言うとそれぐらい全部ちゃんとデータ、個人情報も管理されているということなんで、まぁ本当に良し悪しって言った意味としてはすごく便利になるけど、一方でなんて言うんですかね、「本当に大丈夫なのかな?」っていう、それだけ個人情報知られててて全部管理されてて大丈夫なのかなっていうところもありますよね。

ミイナ:ちょっと何か利便性とプライバシーがどこまでっていうのがせめぎ合いになってますよね。私、日本だとすぐ印鑑だせとか、印鑑証明書がどうとか、結構信じられないくらい「古い」っていう気もするんですけど、一方でインターネットとかSNSの世界はすごい情報がとられてるんじゃないかなっていう気がするんですけど。

原田:そうなんですよね。だからそこを割り切ってやって国を運営して、国を会社みたいに速度を重視して運営してるのがさっきの話だと中国みたいになるので、それは経済成長しますよね。優秀な人がいちいちこのハンコ持ってきてとか言われて、ハンコを家から持ってくる。忘れたら次の日になる、で押す、並ぶ、みたいな。それをやっていることで全部その人の時給に換算したら国の生産性を全部損なっているわけですから。それが管理することで無くなるんだったら、そりゃ速度がぐわぁーって、人の速度が上がって企業の速度が上がって国の速度が上がりますよね。

ミイナ:もう中国人はそれに慣れちゃってるから全然気にしてないのかもしれないんですけど、アメリカとかヨーロッパとか日本っていうのはどうなんですかね?

原田:ヨーロッパは昔、ナチスのホロコーストとかがあった所で、個人情報を特定されるとそのあと国の体制とか世界の情勢が変わったときにどんな風に利用されるかわからないから、ブロックするというのがGDPR(一般データ保護規則)というのが施行されてまして、定められてますし。

ミイナ:法律ですか。

原田:法律ですね・・・ですから、積極的にGoogleとかFacebookもそのラインに抵触しそうなところに関してはすごく結構厳しく制裁したり、制裁金を払わせたりということをやってるっていうところで、ヨーロッパはヨーロッパでそのデータのヨーロッパ圏での「自治」みたいなのをある程度意識してます。・・・で、アメリカはアメリカで今そういう状況ですし、中国も完全にサービスもデータベースも通信もまた別の体系でやろうとしてるっていうのがありまして、日本は独特にアメリカのサービスとかアメリカのデータベースに依存して生活していて、経済大国の中ではデータベースが全部他国にあるみたいなちょっと独特の特殊な・・・。

ミイナ:あ、じゃあちょっと「データ属国」みたいになってるんですね。

原田:「データ属国」・・・にはなってますね。

ミイナ:それはよく聞く「GAFA」とか…Google、Apple、Facebook、Amazon。

原田:そうですね。

原田:あのGAFAの問題って、その経済文脈だけでしゃべられること多いんですけど、こと日本においてはもうすごい特殊な問題でして、データベースがすべてそこにあるということで、中国の会社が今たとえば世界のトップランカーに上がって行ってて、GAFAと競ってるみたいなそれだけの話じゃなくて、日本は独特にかつそのGAFAに全部データが入ってますよっていう。そういう経済とまた別の「データの自治」というか、「データの独立性」、国としての個人情報の独立性みたいなところも観点としてちょっと見ていただけるといろいろ視野が広がるかなと思いますね。

ミイナ:いや、GAFAのサービスなんてもう世界中使ってるので、「あ、もうしょうがないじゃん」って思いだったんですけど、実は結構日本だけがこんなにも依存してるっていう。

原田:そうですね。それはすごい特徴的だと思いますね。

ミイナ:そうなんですね。

原田:たまに何か機械学習ライブラリーとかでも日本製をとか、Amazonに対して楽天さんとかもあると思うんですけど。そういう文脈もたまに出てくるんですけど、やっぱり利便性に・・・本当にそれが危ないとか危機的な状況が見えない限りは利便性の方にみんな寄っていきますんで、基本的にみんなGAFA使ってる状態になってますよね。

原田:行き過ぎると怖いのは何かっていうと、さっき申し上げましたとおりそのヨーロッパの世界大戦が起きたときの世界情勢の変化であった時とか、あとはもちろん悪いことした時とかですけど、悪いことしてないから大丈夫って思ってる人はどんどん公開してるっていうのは、利にはかなってるかなって思いますね。

原田:ちなみに(堀口ミイナさんは)三菱商事でお働きになっていたとお伺いしましたが・・・。

ミイナ:そうなんですよ。会社に入って四年間ずっと「ローソン」とか「ライフ」のリテールというか、小売り周りの仕事だったんですけど、とにかくデータ、データ、データで。

原田:小売りのデータってすごいですよね。ターゲティングの細かさでいうとコンビニエンスストアの棚の在庫の状況プラス、その地域にお住いの方々の購買傾向とか・・・そういう色んなデータがあって、

ミイナ:めちゃめちゃ商品も多いし、足も速いんでコンビニの商品ってすごい勢いで入れ替わっていくじゃないですか。でしかも掛ける2万店舗とか3万店舗でそれが拡散するので、ちょっとしたデータの理解の違いとかがすごい売り上げの違いになってくるんですよね。だから日々戦いでしたね。

原田:本当に在庫コントロールで売り上げがものすごく毎日動いていきますし、今日なんか事件があったとか、雨が降ったとかでもすごい動きますんで。本当にすごい所謂データ分析で言うところの「変数」とか、すごい多次元のパラメータで結果が出る。

ミイナ:近くの小学校が例えば運動会だったりとかすると、滅茶苦茶ペットボトル飲料とかが売れるんですよね。だから、それをちゃんとコンビニのオーナーさんが情報として仕入れられているかどうかで全然また変わってくるんですよ。で、そこでまたちゃんと正しく在庫を増やしておければ、チャンスを全部ものすることが出来るんですけど、逆にないと「あれこのコンビニ、物が少ないわね」みたいになっちゃったりとか、あったら買ってたものが無いとか言うことになっちゃうんですよね。

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ミイナ:これまで例えば「こんな苦労があったよ」とか「こんな壁があったよ」ってエピソードありますか?

原田:そうですね、やっぱりデータを使って企業の中で利益を生むとかっていうのが、自分はグルーポンとリクルートっていう2つの会社でものすごいスタートアップ、小さいスタートアップの時とリクルートも3万人以上いるときと両方でデータサイエンスの部門を作る主導的な役割をやらせていただいたんですけども、その中でやっぱり「これが一体いくらになるんだい?」っていうのはビジネスの原理原則ですんで、そのデータ分析したら何があるの?ってことに対して徹底的に言語化する必要があるんですよね。結局だから会社の中って大体、パワーポイントっていう紙芝居みたいなやつで。

ミイナ:紙芝居ですよねぇ。

原田:紙芝居みたいなやつなんですけど、ものすごい必死で作ったもので会社の合意を得ていくんですね。当時のデータサイエンス業務とかって、例えば「営業」っていう会社の機能であったら、「営業いないと食い扶持が始まらないよね」とか、(共通理解)があるんですけど。「データサイエンス」とか言うと、「それは何?」みたいなとこから始まるんで、「それは何?」をちゃんとこういうコスト、大きいこと言うとお金って使う分と戻ってくる分しかないので、会社としてはデータサイエンスをやることにいくら使うのかっていうこと、何人がやるのかとか、どんなツールを買うのかとか、どれくらいしたらお金を稼げる状態になるのかっていうのと、結果一年後だか、半年後だか、三年後だかでいくら稼げるようになるのか、それはどういう形で稼ぐのか?みたいな、そういうの全部整理してかなきゃいけなかったんですね。それがやっぱり大変で、機械語のほうが楽だなって思いましたね。平たく言うと。 それが自分がデータサイエンスの方に入ってきた転機かもしれないです。

ミイナ:好みとかありますもんね、上司のね。改行の好みとか、伝え方の好みとか。

原田:で、全員に全部別のパワポ作るのかとかもありますし・・・。プログラミング言語のほうが自分が間違ってたら、通らなかったら絶対自分が間違ってるんですよ。自分がデータサイエンスの道に行ったことを一番端的に言うと、絶対にプログラミング言語を打ってピーってエラーになったら、こっち(自分)が間違ってるんですよね。これが気持ちよくて。人間同士だと絶対にどっちが間違ってるって本来ないじゃないですか。

ミイナ:むしろ、「俺間違ってないのに」みたいなことのほうがあったりしますよね。

原田:(プログラミング)言語はどっか「ビー」ってなったら、ちゃんと調べたら自分が「あ、ここがちょっと抜けてた」とかコマンド間違えてたとかになるんですよね。それがもうすごいなんか、結局声のデカい人の案が通るとか、クリエイティブな話とかだと議論がもう終わらないとか。折り合わない時間も長いし、折り合えないことも多いじゃないですか。それがもう、無理・・・みたいになった時に、機械語に行ったと思うんですよね。
  
ミイナ:それはいいかもしれないですね。結構特に若い世代とかって、何世代も上の上司のそういうのに付き合ってられないというか、ちょっとしんどいなっていう人多いと思うので、この機械言語の世界の方が、ともするとみんな気持ちが楽で働けるのかもしれないですね。

原田:そうですね。ポジティブに関われるところだけ、人間同士で・・・それ以外のところはそういう風にもっと言葉の意味で効率化が進むのかも

(後編につづく・・・)