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好調なスタートの後は様子見。米国CPI、金融機関の決算本格化で方向感なしを予想(週間展望および投資戦略 2023年01月10日 - 01月13日)

「世界一やさしく」投資を教える、ジョン・シュウギョウです。毎日、投資家目線で日本と米国の市場について、分析と考察をしています。

こちらに掲載してある情報は情報提供を目的としており、相場の方向性、個々の商品、個別銘柄等の見通し、売買の方向性など有価証券の売買等に関する助言や勧誘などを行うものではありません。投資に関する最終判断はユーザーご自身の判断で、最終損益もご自信の判断の結果として返ってくることをご認識ください。

今週のポイント

日本市場の総合分析: 今後の投資戦略

2023年、最初の週が終わり、2週目に入るところです。

日本は成人の日を含め、3連休。先週を振り返りつつ、連休の間に起きた出来事を解説して来週以降の投資戦略を立てていきます。

1週目は軟調

2023年1週目の日本市場は軟調な動きとなりました。3年ぶりに大発会で下げを記録し、下げ幅は400円に迫り、終値は377円安で1月4日の取引を終えました。この時点で既に終値が26000円を大きく下回りました。

Google Finance より引用

週間では3営業日で2上昇1下落と上昇の日数が優勢でしたが、大発会の下げ幅には敵わず、週間では約120円の下落となりました。

連休の間、米国株は上昇

日本が連休に入る6日の世界市場、米国市場は上昇しました。

ダウ工業株30種平均は大幅に反発して、前営業日比700ドル53セント(2.1%)高の3万3630ドル61セント、

Google Finance より引用

ナスダック総合株価指数も大幅に反発して、前営業日比264.053ポイント(2.6%)高の1万0569.294で取引を終えました。

Google Finance より引用

インフレのピークアウト確認できない指標の結果が市場を押し下げました。上昇の要因となったのは労働市場の柔軟性が高まったこと。同日に発表された雇用統計で非農業部門の雇用者数は市場予想の20万人増を上回り、前月比22万3000人増となりました

これだけでは下げの材料となりますが、平均時給の上昇が鈍化したことが上昇につながりました。平均時給は市場予想0.4%増に対して前月比0.3%増で下回りました。賃金のインフレが緩和されたことでFRBの利上げフェーズが緩むとの期待が市場を支えました

長期金利は下落、ナスダックの上昇をサポート

指標の発表を受けて、長期金利は大きく下落、3.5%台をマークし、金利に動きに敏感に反応するハイテク株の買いにつながりました。主要なハイテク株が軒並み上昇するとともに、景気敏感業種にも買いが広がりました。

米国市場の動きを参考に日本に関係する指標も好調な動きとなりました。シカゴ市場における日経平均先物は上昇、3月物が前日比480円高の2万6160円まで伸ばして終わりました。日本株のADRも軒並み大幅に上昇して、日本市場の好調な動きを予感させました。

様子見の要因が強い日本市場

好調な動きを予感するといいながらも、現実はそんなに甘くありません。来週の動きは先週同様、方向感の掴みにくい動きを予想します。

まず、外部環境が一方的な買いか売りになりにくい現状です。営業日が1日少ないことだけでも市場は盛り上がりにくい要因を一つ持っており、週の後半に注目のイベントがあることから、様子見が強まります

12日(木)に2022年12月の米消費者物価指数(CPI)が発表予定です。CPIはもはや最重要経済指標の一つとして位置付けられており、雇用統計の結果と整合性の取れる結果になるかが注目点です。

雇用統計では賃金インフレが鈍化する結果が好感されましたが、CPIの結果がインフレを再度加速させるような結果になると失望による売りが膨らむでしょう。その場合は買いのポジションを膨らませておくと大きな損失につながるので、ポジションを小さく持ちながら材料のある銘柄に資金が集中する動きがメインになるでしょう。

注目は米国の決算

主要な経済指標とともに注目が集まるのは米国企業の決算発表です。13日の金曜日だけでもJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなど錚々たる金融機関の決算発表が予定されています。

市場は長期金利の下落基調で金融系の業績が落ち込むのは既定の事実として受け止めているが、その落ち込みの度合いがどれくらいなのかも焦点になりそうです。この日を起点として、本格化する米国企業の業績動向は最重要チェック事項となり、特に日本市場に大きな影響を与えるハイテック・ナスダック銘柄の業績動向からは目が離せません

戦略の立てにくい日本市場、それでも道はある?

様子見、方向感の定まらない動きが予想されるので投資戦略を立てるのが難しくなるのは容易に予想できるでしょう。そういうことで休むわけにはいかないし、このような場面でも、もちろんちゃんと戦略はあります。

まず、注目のニュース一つの着目。先週末に話題になったのは、新発の10年物国債利回りが0.5%程度で推移、日銀の金融政策修正後に早速上限の0.5%に達しました。これが適切な水準とみるのは難しく、日本の物価も上昇傾向にあることから、0.5%を超えることも想定しておく必要があります。

その場合、恩恵を受けるのは当然ながら現在も買われ続けている銀行・保険業で更なる長期金利の上昇が確認されると現在の位置も割高とは言えなくなるでしょう。買いの戦略を中心とする場合は、継続して注目する必要があります。

金利敏感業種、為替の動きに注意

その反面、金利の上昇で逆風にあうのが金利敏感業種。不動産、建設など借入規模が常に大きく、金利の上昇が直接影響するこれらの業種は推されやすくなるので、ショートの戦略を取り入れる場合は動向をチェックするようにしましょう。

6日の雇用統計で平均時給が市場予想を下回り、市場はドル売り・円買いに転じ、円高が進みました。6日に一時的に1ドル=134円を超える場面もありましたが、急激に下げ、132円台に戻り、131.99まで記録しました。

円高傾向が強まってはいますが、130円にはサポートが存在しており、下値は固い展開が予想されます。下値が固いといっても円高に振れていることに変わりはないので、自動車、機械、電気機器などの輸出関連銘柄には注意が必要です。

特にCPIの結果によっては更なるドル安もあり得るので、銘柄選定には慎重になる必要があります。

方向感なしでも落ち着いて対処

2週目から早くも方向感のない動きで、苛立ちを覚える投資家もいると思いますが、市場に対して苛立った状態で勝ったことは一度もありません。少なくとも私にはそうでした。

市場の動きをある程度予測して、様子見の強い相場になるのはすでにインプットしているので、慌てることもないし、落ち着いてこの場を乗り越えることができるでしょう。

はい、如何なる相場でも落ち着いた対処を。

それが個人投資家に求められる姿勢です。来週も落ち着いて、でも情熱を持って頑張っていきましょう。

各市場の動き

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