令和にキリ番デッドヒートラジオ
最近、視聴している生配信がある。
作業喪ジオである。
作業喪ジオとは肘樹さんという方が原稿作業をしているところを配信しているものである。
所謂作業配信であるが絵を描いている手元などは一切映らず、肘樹さんのその日の机の上の写真のサムネイルが出ているだけである。机の上と言うか、大部分がテニラビが表示されているiPadの写真である。
音声のみの配信で、作業をしながらコメントに反応したり、ニコニコ許諾楽曲となっている槇原敬之ソングを流しながら歌を歌ったり口笛を吹いたりしている。
なぜ私がこの配信を視聴しているかと言うと、あまりにも古のインターネットの空気に包まれているからである。
令和にほかえりほかてらの文化が生きているような放送なのだ。
その上テニミュの空耳が流れたり、2000年代初期の少女漫画の話題がありえん盛り上がったり、レッツゴー陰陽師歌って～！なんてコメントが流れる。
平成のインターネッツ！？！？
2008～2010年あたりをニコニコに入り浸って過ごし、初期のTwitterを経験しているのであまりにも懐かしく、居心地の良い空間過ぎてやみつきなのである。
それを差し引いてもこの配信、ありとあらゆる作業の進捗が報告されその度にとにかくコメントで褒めまくるので精神衛生上大変よろしい。掃除をしたと報告すると褒められる。皿洗いをしても褒められる。風呂に入っただけでも歯を磨いただけでも褒められる。果ては生きてるだけでも褒められる。
マジでなんでも褒められるので作業効率が上がったという声も寄せられている…というような話を肘樹さんご本人も書いておられるので、そちらも必読だ。
肘樹さんご本人のnoteでも触れているが、喪ジオにはほかてらほかえり以外にも平成インターネッツの文化が今も当たり前のように存在している。その中でも愉快度が高いものを二つ紹介しよう。
肘樹さんnoteと重複する内容だが、触れておかないとこの後の話が出来ないので許して欲しい。
なりチャ
なりきりチャットの略。早い話が「キャラクターの口調を真似て、キャラクターになりきってチャットをする」こと。
恐らく過去になりチャをやって黒歴史を製造しまくり、なりチャと聞くだけで総毛立つという人もいるのではないだろうか。
現代だと、恐らくLINEのオープンチャットあたりでまだ生きている文化だと思われる。
喪ジオの視聴者の多くはお嬢様言葉でコメントをしているため(なんで？)常にお嬢様なりチャをしていると言えなくもないが、お嬢様のような漠然とした概念ではなく独立したキャラクターとして存在している、喪ジオ三大なりきりについて言及しておく。
①ペガサスさん
遊戯王に登場するキャラクター。「ミーの勝ちデース」、「遊戯ボーイ」と言った台詞が有名。
喪ジオでは主にキリの良い時間に現れ、「○○時デース」、「○○時デース 肘樹ボーイ」と作業をしていて時間の感覚が鈍くなっている肘樹さんと視聴者に時報を告げて去っていく。たまに5分前行動のペガサスも存在する。
視聴者からはペガサスさん、時報ペガサスと呼ばれている。ほぼ時報しかしないが、たまにマインドスキャンをしているペガサスもいる。
だんだん時報に参加するペガサスの数が増えてきている。
②侑士さん
テニスの王子様に登場する、氷帝学園テニス部員の中三男子。ギリギリ聞き取れるねっとり低音囁きボイスとロンゲと伊達メガネが特徴的。
恋愛シュミレーションゲーム「ドキドキサバイバル」から生まれた怪台詞、「お嬢ちゃんをデコレーションしたるわ」を一部改変した台詞が多用されている。視聴者からは侑士さんと呼ばれている。
ペガサスさんと共に時報も行っており、「○○時やでェ…」「○○時やでェ…お嬢ちゃん…」と言ってくる。
ペガサスさんと同様に時報に参加する侑士さんの数が増えてきており、ペガサスさんに対して「ペガサス…なんか増えてへん？」とツッコんだ後、この時だけ生えてくる向日岳人に「そう言う侑士…お前も」と自身もツッコまれるのがお決まりの流れ。
③ヒソカさん
ハンターハンターに登場するキャラクター。恐らく三大なりきりの中で一番キャラ崩壊が激しく、喪ジオではお弁当のおかずの仕込みをしたり、プリンを作ったり、掃除をしているなど家庭的なキャラが定着している。
原作での描写から「虫はすぐに駆除せずに育つまで待ちそう」などと言われ、害虫駆除に関してだけは全くアテにされていない。
若干ドジっ子属性が生えてきている。
キリ番
個人サイト全盛時代の文化。今なお現役なサイトもあるだろう。
二次創作個人サイトないし一次創作個人サイトのアクセスカウンターのキリの良い数字やゾロ目のこと。
たくさんの人に閲覧された証でもあるので、お礼としてキリ番を踏んだ人から絵や小説のリクエストを受け、サイトの持ち主が書くという文化がある。
喪ジオにもコメントでこのキリ番文化が存在しており、最初は踏んだらラッキーだね程度だったような気がするが、そのうち踏み逃げ禁止の文化も踏襲され、今は「キリ番を踏んだ人は肘樹さんにモノマネか歌をリクエストする」ということになっている。なんで？
今回はこの喪ジオに息づく二つの古き良きインターネット文化に纏わる珍事について記録していきたい(クソ長前置き)。
この日の喪ジオは「ほかてら、ほかいまを改変してフィットボクシングをやってくる、やってきた人に対してフィボてら、フィボいまと声掛けする新文化を作る」、「作者もタイトルもわからない昔の少女漫画誌の読み切り作品を、少ないヒントから探し当てた名探偵が二人同時に現れる」など既にかなり濃い回ではあったのだが、そんな中
ヒソカさんが謎のコメントを残していた。なんの事だろう？と思ったのだが、他の視聴者のコメントや肘樹さんによってキリ番までのカウントダウンをしていることがわかった。
キリ番を待つヒソカに感心したり驚いたりしている視聴者たち
そしてコメントがあと200ほどで4000になろうとしている時、再びカウントヒソカさんが現れた。
これを見て、ヒソカさんにキリ番を取らせたい視聴者が現れた。
1時半は喪ジオ終了時刻
このコメントを皮切りにヒソカさんにキリ番取って欲しい！という思いで視聴者の心がひとつになっていき、コメントがドンドン加速していく。
コメントの回転率を上げる→ケイデンスを上げるという連想からか、弱虫ペダルの恋のヒメヒメペッタンコを歌う(打つ)視聴者も現れた。
恐らくヒソカさんの発言から純粋にキリ番を待っているのだろうと思ったからキリ番を取らせてあげたいという人と、キリ番を取るヒソカって…おもしろ！！という人の2パターンいたと想像するが、キリ番を取らせたい気持ちは同じだ。
視聴者たちはヒソカさんの為にコメントを埋め続けていく。
こんなヌクモリティ溢れる放送、お金じゃ買えない！
着々と増えていくコメント。
視聴者がヒソカさんのために整えるキリ番ロードである。
だが、加速し始めて以降ヒソカさんの反応がなく、
ヒソカさん就寝説が流れ出した。
そんな…ヒソカさんの為に頑張ってるのに当の本人はいない…ッてこと！？！？この事態にいつメンの侑士さんも不安の色を覗かせている。
ガンガン突っ走ってきたのにバトンを繋ぐべき人がいないかもしれないという事態に、
なりすましヒソカ待望論まで出始める始末。あーもうめちゃくちゃだよ
それでも一応現れることを信じて引き続きコメント埋めをする視聴者たち。
もう4000も目前というところでコメントが若干減速。流れが早く心配だったが、これならヒソカさんもキリ番を取ってくれるだろう(寝てなければ)…ぽまいら…お疲れ…
と思った時、その瞬間は訪れた。
誰？
荒北靖友である。
恋のヒメヒメペッタンコを歌って(打って)いたから召喚されたのだろう、箱学の運び屋である。
遡ってみたらやはりと言うべきか、
コメント加速時に既にいた。
視聴者が築き上げたキリ番ロードをヒソカさんが独走していたと思われたが、音もなくこの男が近づいてきていたのである。
ヒソカさんどころかいつもの三大なりきりですらない男がかっさらっていくというまさかの展開に、肘樹さんと視聴者は困惑＆大爆笑。
しかも荒北さんのコメント、もう一度見てもらいたい。
獲る気満々やろがい！！！！！！！！
アシストしようとしたらうっかり～というアレではない。なんて勝利に貪欲な男なの……。
一方のヒソカさんはと言うと
堂々の4003番である。
荒北さんはキリ番リクとして自身のモノマネを所望し、
と勢いのある謝罪コメントを残して去っていき、またしても肘樹さんと視聴者の笑いをかっ攫っていった。
一方のヒソカさんはと言うと
次のコメント育成にやる気を出していた。おそろしく早い切り替え 俺でなきゃ見逃しちゃうね
ただ多少ショックだったのか、
恐らく手製であるプリンを食べるとのことである。この時間から！？！？
しかもこの後なんとかしてヒソカさんにキリ番を取らせたい視聴者たちは4444のキリ番なら取れるのではないかとまた少しコメントを加速させたのだが、プリンを食べていたヒソカさんは当然ながら4444までに戻って来られなかった。
令和にヒソカと荒北靖友がキリ番目当てにデッドヒートをくり広げるという、そんなもんクロスオーバー二次創作漫画においてすら起こらねえぞという珍事も起こる。そう、喪ジオならね。
肘樹さんの漫画
追記
7月12日(日付け変わってたけど)夜の部にて、ヒソカさん念願のキリ番ゲット。おめでとう！！！
コメントも沸いている
ヒソカさんはキリリクとして
喪ジオで大人気な槇原敬之の「濡れひよこ」…の替え歌として「濡れヒソカ」をリクエスト。
濡れヒソカって、何？
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