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2020年5月の音楽(とか)のこと

すっかり暖かくなってきてTシャツ1枚の季節ですね。ヒトには人生でこれ!というTシャツを見つけるという幸せの一つの形があると思うのですが、私にとってのそれは、Good Onのものです。

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数年前から何枚も買って夏の日常着として着倒している。定番品のサイズLは、Tシャツをこのくらいの感じで着たい!という注文を思い通り満たしてくれるシルエット。そのうえ強度としなやかさを兼ねたUS綿は着心地もよければ、染色とその色落ちもカラーによっては絶妙に粗野で美しく、まさに日常着の最適解という風合いを放っている(値段も実に絶妙なところだし、入手性もいい)。

特に好きなのはP-ナチュラル、P-スレートと名前のついたカラーです。

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最近買うのには同じ型でもついてないことが多くて毎回残念に思うのですが、この裾についたタグも実にちょうどよく可愛くて大好きです。

今年は定番品よりも高オンスで、サイドスリットも入っている「S/S HEAVY RAGLAN POCKET TEE / ショートスリーブヘビーラグランポケットTシャツ」を買い足した。重厚でパキっとシルエットが出るのに、包まれるような肌なじみがこの厚みあってこそでお気に入りです。唯一の代償は真夏ちょっと暑そうなところでしょうか。

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こいつらをガシガシと着てガシガシとアウトドアに繰り出してみたいところですが、GWの9連休もそれ以降も精々近所の散歩くらいに留まっています。

なんならGWの9連休は外に出ることすら煩わしくなるくらい「ゲーム・オブ・スローンズ (以下"GOT")」シリーズに熱中し、ほぼこの休みだけでS1後半から最後の最後完結まで一気に駆け抜けた。文字通り9連休を捧げました。

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いやーどうしてこんなにこんなに面白い物語が存在するのだろうか。

振り返ってみると10日ちょっとの間、一日7,8時間ぶっ続けで集中力を保ててしまっていたんだからやっぱりすごいものです。

特に好きなエピソードをあげてみると、S3E9「キャスタミアの雨」、S4E8「山と毒蛇」、S4E9「黒の城の死闘」、S4E10「世継たち」、S6E9「落とし子の戦い」、S6E10「冬の狂風」、S7E4「戦利品」、S8E1「ウィンターフェル」、S8E2「七王国の騎士」、S8E3「長き夜」あたりでしょうか。偏り。

私の視聴体験的に殊に感動し、印象に残ったポイントを挙げるとすると、それは一つ戦の撮り方にあるかもしれない。S2E9「ブラックウォーターの戦い」、S4E9「黒の城の死闘」、S6E9「落とし子の戦い」、S7E4「戦利品」、S8E3「長き夜」とこの物語の要所には壮観な戦闘があることが常です。例えばHBO公式ギャラリーに名ショットが豊富な、S6E9「落とし子の戦い」。

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あー素晴らしい!!莫大な予算をかけて組上げたシークエンス中で繰り広げられる統制とその綻びの連続!!上記2枚目で見られるボルトン家の隊がスタークとフリーフォークを取り囲み盾を構えて一歩一歩にじり寄っていく光景、その映像美である。加えて印象的なのは、戦の形勢にあまり関係なく両軍の騎士がある種無差別的に散っていく様をカメラは常に収めていく点である。そこにこの物語が持つ凄惨などうしようもなさや、膨大な人物たちのミクロなプロットの積み重ねによって、歴史書には埋もれてしまう歴史(それは過程である!!)を描こうとする一貫した思想のようなものが見えてくるように思うのだ。

戦闘シーンと言えば、ラストシーズンS8E3「長い夜」について「画面が暗くて何をやっているのか分からない」というクレームが少なくないことを知ってちょっと憤りに近い気持ちが沸いてきてしまった。いや、よりによって「ナイト・キング」との最終決戦が白昼堂々と執り行われるなんて興ざめもいいところでは。むしろ吹雪いていないだけマシと言えよう。それに暗くてよく分からないほど、未知の恐怖と闘っているという実感も伴ってくるはずだし、「炎」の見え方も変わってくるのは「ブラックウォーターの戦い」からここに至るまで散々刷り込まれているはずでなかろうか。

ついでにもう一つ、これはGOTに限った話でもないんだが、「伏線」に異常な執着を見せる勢力は一体何なんですかね。確かにGOTの巧妙に張り巡らされたプロットの数々には私も感嘆しきりでしたが、ヒトの生きる世界を、そう簡単に原因と結果で説明できると思うなよと思うのです。我々の歴史は理不尽の連続である。それを全身全霊かけて教えてくれたのもGOTという物語であったはずだ。

怒ってばかりいるみたいになってきたので、パッと思いつた最高シーンを軽く振り返りますね。

・「アリア&ハウンド」、「ジェイミー&ブライエニー」、ロードムービーとしても至高であったGOT。画像8


・S4E8「虫を殺し続けるいとこのドーソン」。数多の候補を押しのけこのモノローグがベスト・オブ・ティリオン、名台詞だと思います。

・最終話。サム、ブライエニー、2人のペンによって歴史が「書き残され」ようとするのがいいじゃないですか。きっと二人は誠意をもって書くべきことを書く。それでもどうしたって零れ落ちてしまう数多の立場の人々からみた歴史、その過程をここまで見てきたわけですよね。

・最後にS8E1、ジョンとデナーリスのドラゴンライド。

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そのアクションにロケーションに、表情に、こんなに美しいものがあるのかと何度でも感動してしまうのです。



GOT以降、これまでしばらく食指が動かなかったドラマシリーズを観るのがすっかり習慣化している。(本来は本を読む時間などと食い合っている。)

ドイツのNetflixオリジナルドラマ「DARK」のS1,2を完走。子供-青年-老人というように人物一人につき、もれなくキャスト2,3人の顔を一致させなければいけないアクロバティック仕様によって、GOTから続く相関図片手にドラマを観る力(ぢから)が著しく鍛えられた。

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脚本が極めてちゃんとしているので、全く寄り道や箸休め的なプロットがなくても見れてしまう、非常にストイックな作品なんですが、急にエモーショナルな趣となるS2E6にやられてしまった。

首の傷を隠すために黄色いレインパーカーのジップをぐっと上げる仕草、かっこいいよなー。

今月末2020年6月27日から始まるS3を楽しみにしようと思う。


未だかつて音楽の話に入るのにここまで文字数を費やしてしまったことがあっただろうか…!

外に出ず出費が減ったことで、懐に余裕がある。GW中のオンライン飲み会後の勢いでJudee Sill「Heart Food」のUKオリジナル盤を購入した。

未だに我が家にあるのが信じられない代物である。とはいえここまでの状態の良さをもってしたら買いだったのではないでしょうか。相場は今回の買値の1.5倍くらいだったような気がする。

5月に新しく聴いて気に入ったもの。

私は2020年にニール・ヤングとボブ・ディランのリリースを待ちわび、ボブ・マーリーを聴いてポール・サイモンを思う男。


この前の週末には祝いの気持ちで寿司を用意して、ROTH BART BARONの配信ライブを観た。奏者7人が輪を描くように向き合う陣形、すごくかっこよかったな。めぐろ パーシモンホールでのツアーファイナルをいつまでも待ち続けようと思う。実現したらすごく泣いちゃうだろうな。


ロットの配信が終わってからは坂本裕二 Livingを観た。坂本裕二の現状に対する諦念が、ひしひしと伝わってきて、若干複雑に思いながら楽しみました。「戦争のとこ」、「油やってる」親密さが宿る美しい言葉だなと思う。


李氏さん刊行の『痙攣』もじっくりと読みました。

「編集」の意義、それ自体のもつ美しさを実感すると共に、私も何かを頑張らなきゃなとなんだかふいに思わされたのでした。

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