その赤を僕のものに

時間が止まる。

言葉も失う。
君が少し気まずそうに笑う。
きっと君はこの時間の使い方を知らない。

僕が君の頬に手を添え、そっと唇を重ねる。
君は驚いて、ほとんど反射で瞼を伏せる。
固く、ぎゅっと目を閉じる。

少し離して、もう一度重ねる。もう一度。
……もう一度。

君の顔がどんどん赤く染まっていく。

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