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#タクシードライバーは見た「空虚な工事」

それに気づいたのはお客様の一言だった。
「工事ばっかりしてんな!」
深夜12時前の銀座でお乗せしたお客様をお送りしていると、銀座を出る前に工事をしている場所に捕まり、また少し進んでも工事をしている。
「金余ってんだよ、オリンピックは結局札幌いくし!」
札幌に行くことと、工事が増えることの関係はよくわからなかったが、
確かに工事が多いことは都内を毎日のように走りながら感じていた。

お客様をお送りしながら、ある大通りを走っていると工事をしている。
その内容は道路の舗装工事。
今あるコンクリートを削り上げ、綺麗なコンクリートを入れ込む作業をしている。
ーーあれ、ここってそんなに工事必要な道だったっけなぁ。
頻繁に通ることのあるその道は、工事が必要なほど荒れた道では無かったと記憶している。
なかには、走ると何度もバウンドを繰り返すほど凸凹な道もある。
それなのに、気にもならないような道を工事していた。
思えば、その日に別の場所でも道路の舗装工事を見たが、そんなに気になる道ではない場所を舗装していた。

「工事すると嬉しい人達がいるんだから」
後ろに乗る二人のお客が交わした会話の中から出てきたこの言葉が、昼の工事と今真横で行われている舗装工事を空虚なモノだと思為させる。
政府が投資をしているようにお金を流し、企業はそのお金で工事をするが、
本当に必要な工事には思えない。
2019年度の公共インフラ整備などの財源に充てる建設国債の発行額は10年ぶりの高水準とも言われている。
大企業の法人税は引き下げられて来た中で、このお金で企業は業績などを上げているのかもしれない。
戦後最長の好景気だとか、約26年ぶりの日経平均株価の高値回復など、
ニュースで取り上げられるが真実は知らない。

一つだけ思ったのは、そんな工事よりもっと資金や援助が必要な地域が日本にはあるだろうということ。

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