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#タクシードライバーは見た「温かい伝染」

新型コロナウイルスの影響でタクシーを利用する人は減っている。
それでもタクシーに関して、もしくは自分にとってはそこまで大きな影響は受けていないが、イベントを予定していた方々にとっては準備してきた全てが水の泡となり、個人経営の飲食店や旅館は休業のみならず閉じるという選択をしたという話を聞いたりもする。
それぞれの立場の人たちが困難な状況に立たされ、ウイルスによる感染だけでなく、悲愴な病に侵されかけているように思う。

この間、トイレ休憩がしたくとある施設の側に停めようとした。
タクシー運転手にとってはそれとなく定番の場所で常に何台か停まっており、今回もそうだった。
時刻は20時を回っている。
お客さんが少ない影響でもあるのか自分が停めるスペースも無いほどタクシーが並んでいた。
ならば、しょうがない。

唯一停められそうな場所はあるが、そこは駐車場の入口の付近となっており邪魔になりそうだと思って移動することに決めた。
停める場所がなく、他の場所を探すために回送で無駄に走ると言う時間が僕はとても嫌いで、今回もその難儀な時間を過ごすのかと多少の気の重みを増した感覚を感じながらアクセルを踏もうとした。
すると、
そこの駐車場の管理のおじちゃんがなにやらジェスチャーをしている。
しっかりと確認が出来なかったのでもう少し見ていると「いいよいいよ、ここ」と停めて良いよとジェスチャーしてくれている。
これは助かった。余計に走る必要もないし。

停めた後、
「ありがとうございます、邪魔になりませんか?」
と聞くと
「大丈夫っ!今日暇だから、その気持ちを持ってくれただけで充分有難いよ」
ってニコって笑ってくれた。
なんか心がジワーっと温まる瞬間だった。

大したことなんてないけど、こういう温かさを感じる瞬間すら今は減っているんじゃないだろうか。
こういうのが広まると良いんだけどな~。
コロナなんかより。

そんなことを思った出来事だった。



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