2020年2月の記事一覧
#タクシードライバーは見た「やっちゃったなぁ. . . 」
―――やっちゃったなぁ、、、
タクシーの車内でそう口から吐かれるとこのあと出てくる言葉が気になる。
忘れ物をしたのか、サイフやスマホを失くしたのか、
はたまたズボン履いてくんの忘れた、なんてボケるのか。
この間お乗せしたお客様はガサガサと音を立てながら何度もそう言っていた。
深夜一時ごろ、六本木の芋洗い坂、六本木交差点から麻布十番へと抜ける細い通りで一人の男性をお乗せした。
身長は185センチほ
「飲酒運転して罰金払ったんだよね~」なんて平気で言うお客を乗せた。
まさかでした。
「宝くじの4等当たったんだよね~」
とか
「階段から落ちて足ねん挫したんだよね~」
と同じノリで飲酒運転の話をしていました。
さて、タクシー運転手をしているからといって毎回変わった体験をする訳ではありませんが、仕事をしていく中で見る人間模様は本当に面白いです。
タクシーエピソードを集める傍ら、「#タクシードライバーは見た」という僕が運転手として体験した話も投稿しているのですが
#タクシードライバーは見た「おじいちゃんのお孫さん. . . ?」前編
終電が終わっても街に人が繰り出し、タクシー運転手は売上を上げる絶好の機会となる金曜日の夜11時頃。
都心から少し離れた町でおじいちゃんが立っていた。
正直、得意とする地域ではないため進んで乗せたいとは思えない。既に回送にもしていて乗せない選択を取ろうとした。
しかし、小雨だが降っている。そういえばこの後は雨が強くなる予報もあった。
傘もささず少しふっくらとしたおじいちゃんはもう20年以上も着ていそ
#タクシードライバーは見た「おじいちゃんのお孫さん. . . ?」後編
雨が降る中、傘も差さずに立っていたおじいちゃん。
お乗せしてみると何度も「ごめんなさい」と言いながらバツが悪そうにしていた。
お会計時、後ろを振り向くと首からかけたカード入れには赤ちゃんの写る古い写真が入っていた。
前編はこちら
https://note.com/taxi_driver1/n/n1346ee882d67
頭の中では既に写真の物語を回想するシーンが流れ始める。
最初に回想された
#タクシードライバーは見た「横断する外国人観光客」前編
今日も、タクシーで都内を巡る。
朝の街を見れば、会社へ向かう人だかりと
その人だかりをかき分け
死に物狂いで急ぐ人もいる。
お昼の街を見れば、財布やお弁当箱を持ってランチに出かける
OLさんがいる。
夜の街を見れば、残業帰りの疲れたサラリーマンも居れば
お酒を、飲み気分の良くなったおじさんもいる。
出会いだけではなくて、街を眺めることもこの仕事の愉しみである。
よく観察していると、面白い人間の性
#タクシードライバーは見た「横断する外国人」後編
平日の夕方、銀座の中心ともいえる銀座4丁目の交差点で信号待ちをしていた。
青に変わり左折をしようと歩行者の横断を待っている。
歩行者信号が点滅しもうすぐ赤に変わる、
というときにわたり始めた歩行者がいた。
前編はコチラ
https://note.com/taxi_driver1/n/n86b0423a04bd
その方々は外国人旅行者の3人。
点滅も終盤のところで渡り始めたため、案の定、渡り始め
#タクシードライバーは見た「欲に塗れる」前編
こんなにも不快な鳥肌を立てた経験は初めてだった。
これまでの鳥肌の記憶を思い返しても重なる感覚が一度たりともない。
誰もいない暗い夜道で何かの気配を感じとき、運転中に子供が目の前に飛び出したとき、震え上がるような想像を超えたパフォーマンスをみたとき。
そのどれとも違う新たな鳥肌の要因だった。
欲にまみれ、自分を見失う瞬間というのは恐ろしい。
平日の深夜、麻布十番で7,8名ほどの集団が立っていた。
#タクシードライバーは見た「欲に塗れる」中編
前回の続き
――――
男「やっぱり大島は居たほうがいいですよね~」
女「そうだね~、大島は絶対居てほしい。それで~、大島は私がお持ち帰りしたい」
男「・・・それ、僕ジェラっちゃいますわ~」
女「・・・小池もお持ち帰りされたいの~?」
男「・・まぁ、されたいっすよね~」
会社のノリから発展して続いていた会話だった。
合コンをするなんて話題すら酔ってフザケていただけのはずだった。
しかしこの瞬間、空気
#タクシードライバーは見た「欲に塗れる」後編
前回の続き
――
男「てか、ホントに来るんすか?」
女「行ったらだめ~?」
男「いや、、なんか」
小池が口を開いた。
にらんだ通り、上司が家によることを願っているのか自ら話題を振る。
女性の上司は酔いなのか普段からなのか甘え口調が増し、それが更に小池を欲の渦中へと巻き込んでいく。
そんなことより、小池の目的地はどこなのか。
左折と言う指示したっきり彼はそれどころではない。
小池の降りる場所が知り
#タクシードライバーは見た「喜びの災難」前編
煩わしい出来事には遭遇したくない、常にそう思っている。
この仕事でいえばお客様にあたる。
今にも吐きそうな泥酔客、言い掛かりをつけて絡んでくる泥酔客、酒とにんにく入りラーメンを食べた後の混ざった口臭で、更に濃度の高い鼻をひん曲げるほどの異臭を「ウップ」と吐き出したりあくびをして車内に漂わす泥酔客。
それらのお客様をお乗せしても全く持って喜べないし、厭わしい。
はずだった。
深夜零時頃、六本木でス
#タクシードライバーは見た「喜びの災難」後編
前回の続き
―――
目的地まではあと少し、時間にすると3分ほどのところまで来ていた。
――この後はどのポイントへ向かおうか
終わったも同然で次のことを考えながら交差点を右折していると
「あ、すみません」
急にお客様が声を掛けてきた。
はいと返事する間もなく続けて出てきたのは
「あの、吐きそうっす」
「え、あ、あ、」
まさかの出来事に言葉が詰まる。
急に吐くと言われ、すぐに停められない状況に放り込