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一分で読めるタクシーエピソード『タクシードライバーは見た』

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ヨナシロがタクシー運転手として乗務している時に見た、聞いたお客様のエピソードや出来事を書いています。 ちょっとクスッとできる話や、タクシーから見た世の中の話、 は?というどうでも… もっと読む
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2019年11月の記事一覧

#タクシードライバーは見た「香ばしい匂い」

#タクシードライバーは見た「香ばしい匂い」

土曜日の昼間、新宿を走っていた。
繁華街には人が多く行き交い、右にも左にも流れていく。
交差点で信号待ちをしていると、
「こんだけ人がいるのに一向に乗る気配がない」
と思う瞬間もある。
同じ周辺を何周回っても乗ってこない。

少し違う道を行こうと、飲み屋や飲食店の多くあるところを通ってみると
1人の男性が手を上げた。
「うわ、まさか昼間から飲んだ客乗せるのか」
そう思いながら近づくと、その男性はタ

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#タクシードライバーは見た「芽生えた恐怖心」

#タクシードライバーは見た「芽生えた恐怖心」

「キィィィー、ドンッ!!」
微かにそんな音が聞こえて目が覚めた。
乗務していた日の休憩中のことである。

シートを深く倒し、横になって目を瞑り睡眠をとっていたこともあり、
ハッキリと音が聞こえた訳では無かった。
衝撃音のあとに直感的に目が覚めた。

起き上がってみると、僕の後ろの車を含む三台が事故に遭っていた。
一部始終は見ていないが、僕の後ろに停めていた車に
軽トラックが突っ込んでいた。

どう

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人間の愛おしさも、非常識さも垣間見た記録。#タクシードライバーは見た

人間の愛おしさも、非常識さも垣間見た記録。#タクシードライバーは見た

タクシーをエンタメにしています。
ヨナシロです。

本日は、平日昼頃に更新中の一分で読めるタクシー話シリーズ
「#タクシードライバーは見た」
を紹介いたします。

主に、見たことない方向けの振り返りです。
#タクシードライバーは見た とは、、、
ちょっとクスッとできる話や、タクシーから見た世の中の話、
は?というどうでもいい話など、
タクシー運転手として乗務しているときに僕が見た(聞いた)話を

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#タクシードライバーは見た「おばあちゃんは、元秘書」

#タクシードライバーは見た「おばあちゃんは、元秘書」

新宿方面へ走っていると、50代ほどの女性と、その女性に手を携えられた80ほどのおばあちゃんが手を上げた。
乗ってきたのはおばあちゃんのみ、
タクシーに乗るまでの間を50代ほどの女性が手伝っていたらしい。

おばあちゃんを乗せ走りだすと、早々に話始めた。
「私ねぇ、ずっと東京に住んでるんだけどね、すっかり変っちゃたわよ」
「あぁ、そうなんですか」
「私はねぇ、東京の某〇〇の秘書をしていたの、」

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#タクシードライバーは見た「ゴミ客と思ってしまう気持ち」

#タクシードライバーは見た「ゴミ客と思ってしまう気持ち」

深夜の六本木、最近は外国人やマトモな人が減ったように思う。
深夜のお客様は目的地まで寝てくれるサラリーマンが一番楽。

この間お乗せした女性は、乗る前からちょっと乗せたくないメンドクサそうな雰囲気を醸し出していた。
ある交差点で待っていると、電話をしながらタクシーを横切り、扉の前でピタッと止まる。
電話をしているしなんの合図もないし乗るのかどうかはっきりしていない。

お乗せすると、電話をしながら

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#タクシードライバーは見た「高速道路で笑う」

#タクシードライバーは見た「高速道路で笑う」

お客様をお乗せし高速道路を走っていた。
お昼ごろの高速道路は事故や工事が無い限り少なすぎることも多すぎることもなく、一定の速度で流れ続けるから走りやすい。
それでも油断はせず、車間距離を確保しながら目的地へ進む。

二車線の高速道路の左側は少し遅めだったため右側の追越車線を走っていると、左の車線を走る軽貨物車に近づいた。
妙な運転をする訳でもなくいたって普通ではあったが、丁度こちらがその軽貨物の右

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お客様には敬服することも、ゾワっとさせれることもある。#タクシードライバーは見た

お客様には敬服することも、ゾワっとさせれることもある。#タクシードライバーは見た

タクシーをエンタメにしています、
ヨナシロです。

タクシーエピソードを集める傍ら、「#タクシードライバーは見た」という僕が運転手として体験した話も投稿しています。
毎回変わった体験をする訳ではありませんが、タクシ―運転手として見る人間模様は面白いです。

本日は、お客様の考えに敬服するお話、ゾワっとさせられる体験をしたお話の二つを紹介いたします。
#タクシードライバーは見た とは、、、
ちょっ

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#タクシードライバーは見た「救世主はそばに」

#タクシードライバーは見た「救世主はそばに」

「なんでだよ、頼むから動いてくれよ」
朝会いに行くと、彼は力尽きていた。
それなのに僕は為す術がなかった、これから共に大海に出ていくというのに。

朝一、タクシーの乗務前の点呼を終え自分の担当する車へ行くとエンジンがかからない。
エンジンを完全に切らない状態で置かれていたためバッテリーが上がっていた。
外見には一切力尽きる様子は見えないが、ウンともスンとも言わない。
ガチャガチャというキーを回す音

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#タクシードライバーは見た「街の変遷」

#タクシードライバーは見た「街の変遷」

時の流れに妙な恐怖心を感じることがある。
時間だけが過ぎ、自分が全く前に進めていないのではないかと感じる。
よくある、会社の出世どうこうとかの話ではない。
うちのタクシー会社というか、タクシーの乗務員は出世のようなシステムになっていないから。
あ、でも、昔役者を始めたころに出会った人が映画やドラマで活躍しているのを見ると少し心がむず痒い。
ふと、俺は何をしているんだろうと感じる時もある。

タクシ

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ぼったくり金の行き場はどこへ?#タクシードライバーは見た

ぼったくり金の行き場はどこへ?#タクシードライバーは見た

タクシーをエンタメにしています、
ヨナシロです。

タクシーエピソードを集める傍ら、「#タクシードライバーは見た」という僕が運転手として体験した話も投稿しています。
毎回変わった体験をする訳ではありませんが、タクシ―運転手として仕事をする中で見る人間模様は面白いです。

本日は
「人に見える」何かを見たとき、
「ぼったくり金の行き場」を聞いたとき
の二つを紹介いたします。
#タクシードライバーは

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#タクシードライバーは見た「強い背中」

#タクシードライバーは見た「強い背中」

深夜2時ごろだった。
辺りは数多のタクシーが空車の表示と、会社ごとに違う多彩な行灯を煌めかせていた。
帰庫の時間が迫り、わざわざ粘るのもどうかと思うこの時間帯。
ーこの交差点で乗せなければ帰ろう。
そう思っていた矢先、赤信号で渡って来た一人の男性が目の前のセダンタイプの空車をスルーし、JPNタクシーの僕の車両に手を上げてきた。
ラッキーだ。
これで、自分の営業所に近いところに変えれれば尚よい。

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#タクシードライバーは見た「不穏な助手席」

#タクシードライバーは見た「不穏な助手席」

この人はもしかすると嫌なのかもしれない。
そんな仮説のようなものが立つと、その後の行動が気になってしまう。

3人以上でタクシーを利用するお客様のなかで助手席に乗ってくるお客様は、だいたいその中で気を遣う人や、部下であることが多い。
助手席が好きなだけの人ももちろんいるだろうが、タクシーの上座なんてモノも暗黙では存在していて、助手席は一番部下の人間がよく乗ってくる。

深夜の六本木、クラブのボーイ

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#タクシードライバーは見た「煩わしさを好む」

#タクシードライバーは見た「煩わしさを好む」

煩わしさを好みたい。
今日もタクシーを走らせると、選べるなら乗せたくないと思うお客を乗せる。相手の事を理解せずに、自分の都合だけを押し付けるような人。
その合理性は理解できるが、こちらにはその合理で動けない理由が存在する。
そのいちいちを説明するほどのことではないが、その細かな部分をを知らない相手は不満を露わにする。

僕が乗るJPNタクシーという車両は扉の開け閉めをボタンを押し続けなければ閉めら

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#タクシードライバーは見た「ウィンクするだけ」

#タクシードライバーは見た「ウィンクするだけ」

ウインクを続けるのは僕だけに見せた表情なのだろうか。
ウインクを続けて行うことはない。
左目だけパチクリと動かすと違和感があるし、それを見ている人は何の意思表示なのだろうと思う。
もしかしたら、本人は気付いていないだけかもしれないが。

昨日、朝一のお客様をお乗せして高速道路を走っていた。
一本目から高速で、しかも自分のテリトリーとなる都心部へと入れるのはありがたい。朝ということもあり清々しい気持

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