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海、恋焦がれる南の島々(1) | 奄美大島

1年前の夏、僕は何気なく航空会社のウェブサイトを見ていた。

大阪から神戸に生活の拠点を移してから、バタバタと。
ゆっくりと旅に出る機会を失っていた、その気晴らしのつもりで。

そこで目に留まったのが、関西国際空港から新しく就航した奄美大島便。

フォトグラファー佐藤健寿さんの「吐噶喇列島」でのロードトリップの写真を見てから、『(鹿児島以南の)南西諸島へいつかは行ってみたい』と考えていた僕は、セールが出ていたこともありボタンひと押し、フライトは半年先の冬場ではあったが、奄美大島へのチケットを手にすることになった。

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島の玄関口「奄美大島空港」へは関西国際空港から1時間45分のフライトだ。

奄美大島は、本土の鹿児島から南西へ360km、沖縄本島からも340km、鹿児島と沖縄とちょうど中間の洋上にある。

太古からの海洋自然が残る奄美群島国立公園(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)の中心の島として、また、古くは中華王朝や琉球王国と日本との交流の要地だったことから多様な自然や文化が色濃く残る島。

亜熱帯海洋性の気候で、暖かい海に囲まれているため、 四季を通じて温暖多湿、年平均気温は20℃を超える。(これは冬場のフライトでも渡航しようと決めた理由でもある。)

※今回は空路での奄美入りとなったが、鹿児島市内から沖縄まで24時間かけて奄美群島の島々に寄りながら渡るフェリーも、旅好きの間で密かな人気を集めていることにも触れておきたい。

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別便で奄美大島空港でのトラブルがあり、空港が閉鎖。入島が1日後倒しとなり、乗ることのなかった南海難波駅からの特急ラピート。

当初は3泊4日の滞在を予定していたが、初日の関西空港への移動中に「奄美大島空港でのトラブルが原因でフライトキャンセル」との知らせが入った。

どうも、奄美群島内のフライト(奄美大島ー喜界島)での小型機が滑走路を逸脱したらしい。

復旧見込みが立たず、やむなくフライトを翌日に延期し、計2泊3日の少しタイトな日程となった。(空港への道中の知らせだったため、やむなく途中の大阪・堺へ前泊することとなった。)

ちなみに今回は、奄美大島本島に1泊、そこから海を渡った最終目的地でもある加計呂麻島へ2泊を予定していたが各1泊に短縮した。(美しい海と原生に近い自然との共生が見られる加計呂麻島へは、可能な限り長い時間滞在したいと考えていたので断腸の思いだった。)

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雲に覆われる四国、九州を越え、南の海を目指す。

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奄美大島空港にて。奄美群島国立公園の世界遺産への登録の動きが活発化しているようだ。フライトは快適で、予定通り2時間かからずに到着した。

先にも書いた通り、今回は奄美大島に来たが、最終目的地は少し海を渡ったところにある「加計呂麻島」だ。

今回、奄美行きのチケットを手配した後、周囲に情報を聞きまわった際に、大学時代の友人が加計呂麻島を凄く勧めてくれた。

自然が豊かで、海が綺麗なこと。
小さな島だけど、島の人々が優しいこと。
夕陽が綺麗なこと。

僕は、出来るだけの時間をその加計呂麻島を見て回りたいと感じた。

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奄美大島空港は島の北端。今回は中心地の奄美市には立ち寄らず、島の南端にある古仁屋という地区を一路目指す。

加計呂麻へスムーズに移動するために、まずは南端の町、瀬戸内町古仁屋へ移動する。(瀬戸内町自体は加計呂麻島も含むため、区別するために一般的にこの地区は古仁屋と呼ばれているようだ。)

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奄美大島の空の玄関口である空港の建物の中には、いたるところに海が感じられる。

空港からは路線バスに乗るという手段もあったが、途中にいくつか立ち寄りたいところがあったため、近くの「くろうさぎレンタカー」で車をチャーターする。(残念ながら写真がないが、南国感あふれる雰囲気溢れるアットホームなレンタカー屋さんだ。「奄美の黒兎」になぞらえられた名前と思われる。)

夕方のフライトだったこともあり、少しせかせかと車に乗り、奄美大島での時間が始まる。

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島のコンビニ。「島」と付けば、どこか南国の雰囲気が出てしまうから不思議だ。

滞在中の天気は、残念ながら曇りが続くようだ。。
暖かくも念のため、上着を羽織りながら海岸線を車で進む。

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木々が砂浜の直前まで茂る、青々した海が続く奄美大島東側の海岸線。

日も暮れかけてきているが、道中小腹がすいてきたところに、
島とうふ屋さんが見えてくる。島への旅客の間では有名どころらしく、入ってみることにした。

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正直、「奄美で豆腐?」とハテナが止まないが、奄美周辺のミネラル豊富で透明度の高い海水から生まれた「にがり」を使った豆腐は甘く味わい深かった。

店内は遅い時間に関わらず、客が入れ替わり立ち替わり入り、繁盛していた。

とうふ屋というだけに、湯豆腐や揚げ豆腐の他にも様々な体に良く、そして旨い品々が並ぶ。

軽く食事を取るつもりだったが、お腹がパンパンになるほど食べ込んでしまった。(写真を取り忘れた)

予想以上の満腹感を抱えながら、一路南へ。

奄美空港から古仁屋までは約70km。それもうねうねとした海岸線もあれば、亜熱帯の木々が茂る山道もある。

美しい島の風景の中とはいえ、想像以上に時間が掛かってしまった。

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古仁屋の町に入った頃には、20時を回り、静けさが目立つ時分だった。

明日の朝には加計呂麻に渡りたいと考えていた。

海を渡ってしまえば、すぐそこだ。

涼しげな夜に空気が口惜しくも、
古仁屋の宿はほとんど泊まるだけになりそうだった。


次へ続く。

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瀬戸内町の海上交通の要である古仁屋港。翌朝7時の「フェリーかけろま」で加計呂麻島を目指す。

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