「人事=採用ではない」ということを、ほとんどの社員は知らない。

どうも、たっつーです。

先日、下記のツイートを見ました。以下は引用です。

人事=採用ではないし、むしろそれ以外の方が組織に重要な影響を与える事を理解した方がいいと思う。いくら採用しても、評価、キャリアパス、育成、組織文化なんかがバランスよく手をいれられていないと、人数だけ増えても、すぐに組織は崩れる。繰り返すが、人事=採用ではない。

このツイートに加え、最近とある甘い味のしそうな会社さんの人事の方が退職されたことが話題となっていたので、人事ネタについて書こうと思った次第です。

ということで今回は「人事=採用ではない」ということを、元人事目線でお話します。

私の経歴

私は前職で車関係の会社で営業1年やった後に、人事を5年経験しました。そのうち3年はスタッフの研修や指導育成をし、その後の2年は新卒採用を担当しました。

ですので「人事=採用」ではないことを経験則で話せるかなと思います。

現在はIT業界へエンジニアとして転職し、今いる会社では人事担当者とよくTwitterのDMで、人事のことについてお互いの考えや意見を交換しています。

ちなみになぜTwitterでやり取りするかというと、人事担当者が面談や面接、外部セミナーによく行くので職場にいないからです(笑)

「人事=採用」ではありません

人事は企業の経営資源である「ヒト・モノ・金・情報」のうち、「ヒト」に関することを担うところです。

そして採用以外にも幅広い領域の仕事があります。たとえば、

・処遇(配属、人事異動、昇進昇格など)
・制度(処遇や評価といったルールの作成、整備など)
・労務管理(働き方、賃金など)
・能力開発(研修、指導育成など)

これらを見ると、採用は人事の仕事の一部に過ぎないので、イコール関係とは言えないことがわかります。

…とエラソーに言ってますが、私が営業してた頃は「人事=採用」だと思ってました(笑)

ではなぜ、過去の自分も含めて私たちは「人事=採用」と思うのでしょうか?

採用以外の人事の仕事が社内の人にはわかりづらい

理由はとても単純で、人事の仕事の性質上、実はあまり社内の人たちと交流をしません。

それもそのはずで、人事は基本的に会社の一部の人たち(社長や役員など)とやり取りをします。

そして外部の人たちとのやり取りが多いですね。求職者や転職エージェント、社労士や弁護士などの士業の方、ハローワークや役所など多岐に渡ってやり取りをしています。

さらに仕事で扱う内容が機密事項でセンシティブなものばかりなので、情報漏洩にはすごく敏感だからです。

たとえば人事異動の時期が近づいてきた時に、人事が社員に「あの人最近どうなの?」と聞くだけでも、社員から「もしかして今度の人事異動で動かされるのかな?」とか思われるわけですよ。

こっちは単に聞いているだけなのに、そのように勘ぐられてしまうことは多々あります。これは人事あるあるだと思いますね(笑)

そして社員特有のネットワーク(口コミ)でいつの間にか「あの人が今度異動するんだって!」みたいなウワサが広まるわけですよ。もうめんどくさいったらありゃしませんね!

というわけで人事は主に社内のことを扱うのですが、そのために社外の人とのやり取りが頻繁にあるわけです。だから社内の人たちは人事が何をやっているかなんて、さっぱりわからないわけですよ。

ですので人事の仕事の中で1番目立つしわかりやすい仕事が、採用というわけです。だから社内の人たちは「人事=採用」と思いやすいというわけなんです。

採用以外の仕事の方がむしろ重要

これは完全に私個人の意見ですが、「人事は採用以外の仕事の方が重要である」という企業の方が多いのではないかと思っています。

というのも、先ほど挙げた人事の仕事の中で、社員にとって重要な人事の仕事は「処遇、制度、労務管理」だからです。

だってこれらの仕事は社員の生活に直結しているからです。

給料が振り込まれなければ困りますよね?
配属先をテキトーに決められたら怒りますよね?

要は社員の関心があることの方が重要というわけです。

それに比べて採用は、社員にとってほとんど関心がないことです。だって今年の採用枠10人に対して4,5人しか取れなかったとしても、社員にとっては別にどうでもいいことですもんね。

それなのに新人がヘマをしたり辞めたりすると「なんであいつ採ったの?」って言う人がいたりするわけですよ。冗談でも言ってほしくないですけどね…。

さらに言えば能力開発にもあまり関心はありません。社員に研修しても、めんどくさいとかやっても意味がないとか言われますし、何かと都合つけて欠席する人もいるくらいには無駄だと思われることもあります。

まぁ私がやってたのが採用と能力開発だったので、人事の中での下っ端だったんですよね〜。そりゃそうだって感じですが。

人事で重要な領域のことは、管理職クラスがやることが多いです。おそらくほとんどの企業はそうなんじゃないですかね。教えてください人事の先輩方〜!

話を元に戻すと、以上の事情からほとんどの企業の人事は、採用以外の仕事の方が重要だったりします。

ただし例外もあって、事業を急激に拡大させるようなフェーズの企業にとっては人材確保が急務な場合もあります。その時は採用の仕事が重要視されるケースもなくはないですね。

もちろん採用自体は必要だし、蔑ろにするようなことはまったく思っていません。仕事の幅が広く、社内外の対応が多くとても大変な仕事なんですよね、人事って。

私が言いたいのは、人事というのはその会社ごとに扱う領域の幅が違うので「人事=採用」とだけ見ると、ちょっと違う見え方になりかねないということです。

まとめ

というわけで、最後にまとめます。

・「人事=採用」ではない
・人事の扱う領域は広く、その中の1つに採用がある
・人事は何をやっているかわかりづらいので、目立つ採用を人事と思いやすい

私自身、前職で能力開発の部署にいた時は、自分がやっていることが人事の領域であるなんて思ってもいませんでした。

たまたま社員の情報をまとめたエクセルシートを見た時に、自分がやっている仕事が「人事・総務」と書かれていて、「あっ、俺の仕事って人事なんだ」とやっとわかったというレベルでした(笑)

まぁそれくらい人事って一口に言いきれないような、実態がわかりづらいものなんです。

でも、だからこそあなたが今勤めている会社の人事の人たちの仕事を、ちょっとだけでも理解していただければと思っています。

「人事は利益を生み出さないから俺らより給料をもらうのはおかしい」

とか、

「お前が変なやつ採用するから、困るのは現場の俺らなんだよ!」

とか、仮に思ったとしても決して声には出さないでくださいね。私がもし今でも人事の立場だったらたぶんブチ切れてると思います(笑)

人事はとても勘違いされやすく、どんな仕事をしているのか、会社にどのような貢献をしているのかが見えづらいポジションです。

だからこの記事を読んでいただいたあなたには「社員のために地味〜な仕事をやっている縁の下の力持ちなんだな〜」というように思っていただけたら嬉しいです。

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