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マネーフォワードが作るSaaSのグローバルシナジー

株式会社マネーフォワード(以下、マネーフォワード)では2018年より海外企業に対する出資を開始し、パートナーシップを拡大しています。また、単なる出資だけに留まらず、マネーフォワードから出向者を派遣するなど、関係性を深めています。このたび新たに、ベトナムで電子請求書受領管理サービスを展開するBIZZIBOTS PTE. LTD.(以下、Bizzi)への出資を行いました

出資図

↑ これまでのアジア企業への出資実績

今回はマネーフォワードの海外企業に対する出資について、担当の田中さんと永井さんと会話をしました。マネーフォワードが海外に出資する理由や出資のポイント、今回出資したBizziの印象に残るエピソードなど、深掘りしながらお伝えしていきます。

集合写真2

今回話を聞いたお二人

田中 春利(Tanaka Harutoshi) 写真右
コーポレートディベロップメント室/経営企画部 副部長
大学卒業後、SMBC日興証券投資銀行部門に入社。東京本社・米国NYオフィスにて勤務し、国内外の法人・金融機関の資金調達支援に従事。
2018年8月マネーフォワードに入社。経営企画部とコーポレートディベロップメント室を兼務し、海外企業への出資案件などを担当。今年8月から出資先であるインドネシアのMekariへ出向中。

田中さんについてはこちらのnoteもご参照ください。

永井 七奈(Nagai Nana) 写真左
マネーフォワードベトナム COO
2021年1月にマネーフォワードへ入社。海外開発拠点マネーフォワードベトナムのCOOを務める。マネーフォワード入社前から東南アジアを拠点とし、海外拠点の立ち上げに従事した経験有り。今回のベトナムBizziへの出資の際、出資先企業の調査、選定などを担当した。
(聞き手)
菅藤 達也(Kanto Tatsuya)  写真中央
マネーフォワード執行役員CSO/マネーフォワードホームカンパニーCSO
/株式会社クラビス代表取締役CEO
2012年に株式会社クラビスを創業し、同社の代表取締役CEOに就任。2017年11月より、当社グループに参画。これまでアジアを中心に海外での拠点の立ち上げや事業を行った経験有り。

東南アジアのSaaS企業に注目する二つの理由

菅藤:マネーフォワードはこれまでいくつか海外企業に出資してきましたが、全てアジアの企業です。テーマはそれぞれ異なるけど、インドネシア・インド・タイ・ベトナムですね。

田中:そうですね。僕らが特に東南アジアに注力する理由は二つあります。まずは、東南アジアは欧米に比べてSaaS(Software as a Service)型クラウドサービス(以下「SaaS」)の普及率が低いという点です。まだSaaSの黎明期である東南アジアに進出することで、マネーフォワードがこれまでSaaS事業で培ってきた知見を共有しながら、出資先企業の事業成長に貢献できると考えます。

二つ目の理由は、ほとんどが非英語圏であることです。グローバルSaaS企業は英語圏には積極的に展開しています。一方で、「言語の壁」によって進出しづらい非英語圏で、同じ志をともにするアジア発のSaaS同士の結束を強められたら良いなという理想を持っています。

それぞれの海外経験を経てマネーフォワードへ

菅藤:そもそも二人は海外で働いていた経験があるけれど、そんな二人がマネーフォワードに入社したきっかけを聞かせてもらえますか?

田中:学生時代に海外留学したり、社会人になってからも米国で働いていたのですが「日本企業の海外での存在感を高めたい」という想いを持っていまして、海外に向けた事業展開に関われる仕事に関心がありました。さらに、スタートアップにジョインしたほうが事業づくりの段階から経験できると考えて、2018年夏にマネーフォワードに入社しました。初めに配属された経営企画部で、ちょうど海外企業に対する出資案件が舞い込み、グローバルの仕事も任せてもらうことができました。

永井:私はシンガポール、夫がベトナムで離れて暮らしていたこともあって、ベトナムでの仕事を探していた時に、マネーフォワードベトナムの募集に巡り会いました。

転職する時、私はいつも三つの軸を持っています。一つ目は「プロダクト・サービスに共感できること」、二つ目は「カルチャーに共感できること」、三つ目が「成長環境であること」です。マネーフォワードについては、面接前にいろいろと調べていたら、メンバーが書いたnoteや記事が読み切れないほどたくさん見つかりました。私はPRの仕事をしていたこともあったので、メンバーに会社に関する発信の協力をしてもらう大変さを知っていたんです。これだけ多くのメンバーが発信に協力してくれる会社というのは、良い会社なんじゃないかという印象がありましたね。

マネーフォワードと出資先どちらにも嬉しい関係

菅藤:ちなみに、マネーフォワードと海外の出資先企業との関係性においては何が重要だと考えてますか?

田中:まずは、チームのカルチャーフィットですね。マネーフォワードはミッション・ビジョン・バリュー・カルチャー(以下、MVVC)を非常に大切にしている会社です。そのため、MVVCの観点で、どのくらいマネーフォワードとの親和性が高いかは毎回考えるようにしています。例えばインドネシアの出資先であるMekariのミッションは、「すべての企業とプロフェッショナルの発展をエンパワーメントする」ですが、マネーフォワードと近しいと感じています。

永井:私は、出資先とマネーフォワードでWin-Winな関係を作ることができるかと、出資することでシナジーを生み出すことができるかをポイントにしています。今回新たに出資したベトナムのBizziは、主に電子請求書受領管理サービスを開発・提供している会社です。

今まさに世界で、請求書の受け取りという行為自体がアナログからデジタルに移り変わっていて、それに併せて請求書自体も電子化が進んでいます。日本は2023年にインボイス制度が施行されますが、ベトナムはそれに先行する形で2022年7月に電子請求書の発行を義務化する法令※1が施行予定で、政府主導でデジタル化の取り組みが進んでいます。そういう環境の中で、電子請求書の受領管理サービスを提供するBizziからは多くの学びを得られると思います。

また、マネーフォワードでも『マネーフォワード クラウド経費』や『マネーフォワード クラウド請求書』といったプロダクトで培った知見をBizziへ提供できると考えています。

※1 出典:ベトナム社会主義共和国「請求書および文書に関する法律

菅藤:Bizziはまだ20人規模のスタートアップなので、スタートアップをどうやって加速させていくかという知見を提供できたら素晴らしいよね。

永井:そうですね。Bizziのメンバーからは、よく「知見を教えてほしい。スタートアップは“Stupid”なミスをできる余裕はないから」ということを言われます。そのように良い意味での危機感とアグレッシブさを持って取り組んでいる様子を感じる場面が多く、私はいつもシャキッとした気持ちになります。

Bizziメンバー

↑ Bizzi創業者のお二人

菅藤:ベトナムの請求書に関係する状況がどうなってるのか、もう少し詳しく話してもらえますか?

田中:ベトナムでは電子請求書を発行するサービスは乱立しているのですが、送られてくる請求書のフォーマットが異なるので、請求書を受領する側が困っているという状況でした。そこのペインを解消しようとしたのは、Bizziが最初です。

出資を検討するにあたってBizziのユーザー企業にインタビューさせていただいた時、ユーザーの経理部の方から「このプロダクトを使ったことで生産性が向上したので、社外のコミュニティでどんどん紹介しているよ!」という話を聞くことができました。当時まだ創業して1年半だったのですが、ユーザーからの口コミで広がっているプロダクトということはとても魅力があるのだなと思いました

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↑ Bizziが提供しているサービス

マネーフォワードの仲間全員にとってポジティブな関係

菅藤:今後の海外の出資先企業とはどういうことに取り組んでいこうと思ってますか?

田中:出資先とマネーフォワードの2社間の関係だけではなく、究極的には東南アジアで出資しているMekari、FlowAccout、Bizzi、マネーフォワードで「四方よし」となれる関係が理想ですね。同じ方向を向きながら、各企業にとってポジティブな関係にしていきたいと思います。

永井:既に日本を介さずに、海外出資先のプロダクト開発の一部をマネーフォワードベトナムで担うケースが出てきました。出資先の事情にもよりますが、将来的にはこのような人材の交流もさらに進めていきたいなと思っています。そうすることでマネーフォワードもハッピーですし、出資先にとっても喜んでもらえる状況が作り出せたら嬉しいですね。

あとがき

海外に出資する際には現地の知見がどうしても必要になりますが、その点マネーフォワードには海外経験豊富な仲間がいて、パッションを持ちながら日々海外展開を進めてくれています。ベトナムは永井さん、インドネシアは田中さんが中心となって、これからどんどん海外企業とのパートナーシップが強化されていくでしょう。パートナーシップを強化することで、マネーフォワードにとっても出資先にとってもポジティブになるような良い循環を作っていきたいです。

また、2018年に設立したマネーフォワードベトナムは、今年夏にはハノイ拠点もオープンさせ、開発拠点として拡大できてますが、今回のBizziへの出資によってベトナム国内市場に向けて投資フェーズをもう一段階加速させることができました。

田中さんも所属するコーポレートディベロップメント室では一緒に働いてくれる仲間を募集しております。海外への出資やM&Aに興味のある方はぜひご連絡ください!


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