竜成の会

京都在住の能楽師・宇髙竜成(うだかたつしげ)の主催する会です。日本文化である能楽の普及…

竜成の会

京都在住の能楽師・宇髙竜成(うだかたつしげ)の主催する会です。日本文化である能楽の普及・世界発信を目標に活動をしております。当ページでは能の演目の現代語訳や謡の音源を販売を予定しております。公式ホームページ http://www.tatsushige3.com

最近の記事

The 22nd Udaka Seiran Noh no Kai

GREETINGS Last October, after a hiatus of four years, we were able to successfully hold the 21st Udaka Seiran Noh performance thanks to the generous support of many people. We would like to express our heartfelt thanks for their confidence

    • 第二十二回 宇髙青蘭能之会

      第二十二回 宇髙青蘭能之会(せいらんのうのかい)日時 2024/3/17(日) 開場: 12:30 / 開演: 13:30 / 終演: 16:00 会場 金剛能楽堂(京都市上京区烏丸通中立売上る)    市営地下鉄烏丸線 今出川駅 6番出口より徒歩5分     ※駐車場はございませんので、京都御苑の一般駐車場をご利用ください 番組  舞囃子 「熊坂」   シテ 宇髙徳成   笛  森田保美   小鼓 曽和鼓堂   大鼓 谷口正壽   太鼓 前川光範   地謡 金剛龍謹

      • 第二十一回 宇髙青蘭能の会(うだかせいらんのうのかい)

        第21回 宇髙青蘭能之会2023/10/14(土)開場: 12:30 / 開演: 13:30 / 終演: 16:00 於 金剛能楽堂   京都市上京区烏丸通中立売上る   市営地下鉄烏丸線 今出川駅 6番出口より徒歩5分 舞囃子「藤戸」  シテ 宇髙竜成  笛  杉市和  小鼓 吉阪一郎  大鼓 森山泰幸  太鼓 前川光範  地謡 廣田幸稔 廣田泰能 今井克紀 豊嶋晃嗣 惣明貞助 狂言「寝音曲」   シテ 山口耕道   アド 山本善之  後見 桝谷雄一郎  〈休憩2

        • 能「皇帝」に思うこと その14 

          他生の縁と一期一会 第八回竜成の会が開催されてあっという間に半月以上が過ぎた。既にあれから10公演を終え、ようやくここに向き合う事ができた。本当はこの記事も開催までに書き終えるつもりだったが、最後の数日は舞台の準備などで時間が溶けてしまった。でも、こうやって振り返って書く事で、何か見えてくるかもしれない。 他生の縁(たしょうのえん)という言葉がある。能にもよく出てくる言葉だが、いわゆる前世で結ばれた縁の事である。 例えば一本の木の下で雨宿りをしていると隣に知らない人がい

        The 22nd Udaka Seiran Noh no Kai

          能「皇帝」に思うこと その13

          宇髙姉弟 私には姉と弟がいる。姉は能面作家で、弟は能楽師だ。この能楽一家は間違いなく亡父の影響を受けたわけで、父が他界した後も皆一所懸命に跡を継いでそれぞれ活動している。 竜成の会に使用する能面は第一回目から姉の景子が制作をしてきた。今回も全ての使用面は姉の作品になる。 弟は全公演に出演し、制作サイドとしても関わってくれていた。(ちなみに上部の写真「蝉丸」(第七回竜成の会)には姉の打った面「十寸髪」と蝉丸役の徳成が写っている) こういった姉弟で作り上げる公演も竜成の会

          能「皇帝」に思うこと その13

          能「皇帝」に思うこと その12

          亡父の言葉 父でもあり、師匠でもあった故・宇髙通成(うだかみちしげ)は2020年3月28日に実に1年半に及ぶ闘病生活の末、静かに息を引き取った。 その2020年の1月に亡父・通成と私はそれぞれ賞を受賞した。亡父は法政大学より催花賞を、私は京都市から芸術新人賞を頂いた。私が知る限りではこれが父の最初で最後の受賞歴である。授賞式は東京で行われたが、父の代わりに私が式に出席し、父の挨拶文を代読した。その挨拶文は次の通りである。 亡父は幼い頃から能のお稽古を始め、中学生の頃から

          能「皇帝」に思うこと その12

          能「皇帝」に思うこと その11

          能「鉄輪」の使用面 能「鉄輪」は丑三つ時に貴船神社に参詣する女性が登場する。前半は夫に捨てられた女性が苦しみから解放される為に足繁く貴船の宮に参る。後半は神託の告げにまかせて復讐の鬼となる。使用面は前半が「泥眼(でいがん)」後半が「橋姫(はしひめ)」である。 この二面、いずれも眼には金が施してある。(泥眼の名前の由来は眼に金泥を塗っているところから来ている。)それは能面の世界では「生きた人間ではない」キャラクターだというルールだ。何故眼に金が入ると生きた人間ではないのか。

          能「皇帝」に思うこと その11

          能「皇帝」に思う事 その10

          面(おもて)の照り・曇り 能面の事を面(おもて)という。能面は角度によって表情を変える(様に見える)事ができる仮面である。 面には「受け」というのがあって、それは能面の角度で決まる。一番ニュートラルな角度を基準として、下を向くと「曇る」、上を向くと「照る」という。一般的に曇ると表情は曇り、照ると表情は明るくなる。 これは現代の「能楽ワークショップ」における能面の解説の中でも最も“一般的な”解説方法だ。上記のショート動画で一度ご確認頂きたい。 蝋燭の灯りに照らされた能面

          能「皇帝」に思う事 その10

          能「皇帝」に思うこと その9

          フランスでの公演 2019年「木を生きる」フランス公演がレンヌのパイエット劇場と、パリの日本文化会館で上演された。フランスにはいろんな思い出がある。特に飛行機には苦い思い出もある。それはまたいずれお話しする機会もあるかもしれない。 生まれて初めて同じ内容の演劇作品を数日間、時には一日に複数回上演するという経験をした。一期一会をコンセプトにする能楽ではまずあり得ない事だった。普段は稽古も基本一人でやるし、全員で合わせるリハーサル(能では申し合わせという)は基本一度切りだが、

          能「皇帝」に思うこと その9

          能「皇帝」に思うこと その8

          母国語で話すということ 「お前たちは何故英語で話しているのだ」 という問いに、エリックの矜持のようなものを感じた。 「お互いの文化を教え合って、そこにリスペクトがあるなら、その言葉も大事にするべきだ。」 もちろん、それはそうだけども、私はフランス語を話せないし、シモンは日本語を話せない。(二人ともいくつかの面白い言葉は知ってはいたが。)さらにエリックは面白い提案をしてくれた。 「まずはシモンがフランス語でタツシゲに話す。それをタツシゲは自分で日本語に通訳して話して、

          能「皇帝」に思うこと その8

          能「皇帝」に思うこと その7

          シモンとの約束 2008年の最後のお稽古が終わり、シモンはお稽古代を支払おうとした。しかし、その時に私は「お稽古代の代わりに、今度はシモンが僕に演劇を教えて欲しい。」 と言った。半分は気まぐれ、半分は好奇心で、まだ見ぬ未来の約束をした。 その10年後、すっかり忘れていたところに、突然彼からの連絡があった。「京都にあるヴィラ九条山というレジデンス施設に滞在しながら作品を作るのを手伝って欲しい」と言う。偶然にも、その頃に住んでいた家からヴィラ九条山は徒歩15分程のところにあっ

          能「皇帝」に思うこと その7

          能「皇帝」に思うこと その6

          夕暮能「羽衣」 「夕暮能」は2017年9月に伏見稲荷大社で開催された能のイベントで、伏見稲荷の能舞台で金剛龍謹若宗家による「羽衣」と「小鍛冶」が上演された。タイトルの通り時間帯はまさに夕暮れ時で、舞台に差し込む夕陽が天女を照らした。それが“いつも以上に”美しく見えたのだ。天女が頭に頂く冠のかざしがユラユラと揺れるだけで、キラキラとした光が天女から放たれた。そして天の羽衣には、京都画壇の技術でもって描かれた鳳凰の描き絵があった。もうそれだけでうっとりだった。 「これが三番目

          能「皇帝」に思うこと その6

          能「皇帝」に思うこと その5

          五番立てとは 能楽の演目には「五番立(ごばんだて)」というカテゴリーが存在する。次に挙げたのが、その五番立のカテゴリーだ。五番の能を立て続けに行う場合や、二曲以上続ける場合も、この五番立の順序に合わせて行うことが一般的である。 翁(番外) 初番目 脇能物 二番目 修羅物 三番目 鬘 物 四番目 雑 物(狂女物・唐物・遊狂物・現在物・執心怨霊物・準脇能物) 五番目 切能物 翁(おきな) 翁という芸能は能楽の成立よりも古くから伝わるもので、これは一日の公演の中で必

          能「皇帝」に思うこと その5

          能「皇帝」に思うこと その4

          金剛巌先生と皇帝 金剛流の先代御宗家と先々代御宗家は「金剛巌(こんごういわお)」というお名前で、時代を考えると陰翳礼讃の中では先々代の御宗家の事を言及している。 今から100年前に起こった関東大震災の影響で京都に移った谷崎潤一郎が、おそらく金剛能楽堂で見た事を思い出しているのだと推測される。陰翳礼讃が出版されたのが90年前なので、執筆の数年ほど前の事であろう。 楊貴妃の役は子方でもツレでも勤める事があるのだそうだが、この時はおそらくツレだったのだろう。海外のアーティスト

          能「皇帝」に思うこと その4

          能「皇帝」に思うこと その3

          その後の竜成の会 第三回目には「家族」をテーマに「石橋 狻猊之式」を親子三人で勤めた。能面は姉が打った。ロビーには父母のルーツも紹介した。 第四回目は能「谷行」を勤めた。葛城山にいらっしゃる五鬼の子孫、西野初雄さんにお越し頂き、ご縁を繋いで頂いた浅村朋伸氏と三人で対談をした。「谷行」の後シテ『伎楽鬼神(ぎがくきじん・一般には前鬼と言われる役行者の弟子)』は西野さんの先祖にあたる。そう言えば初めて西野さんに会いに葛城山に行った日が偶然にも役行者の命日だった。山を登りながら浅

          能「皇帝」に思うこと その3

          能「皇帝」に思うこと その2

          第二回 竜成の会 ひげ この回が実現したのは奇跡以外のなにものでなかった。ご縁のつながり、そして何より見ず知らずの能楽師の三度に渡る無謀なオファーを受けてくださった谷川俊太郎さんの心意気で第二回竜成の会が開催された。 谷川俊太郎さんの詩の朗読で、グッと惹きつけられた観客の耳に能の謡と大鼓の音色が自然に入っていく。そして狂言のセリフ……「悪太郎」は長い狂言だけれども、集中が途切れる事はなかった(と後で伺った)。そして「鍾馗」……この曲は決してメジャーな演目ではないけれども、

          能「皇帝」に思うこと その2