世界一頭悪くゾウを褒める
コロナウイルス感染拡大防止のために、外出自粛をはじめてからおよそ5ヶ月が経とうとしている。
いまだ感染者が増えていっているこのご時世、どこもかしこも経営が大変なことは容易に想像できる。以前書いた記事のような飲食店をはじめ、交通インフラや観光関係など、そのダメージは計り知れないものとなっている。
マイナスな情報や憶測が飛び交うこの世の中で、何をすべきなのか、何を信じて生きればいいのか、わからなくなっている人も多いだろう。長らく考えた結果、僕はついにその正解を見つけた。
「ゾウ」だ。
「ゾウ」を信じろ。
え? と思う人も多いかもしれない。ゾウから人間が学ぶことなんてあるのかな? ゾウなんて力の強いだけの図体のでかい灰色の獣じゃないの? なんてくすくす笑っているかもしれない。
なめないでほしい。
約1,000年前、中国のとある商人が生涯をかけて書いたとされている「獣事記(じゅうじき)」という書物をご存知だろうか? そこでは、当時中国で飼育、狩猟の対象となっていた動物たちの姿や、情報などが事細かに記されている。
獣事記の一節にこんなものがある。
「見象、人皆頭垂。背丈大灰鼻長、強怖。」
現代の日本語であらわすと
「象を見たとき、人々は皆頭を垂れた。体が大きく灰色で鼻の長いその姿は、めちゃくちゃ強くて怖いからである。」
という意味になる。
そう。象はめちゃくちゃ大きくて強いのである。
漫画『ONE PIECE』にも巨大なゾウが出てくる。巨大なものは人間の心を大きく鷲掴みにし、揺さぶってくる。「巨大なもの」という概念を背負って存在している動物こそがゾウなのだ。
なんてたくましいんだろう。
ゾウだったらこのコロナ禍においても、僕たちとは違いたくましく「パオーン!!!」と鳴いているに違いない。
もう一点、ゾウについてこんな話を聞いたことはないだろうか。
ゾウは人のように仲間の死を悼む生き物でもある。死亡したゾウに仲間が順番に鼻をつけていくといった、葬儀のような儀式を行うのだ。
出典:ゾウは意外と速く走る…大きくて賢い、人に近い頭脳を持つ生き物の秘密|Discovery Channel Japan(ディスカバリーチャンネル)
優しい。
無類の優しさを誇っている。
どんな状況下においても仲間のことを思い、共に気遣い、共に悲しむことができるのだ。ゾウは。
人間の僕たちよりはるかに立派ではないか。
動物園のアイドル的な存在として人気の「ゾウ」。
人間の心の全ては「ゾウ」に集約されているといっても過言ではないのかもしれない。
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