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モノが売れること、モノを買うことについて考える(後編)‖大都会の百貨店よりど田舎の倉庫のが売り上げがいい理由#22_14

結論=モノが売れない!という時代にぼくたちはどうやってモノ売りをするのか?についての話を思いがけず二記事に分けて書いてみた。の後編です。

前編では「好奇心か必要性のどちからでしか動かない」=購買行動に繋がらないよね。じゃあ売り手ってどうするといいんだろうね?っていう話を後半では書いていこうかなぁと。

↑最近はぼく自身が百貨店での出店をする中で「思ったより売れない!!」という課題の渦中にいるのです。笑

それに対してど田舎長野県奈良井宿のぼくたちの拠点である倉庫ではそこそこにモノが売れてるんですね。ここら辺のこともふれてみよう。よし、書いてみよう。どぞ。

↑前半はこちら。どっちから読んでも内容的に大丈夫だと思うです。

あらやだ奥さん。大都会の百貨店よりもど田舎の倉庫の方が売り上げがいいんですってよ?!

名古屋市栄の百貨店さんでの出店風景

そうなんです。驚きの事実!!
実はいまちょうど名古屋市栄の百貨店さん地下二階で出店をさせていただいているんです。名古屋市栄で滞在するのは人生で初めてなんだけど、すっごいたくさん人がいるのね!!どれくらいの感じだろ?新宿駅南口、、くらい??笑

漠然としてるけど、地下鉄栄駅を中心にデパートや商業施設、地下街、飲屋街がずらーーっと伸びていて、昼も夜もずっと人がいるいわゆる「大都会」と言える場所でしょう。

この場所は栄駅と直結している位置にあって、ぼくたちが出店している地下2階は、栄駅から地下街から直接入り込める連絡口となっている場所で、ぼくたちの出店場所はこの入口の目の前にあるんです。つまりは、一等地!!
常に人が歩いているフロアになります。

にも関わらず!!驚きの事実なんだけど、、
この一等地よりも、同日(9月21日-9月24日の4日間現在)からぼくたちの拠点=長野県塩尻市奈良井宿の倉庫 で開催している\倉庫の日/ という、巨大古物倉庫を解放し大売出しをするイベントの方が、現状倍以上の売上となっている?!!んです。

これって一体、何が起こってるんだ??について、考えてみたんですね。

↑古いモノ好きのワンダーランド\倉庫の日/毎月月末5日間開催だよ

そもそも既に食器棚はいっぱいなんだよ!

倉庫に並ぶ食器たち。なんて可愛いんだろぅ、、笑

ぼくたちが百貨店さんでのポップアップ出店を始めて4日が経ち、合計売上は約20万円。\倉庫の日/も4日が経ち(月に5日間だけ開催してる)、合計売上は50万円。\倉庫の日/初日の売上が24万円だったので、、実は百貨店さんの4日間よりも\倉庫の日/初日の方が売上が良いわけです、、笑

じゃあどうしてこのようなことになっているのか??について、ぼくは売り場を離れて(サボっているとも言う)カフェでずーーっと考えていたんですね。

百貨店の地下2階とぼくたちの倉庫は何が違うのか、、??
答えは簡単「必要かどうか?」という点にあるのだと思います。

前編では「好奇心か必要性のどちからでしか動かない」=購買行動に繋がらないよね。ってことを書いてたんだけど、好奇心のワクワクor必要だから!以外で人はモノを買わないんですね。

そう考えると一目瞭然、百貨店の地下にはご高齢の方か、通り道で通りすがる多世代の方がほとんどなのです。\倉庫の日/の次にぼくたちの売上がいいのが「まつもと古市」ここでは1日に5万円以上15万円未満の売上が出ています。

つまり、倉庫や古市には「好奇心でワクワクしながら、ぼくたちの扱うモノを必要としている人が集まるから!」→そもそも購買意欲を持参して買物に来ている!!
ということなんですね。

まつもと古市12月に毎年開催するクリスマスマーケットの風景

もっと簡単に言うと「買う気で来ている!」かどうか。ということ。
ぼくたちは古市以外にもあちこちのイベント出店に参加しているんですが、古市以上に売れるイベントには出逢えていないです。

雰囲気のいいイベントや、人通りのあるイベントであっても、なぜだか売れない。
なんでだろぅ、、??っずーーっと考えてた。

買う気がない人=必要じゃない人が1万人来たって、誰も買わない。っていうことなんですよ。

つまりは、ぼくたちが出店している百貨店の地下は「そもそも既に食器棚はいっぱいなんだよ!」というご高齢の方か、地下1階に「お惣菜や菓子折りを買いにいく目的地が既にある」方の通り道なんだ!!ということの理解が、ぼくたちにはなかったんですね。

↑人がたくさん集まる裕福層が多数存在する都会ではモノが簡単に売れると思っていた田舎人ですごめんなさい、、笑

売る。為に「買う。」と向き合う

じゃあぼくたちは、なにを、いつ、どこで買うんだろう?

ぼくたちが百貨店さんで扱う食器は、ベトナム食器バッチャン焼きや、カナダ買付の西洋ビンテージ食器がメインです。価格帯でいうと、2000円〜5000円程度。
客単価も平均するとこれと同じくらいになります。

価格って不思議ですよね。だって、食器なんて100円でだって買えるじゃないですか。なのに、その何十倍もの価格の食器をぼくたちは売っているし、売れない!なんて言いながら、4日間で20万円分は売れてるんだから。

この「売れない」は、仕入費用/出店費用/旅費などを考慮すれば「売れてない!と言わざるを得ない」というだけのこと。食器棚がいっぱいであっても、目的が他にある通りすがりの人でも、買ってくれてる人もいるんだもの。

じゃあ、ぼくたちからモノを買ってくれた人たちは、なぜ買ってくれたんだろう?
そして、自分はどんなときに、買うんだろう??
この理由について解き明かすことができれば、「売る。」の性質をもっと深く知ることができそうですよね!

百貨店で一番人が多いのはやっぱり地下1階

いくつかの百貨店さんに出店させていただいたんだけど、立地関係なくどこもデパ地下は大盛況!活気があるし、宝石のようなスイーツがキラキラしています。

なのに、2階から上は、、もしかして、、
店員さんの方が多くない?!!という状況。8階催事場なんて、、もう、、笑

百貨店や商業施設の関係の方にお話を伺うと、みなさん口を揃えて「コロナ以後、本当にモノが売れなくなった」「人はいるけど、うちの袋を下げてるはほとんどいないでしょ?」と。ぼくたちに限らず、百貨店全体的に物販は売れてないんです。

それなのに、デパ地下の盛況ぶりはエライこと。飲食店全体の売上は下がっている、けど、お惣菜などのお家で食べるモノの売上は上がっているようですね。コロナのことを考えれば、それはそうだよな!というところでしょうか。

百貨店に人はいないけど外商の売り上げは激増しているらしい

外商=がいしょう/お得意様への個別販売、コンシェルジュ的なお買い物をお手伝いする営業人

先日出店させていただいた地方の百貨店さんの化粧品ブランドの店頭を、暇を持て余していたぼくはぼーっと眺めていたんですね。気づいたことがあって。
いや、うちより暇そうじゃない?と言うか、、お客さん来てなくない?!と。

で、聞いてみたんです。百貨店の人に。
そしたら、外商さんが馬鹿みたいに売るんですって!ぼくも百貨店に出入りするまでのその存在を全く知らなかったんだけど、本当の裕福な人は百貨店には足を運ばないんですって!!外商さんに「こういったモノが欲しいのだけど、いくつか持ってきてくださる?」って電話をしたら、それでしたら!!と百貨店内の品物をがさっとご自宅にお持ちして買っていただくんですって!!(工芸品とか骨董品も昔はそうやって売っていたって聞いたことがある)

場合によっては一度のお会計が1千万を越えることもあるんだそうな。
そう考えると、来店での売上は立たないけど、そういったお得意様や大口にお買い上げいただくのかもしれないですね。町の衣料品店が年に一度、制服や体操着の大量発注だけで食いしのぐ戦略に近いのかも!!

つまりは、来店購入はしないけど、その百貨店に揃えられた百貨のモノから欲しいものを選ぶ(もしくは担当者が設える)という買い方の需要が増している。ということなんですね。

あれ?これって、、ネット販売に近いのかしら??

そう言えば、お店で買うっけ??って考えてみたら、ほとんどをネットで買ってる気がする

田舎での暮らしって不便じゃない?って、移住当時(10年ちょっと前)はよく聞かれたんだけど
「いや、実はそうでもないよ。アマゾンも楽天もあるからね、注文したら翌日2日後には家に届くんだよね。」「もしかしたら買い物に行くより品数も多いから、ネットで買う方が便利かも。なんせ、家に届くしね。」「ネットで買うの?!なんか、クレジット抜かれたりしそうで恐くないん?!」

↑こんな会話をよくしてたなぁ、って思い出した!笑
そう言えば、ネットで買う。が、恐い!って時代って、あったな!!笑

ぼくは田舎で暮らしているので、そもそも食材以外のほとんどはネットで買う暮らしを長野移住後からずーっとしてる。

そうなんですよね、モノ売りをオフラインでしているぼく自身が、買い物のほとんどをネットで済ませている!ということを、今更気づいたんです。笑

それでもオフラインで買う時って、どんなとき??

まつもと古市でお隣になった古着屋flowさんで服買った

✔︎オフラインで買わざるを得ないもの
∟食材や日用品
∟外食時の飲食物
∟オンラインでは販売していないモノ

✔︎オフラインで買った方がコスト効率がいいモノ
∟文具や消耗品など
∟服などのサイズ感や質感などのネットでは得られない情報を持つモノ

✔︎モノに物語や作り手・売り手の存在が関与するモノ
∟作家モノ/作り手売り手との関係性や感情/物語が存在している

↑ぼくがオフラインでモノを買うときはこんなとき。服は出店が一緒になる(関係性のある)古着屋さんから買うことがあったり、地域買取&海外買付なんかは物語の存在はとても大きい。これらは、「人を介在する」ことが購買意欲に繫がっている気がします。それ以外は必要性で買わざるを得ないモノですね。

あとは、経験とか学びに繋がるモノ。自己投資に近い体験などでしょうか。

「お金を使う意味」を問う時代になったんだな

コロナ以後、ぼくたちの社会では「必要性」が最優先事項となった気がします。
余計なものや嗜好性のモノはなんとなく控える。それでいて、現状貧困というわけではないから、何かにお金を使う。物欲が減少したわけでない。
それが、好奇心の最たる趣味だったり(アウトドアだとか)、誰かへの応援だったり(出資や伴走することで自分もその物語に関与する)への出費に繋がるするのだと思います。

「お金を使う意味」を問う時代になったんだな。そんなことを思うんですね。
どこで買ってもいいモノはネットで最安値を探して買う。自分が突き詰めたいモノにはお金を使う。この人に!と思うモノはその人から買う。だから、通りすがりでいままでみたいに可愛い!!と言って「衝動買い」をする機会が減少しているんでしょう。

それらを踏まえての今後のぼくたちはどう、売るか?

(やべーよ、だいぶ端折ってるのに5,000文字超えちゃったよ)
(え?ここまで読んでくれてるの?ありがとう。なんか、ごめんね、、笑)

長々と思考とテキストを散らかし倒したので、そろそろ強引に締めくくりたいんだけどね、、笑
hito.to関係者には、以下業務連絡でっす!!

①基本設計は「好奇心」に訴求する

ぼくたちは、必要性よりも、モノが持つ物語や暮らしになくてもいいのにどうしても所有したくなる!そんなモノを第一義とした、商品ラインナップでに振り切ります!不要であっても嗜好品であっても、「可愛い!」「、、ほしい、、」と思われる好奇心に訴求する商品を揃えます。(なんの為にここまで思考したのか、、笑)

「売れるモノ」だから仕入れる。の、優先順位は上げない。「売れるモノ」を陳列するんじゃなくて、ぼくたちの「世界観」の陳列をする。

それらを販売するぼくたちの好奇心にバシバシ響くモノ!を迎えます。その分、買い取りさせていただく人の暮らしと物語に寄り添って、それを受け継いでくれる(買ってくれる)人に物語をちゃんと語れるようにしていきたいですね。
∟買付→自分たちが売りたい商品以外取り扱わないを、徹底する

②必要とする人がいるなら、ちゃんと届ける

①を優先事項としながら、うちで買いたい!と言ってくれる人が必要な(探してる)モノをちゃんと届けられる設計にしていく。現地に来れない人がいることを理解してオンライン販売をちゃんと始める。この世界にはぼくたちのモノを必要としてくれる人がいるはず!
∟オンライン販売と発信→諸々の未実施タスクをこなす

③売り場にはこだわる

ぼくたちの商品に「好奇心」をもってくれる人と出逢える売り場を自分たちでキュレーションする。最低限の現地調査、マーケティングをさぼらない!笑
都会だからと言って届ける!というアクションをサボらない!!
自分たちでキュレーションして自分たちで営業かける。嘘しかつかない仲介業者とは仕事しない!!笑
∟売る場所→売り場設計/接客などのhito.toの世界観を表現できないところは捨てるor最低コストで実施できる売り場のみを選定

④ブランド化と独自化

今後、海外の食器なんて、仕入値も倍増して検疫も税関も面倒で、破損リスク高くて、それでいて服より高値を付けづらいモノなんて、誰も扱わなくなる!!笑
そうなったら、海外食器の供給は希少性を増すだろうと思っているんですね。

地域古物も、ぼくたちくらいの品数を抱えていて、相場よりはるかに安価なところは希少性がそもそも高い!と思うところ。つまりは、尖れば尖るほど競合の存在を意識する必要もないだろうし、こちらが選べるくらいの引き合いが来ると思う。
(いつか百貨店とか大型商業施設のエントランスでゴミと言われる古物を積み上げてやりますよ。笑)

ベトナム食器のオリジナルデザインのOEM製作と、海外ヴィンテージの輸入を全世界に仲間を募ってやっていく!ことができれば、ぼくたちにしかできない「売り方」に辿り着ける気がするな。と。
ブランド化と独自化、長野県のど田舎から大都会に打って出ていこうと目論んでいます。笑

モノ、技術、感性を「売る。」仲間たちへ

「買っていただく。」じゃなくて「欲しい!!」と言われるモノを創っていくのだ。モノが売れない時代。それには抗いようはないんだけど、それぞれが独自にアクションしたら、きっとこの社会のどこかに欲しい!と求める人が待ってるはず。

その人たちにどうやって届けるか??に、ぼくたちは思考停止するわけにはいかないよね。まだまだ旧態依然の資本主義でピンハネしようとしてる大人たちはたくさんいるぞ!笑
なんだか甘い話を甘い売上予測のデータを持って近づいてくるんだから。笑

ぼくたちはこの半年、そんな大人たちに振り回されながらも、たくさんの学びを得たんです。いい経験だった。でも、もう飽きた。笑
なので、そろそろその経験を糧にして次のフェーズに進もうと思っています。

お互いがんばりましょう。モノが売れないと嘆く先人たちにたくさん学ばせていただきました!と、敬意を払いながら。それじゃない売り方を見出していくんだ。時代は変わる。その時代を、面白可笑しく乗りこなしていきましょうぜ、同志たち。

結論:大都会の百貨店よりど田舎の倉庫のが売り上げがいい理由

\倉庫の日/のポーズです。記念撮影時にはどうぞお使いください。笑

長々書いたことをまとめると、ぼくたちの倉庫は、ぼくたちの「やりたいこと」「売りたいと思うモノ」が詰め込まれているんですね。だから、ぼくたちの思想や哲学からのアウトプットがしっくりきている方たち、つまりはファン(と呼ぶにおこがましいけど)と呼べる人たちが存在すること。(まつもと古市はまさしくそう!毎月の開催を楽しみに待ってる)

それと、自信をもって「うちの倉庫めちゃくちゃ面白いよ!」って、自然と日常的に人に届けるアクションを繰り返してるんだと思います。つまりは、吸引力=引きが強い!

「人と人とを旅したモノの物語」
地域のおじちゃんおばちゃんたちの暮らしと想いが詰まった古物たち。
カナダに移民した人たちが祖国から運んで大切に使っていた食器たち。
ベトナムの職人たちが一つ一つ筆入れをして描がいた焼き物たち。

ぼくたちの扱うモノには、誰かの暮らしの時間と想いが詰まっている。

ほら、覗いてみたくなってきたでしょ♪
ど田舎の倉庫でも、大都会の百貨店でも、オンラインストアでも。
オフラインでもオンラインでも、どうぞぼくたちにアクセスしてみてくださいね♪

2022年9月25日
写真とテキスト:たつみかずき

↑前編はこちらから

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