たつきち

休学2年目の阪大生。

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  • 最大公約数と僕

    相手との最大公約数を探す大学3年生のお話

最近の記事

最大公約数と僕「幸せの絶対値」

インターン面接に向かうまでの電車で、高校時代ほとんど話したことがなかった高橋と偶然再会する。恋人の白川の死をきっかけに高橋はアメリカへと留学。あれから一年が経った頃、高橋から久しぶりにダイレクトメッセージが届いた。 第1話⬇︎ 前回分⬇︎ 1年という年月は想像していたよりも、僕を大人にしてはくれなかった。 ただ学生から社会人という身分へと移行しただけ。この移行ははたから見ると、大きな違いなのかもしれないが、僕個人としてはただの記号の変化にしかすぎない。 ハロウィンの

    • 最大公約数と僕「思い浮かんだ形容詞」

      あらすじ⬇︎ インターン面接に向かうまでの電車で、高校時代ほとんど話したことがなかった高橋と偶然再会する。好印象を抱いていていた高橋とクラスメイトの白川は付き合ったものの、高橋は白川が死んだと言った。白川の死を聞いた日、終電を逃した高橋は僕の部屋へとやってくる。 第一話⬇︎ 前回分⬇︎ 僕の突然の行動に対して、高橋は拒絶することも、抱擁を返してくることもなかった。 ただ先ほど以上に高橋の呼吸は乱れ、鼻をすする音が僕の鼓膜へと届いた。 「あ、このティッシュ使って」

      • 最大公約数と僕「絶対悪」

        あらすじ⬇︎ インターン面接に向かうまでの電車で、高校時代ほとんど話したことがなかった高橋と偶然再会する。好印象を抱いていていた高橋が白川と付き合っているであろう、投稿を目にした。しかし高橋から白川が死んだという知らせを受け、僕はショックを受ける。 第1話⬇︎ 前回分⬇︎ 「ほんまに何も知らんかってんな。さっき綾くんと付き合ったって言ったんやけど、綾くん1週間前に亡くなったんよ」 ーーーーーーーー 21時を越しているからか、この中規模の公園には、今や僕たち2人しか

        • 最大公約数と僕「白川の魔法」

          あらすじ⬇︎ インターン面接に向かうまでの電車で、高校時代ほとんど話したことがなかった高橋と偶然再会する。好印象を抱いていていた高橋が白川と付き合っているであろう、投稿を目にする。変わらない日常を送る僕に、高橋から「今から会えないか」とのダイレクトメッセージが届いた。 第1話⬇︎ 前回分⬇ 久しぶりに紺色の長袖シャツを着て、高橋から指定された場所へと向かう。 先ほどのウォーキング時には感じなかった、微妙な寒さに気づく。そこからは時おり身震いさせながら、一歩ずつ足を進

        最大公約数と僕「幸せの絶対値」

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        • 最大公約数と僕
          11本

        記事

          最大公約数と僕「通知あり」

          あらすじ⬇︎ インターン面接に向かうまでの電車で、高校時代ほとんど話したことがなかった高橋と偶然再会する。高橋と同級生の白川と京都観光をしている最中、柄の悪い男に絡まれるものの、仲間を助けるのではなく、僕は自分を庇う選択肢を取ってしまった… 第1話⬇︎ 前回分⬇ 暑さの折り返し地点を超え、長袖を着るか着まいかいちいち判断するのに困ってしまう季節へと差し掛かった。 この間は京都にて僕が取った行動、そして印象に残った情景をできるだけ思い出さないようにするために、積極的に

          最大公約数と僕「通知あり」

          最大公約数と僕「不甲斐ない」

          あらすじ⬇︎ インターン面接に向かうまでの電車で、高校時代ほとんど話したことがなかった高橋と偶然再会する。高橋と白川と僕で京都観光する最中、柄の悪い男が女性店員に反発しているところを目にする。そんな中、彼らの間に入ったのは、白川だった。 第1話⬇︎ 前回⬇︎ 闘志むき出しの白川。 これほどまでに真剣な白川の顔を見たことはなかった。 ーーーーーーーー 高校時代について思い返してみる。 白川はクラスのどのカーストの人に対しても、迎合することもなく、見下すこともない

          最大公約数と僕「不甲斐ない」

          最大公約数と僕「二等辺三角形」

          あらすじ⬇︎ インターン面接に向かうまでの電車で、高校時代ほとんど話したことがなかった高橋と偶然再会する。高橋が京都観光に僕を誘っていたものだとばかり考えていたものの、僕を誘ったのは白川であった。 ⬇︎第1話 ⬇︎前回 「遅れてごめん!」 高橋は三分遅れで、僕らの待ち合わせ場所へとやってきた。 「全然大丈夫やで」僕がそう声に出そうとする少し前に、「遅れたから、沙良ちゃん、俺とりんりんの二人分アイスおごりな!」と白川は言った。 「え、遅れたんちょっとだけやから許し

          最大公約数と僕「二等辺三角形」

          最大公約数と僕「逆転」

          あらすじ⬇︎ インターン面接に向かうまでの電車で、高校時代ほとんど話したことがなかった高橋と偶然再会する。面接の日の夜、彼女から一緒に京都へ行かないかとダイレクトメールが届くものの、それは2人ではなく、同級生の白川も含めた3人でという意味だった。 ⬇︎第1話 ⬇︎前回 僕が高橋に「なぜ淀屋橋で降りるのか」と聞いたときに、「内緒」と答えた理由。 それは白川と会う約束をしていたからなのだろう。 ーーーーーーーー 確固たる証拠は何一つもないが、恐らく高橋が投稿したスト

          最大公約数と僕「逆転」

          最大公約数と僕「午後3時のコーヒーカップ」

          あらすじ⬇︎ インターンの面接を迎えた今日、高校時代ほとんど話したことがなかった高橋と偶然電車で再会する。その後昼食を共にし、別れ際インスタを交換する。ついに面接2分前、高橋からダイレクトメッセージが届いていた。 ⬇︎第1話 ⬇︎前回 「なんかありがたいなぁ」 彼女から届いた「りんりん、面接ファイト!」という12文字のおかげか、エレベーターが開く時には、心拍数が下がった気がする。 人生で初めての面接。この時には頭でシミュレーションしていた自己PR文なんてものは頭の

          最大公約数と僕「午後3時のコーヒーカップ」

          最大公約数と僕「うどん攻防戦」

          あらすじ⬇︎ インターンの面接のため少し早めに家を出た僕は、高校時代にほとんど話したことがなかった高橋と偶然電車で再会する。すっかり垢抜けていた彼女は電車を降りたタイミングで僕に想像すらしていない言葉を発しようとしていた。 ⬇︎前回分 「なあ、うどん好き?」 電車を降りるやいなや、高橋は真剣と笑顔が6:4の割合で入り混じった表情を浮かべながら僕に問いかける。 「え、好きやで。」この質問を受けた時点で、この後「うどん一緒に食べへん?」と高橋から聞かれる展開が予想される

          最大公約数と僕「うどん攻防戦」

          最大公約数と僕 「線香花火」

          線香花火のような人だった。 120%の激しさを放つ打ち上げ花火のような人じゃなくて。 バチバチと聞こえるか聞こえないかわからない音を出したと思いきや、陰をちらつかせながら、できる限り精一杯の輝きを放出する。 僕がそれらのもの寂しい光にうっとりしている間にポツリと消えてしまう。そんな人だった。 僕はこの人に出会ってから「ずっと」という言葉が嫌いになった。 ーーーーーーーー 愛用していたお気に入りの紺色の長袖のシャツが、暑さで着れなくなるような季節に差し掛かろうとして

          最大公約数と僕 「線香花火」

          最大公約数と僕

          この世には三種類の人間がいると僕は思う。 一種類目は、公約数の概念がない人。 例えば、僕が9という性質を持っているのに、知らん顔をして5を出してくる人。 5を出された僕は痛い気持ちになるが、このタイプの人は僕が痛みを感じていることに気づかないんだ。 ーーーーーーーー 二種類目は、自由に相手の公約数と非公約数を行き来できる人。 僕はこのタイプの人が嫌いだ。だけどいつも惹かれてしまう。多分世の中的にもこの手の人間が短期的にも、長期的にも一番モテるんじゃないかと思う。

          最大公約数と僕

          【幸せになる勇気】「愛する人生を選べ」備忘録

          愛とは二人で成し遂げる課題である。 不可分なる私たちの幸せを築きあげるのが愛。 自立とは自己中心性からの脱却。 相手が自分のことをどう思っているかなど関係なしにただ愛する。 二つの強要し得ないもの、愛と尊敬。 誰かを愛するとは、単なる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である。 我々は他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放される。他者を愛することによってのみ、自立を成し得る。他者を愛することによってのみ、共同体感覚にたどり着く。 我々

          【幸せになる勇気】「愛する人生を選べ」備忘録

          【幸せになる勇気】「競争原理から協力原理へ」備忘録

          共同体感覚は身に付けるものではなく、掘り起こすもの。 アドラー心理学では、人間の抱える最も根源的な欲求は所属感。 私の価値を自らが決定すること、これを自立と呼ぶ。 人と違うことに価値を置くのではなく、私であることに価値を置く。 他者を救うことによって、自らが救われようとする▶︎メサイヤ・コンプレックス 教育とは仕事ではなく、交友。

          【幸せになる勇気】「競争原理から協力原理へ」備忘録

          【幸せになる勇気】「なぜ賞罰を否定するのか」備忘録

          人間の問題行動について、その背後に働く5つの段階 第一段階 称賛の要求 褒めてもらうことが目的 第二段階 注目喚起 人に褒められなくてもいいから、とにかく目立とう 第三段階 権力争い 反抗や不従順 第四段階 復讐 憎悪という感情の中で、私に注目してくれ 第五段階 無能の証明 自分がいかに無能であるか、あらゆる手段で証明しようとする

          【幸せになる勇気】「なぜ賞罰を否定するのか」備忘録

          【幸せになる勇気】「悪いあの人、かわいそうな私」備忘録

          宗教と哲学の最大の違いは、物語の有無。 哲学とは学問というより、生きる態度。 教育とは介入ではなく、自立に向けた援助。 自立という目標を掲げる時、その入り口はどこにあるのか? ▶︎尊敬 尊敬とは人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである。 尊敬とは勇気づけの原点。 具体的には、他者の関心ごとに関心を寄せる。 カウセリングで使用する三角柱 ▶︎悪いあの人、かわいそうな私、これからどうするか

          【幸せになる勇気】「悪いあの人、かわいそうな私」備忘録