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夢の話-副作用の夢-

先日から薬を飲んでいる。
自分と同年代だとぼちぼちいろんな薬を飲んでいるが、何も飲んでいないのがちょっと自慢だったが、あまりに痛くてついに先生に訴えた。
抗がん剤の副作用で手足と口がずっと痺れた感じがしていたが、そこは我慢できていた。
しかし2ヶ月ほど前から足の裏が時々痛くなる。立ちあがろうとした瞬間や、立っていて体重を左にかけた時など、左足の土踏まずの上のあたりが悲鳴をあげたくなるほど痛くなる。
段々とその痛いところの足の甲側も痛いような気になるし、指も痛くなってきた。
整形外科に行ったら「歩き方が悪い」と言われて湿布をもらった。
それでも痛い。
で、定期検査の際に担当医に訴えたのである。(説明長い)

「タリージェ」という薬。ご存知の方もいらっしゃると思います。神経系に作用して痛みを抑える薬。痛みを伝えないようにするという感じですかね。副作用がいろいろありまして、その中でも代表的なのが、眠気とめまいと浮腫。
この眠気が曲者なのです。
抗えない。
いきなり脳が眠ってしまう感じ。
ブラックアウトとも少し違う、頭の中が霧で覆われるというか、もやもやした煙で視界が奪われるというか、普通の眠たいとかいわゆる寝落ちとかと違う感じがするのです。
ブラックアウトという言葉に対してホワイトアウトとでも言いましょうか?
その霧のもやもやの中からいきなり何かが見えるんです。

明るい日の射す店内。窓際のカウンターに何故か若い男性が4人座っている。カウンター席はL字になっていてもっとゆったりと座れるはずなのに4人は窓際のLの短いところにひしめくように座っている。
一番奥側に座っている人は脇もガラス壁になっているので外を見ている。次の彼はマスターに何か話かけている。次の彼はくるりと後ろを向き、椅子に肘をかけて外を見ている。一番手前の彼はそんな他の3人を眺めている。カウンターの中のマスターは白いエプロンをかけているのだけがわかった。

なんだこれ?
それが見えているのが自分の額の辺りからやや上のような気がした。
なんだこれ?
そう思って目を開けると、畳み掛けの洗濯物に手をついて座っていた。
夢って本当に脳が見ているんだ。
そう思った。

神経に作用する薬。痛みを発する異常に興奮している神経に対して、各種の興奮性神経伝達物質の放出を抑制する作用の副作用が奇妙な夢の見せ方をさせてくれるのか?
などと思って少しゾッとするも、少しだけ、ほんの少しだけ、「新しい夢」に期待してしまう自分がいないわけではないのである。

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