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AIが教えてくれる「上司の役どころ」

column vol.962

今朝、経営コラムニスト・横山信弘さん【部下に「ChatGPT」を勧めたらとんでもない事態に! AIの普及で「上司要らず」の世界が加速する?】という記事を読んで、上司の在り方を改めて考えさせられました。

〈Yahoo!ニュース / 2023年3月25日〉

なぜ私じゃなく、ChatGPTに心を開くんだ……!

という言葉で始まる文章。

AIに対して効果的な質問を繰り返し、自己分析をすることで、自分の役割や目標を明確にして、仕事で成果を出すようになる。

そんな「上司要らず」の世界が迫ってきているという話です…(汗)

AIは最高のコーチング役

つまり、上司が行うべきコーチングをChatGPTが担ってくれるわけです。

どんな感じでAIとのやり取りが進行するかを、横山さんの記事を引用させていただき、冒頭部分をご紹介させていただきます。

横山さん(部下):
私はなかなか営業目標を達成できません。そこで目標達成させるための効果的な質問を1つずつしてください。1つ質問したら、私がその答えを書きますので、その答えを読んで、また効果的な質問をしてください。
ChatGPT(上司):
営業目標を達成するために、まず自分自身のやる気を高めることが大切です。そのために、あなたのモチベーションを高めるために、以下の質問をお聞かせください。
1. あなたの仕事にやりがいを感じていますか?何がやりがいを感じさせてくれますか?
横山さん(部下):
目標を達成するとやりがいを感じます。
ChatGPT(上司):
目標を達成に向けて、具体的にどのような行動を取っていますか?自分の行動に対して、どの程度自信を持っていますか?

と、だいたいこんな感じです。

この後、「お客さまのところに定期的に顔を出し、商談している」と答える横山さんに対して、「どんな説明をしているのか?」「それはお客さまにとって何かメリットなのか?」など、どんどん核心に迫る問いを投げかけてきます。

結局、このやり取りは15回程度行われ、横山さんは終了。

そんなやり取りを、このように評していらっしゃいます。

(普通、人間の上司ならば)ここまで根気よく「当たり障りのない質問」を続けられるだろうか

人間ですと、上司は経験があったり、第三者であることから、最初から何となく上司なりの答えを持っています。

恐らく10個以上質問を繰り返す前に「何で気づかないんだよ!」イライラしてしまう可能性は高い…

そのイライラが相手に伝わり、部下もイライラしてくる…

終いには上司がラチがあかないと「だからさぁ!」ティーチングが始まってしまうのです…

時に説教付きで…(汗)

子育てでも「何でこんなことしたの!」という質問の時は、大抵反論(言い訳)に対して「正そう」とする気マンマンなはずです。

一方、AIは常に冷静に淡々と質問(コーチング)によって、本人自身が納得する答えに導いていく

そりゃ…、部下が上司よりもAIに対して心を開くというのも納得させられますね…

「答えは自分の中にしかない」を知る

そして、横山さんはこの記事をこのように締め括っています。

だから、部下が心を開いてくれなかったら、その上司も「ChatGPT」に聞いてみたらいいのである。
(中略)
一回では見つからなくとも、何度でも繰り返していると、必ず発見するはずだ。なぜなら、答えは自分の中にあるのだから。「ChatGPT」の中に、答えなどない

そうなのです、上司も部下も悩みを解決する答え「自分の中にしかない」

それは当然、人間は心の底からそう思ったことしか能動的にやらないということもありますが、課題解決の方法もその人の能力や性格に依るところがあるからです。

例えば、お客さまとのコミュニケーション(交流)を強化していきましょうと部下に伝えても、外交的で饒舌なタイプの人なら積極的に話しかけて心の距離を近づけるかもしれませんし

逆に内向的で口下手な人ならば、相手の隠れたネガティブな感情にそっと寄り添い、傾聴力で心を通わせるかもしれない。

やはり、自分らしく行動した方が良いというわけです。

人それぞれで解決方法は違いますし、その到達レベルも違う

「自分だったら…」「他の部下だったら、もうとっくに…」という思いを抱いてしまうと、相手の部下はコンプレックスを感じてしまうでしょうし…、もれなく反発心も抱いてしまう…

それだと、上司がいることが逆にマイナスになってしまうはずです。

…結局のところ、自分も含めて、できることとできないことはありますし、できるやり方も、できるレベルも、…誰かの理想通りにはなりません

その人を見極めて、現状のベストを目指していく。

まずは、「その人、その人」という前提が上司にないと、上司自身も部下も苦しい思いをするだけでしょう…(涙)

「必ず部下が育つ」上司術とは?

そして、さらに理想的な上司の心得を感じる記事がありますので、そちらも共有させていただきます。

『メンタリング・マネジメント』の著者、福島正伸さん【「必ず部下が育つ上司」が「教えること」よりも大事だと思うもの】です。

〈DIAMOND online / 2023年3月24日〉

必ず部下が育つ上司

この言葉にグッと興味が湧いてきます。

「教えることよりも大事なことがある」とタイトルに書いてありますが、一体何が大事なのでしょうか?

これは福島さんが、あるベンチャー企業の社長さんから学んだことらしいのですが、その社長さんが20代社員の前で話をしていると、皆一生懸命に聞いているらしいのです。

社長さんがその場を去った後、社員の皆さんに「どんな社長さんですか?」と尋ねると

社長からは、学ぶことばかりなんです。今日も何かを学びたいと思って、同行させていただきました」

と、上司が一度は部下から聞いてみたい答えが返ってくるそうです(笑)

福島さんは、早速社長さんに若手社員に対する人材育成のノウハウについて聞いてみたところ、予想外の答えが。

社員から学ぶこと。それだけだよ。最近の若者は、私の知らないことをたくさん知っているんだ。

いわゆるミラー効果の賜物であると、福島さんは分析しています。

部下は自らの写し鏡

ミラー効果とは、相手の振る舞いを鏡(ミラー)に映すようにまねて、相手に親近感安心感を持ってもらいやすくする心理効果のこと。

例えば、人は褒められたら、褒め返すでしょう。

これは返報性の法則でもあるのですが、人は相手の言動に合わせた態度をとってしまいます。

例えば、「職場が暗い」というのは、上司(リーダー)がそういった空気の発信源である可能性が高い…

明るい上司がいる暗い職場ってあまり想像できないですもんね…

ですから、福島さんは職場への不満、部下への不満は、もしかしたら自分の写し鏡であると指摘されています。

「最近の若者は、自分のことしか考えていない。夢がない」
(この上司に夢がなく、みんなに夢を語っていないんだな)

「私の部下は、どうもやる気がない」
(この上司にやる気がないんだな。仕事は辛くて大変なもの、と思っているのかもしれない)

逆に、若手社員が社長から学ぼうとする姿勢は、社長が若手社員から学ぶ姿勢の写し鏡であるというわけです。

ちなみに親子関係も、親が子から学ぼうとすると、子も親から学ぼうとするそうですよ〜

上司も親も、それだけ影響力が強いということですね。

とはいえ、私自身が今、良い影響力を社内に与えられているとは思えないので…、まずはそれぞれの社員の答え(ベスト)を引き出せることをポイントにしていけたらと思います。

特に、ChatGPTで自己問答しようとする社員は相当な自律型社員。

それよりも、自分の答えをまだ探そうとしていない社員に、そのきっかけを与えられるような気づきの種をどう蒔くかを、しっかりと自己問答しながら考えていきたいと思います😊

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