超高齢化社会の期待の星
column vol.905
寒い日が続きますが、高齢化が進む豪雪地帯では除雪などでご高齢の方同士が助け合っているという記事を見かけました。
〈HTB ニュース / 2023年1月23日〉
札幌から車で約1時間の三笠市では、高齢化率46.9%。
約2人に1人が高齢者という町なのです。
日本の少子高齢化は「国家存続危機レベル」と話す方もいらっしゃいますが、この悩みは世界各地でも見られます。
一方で、その課題に立ち向かおうとする企業もある。
ということで、本日は超高齢化社会と言われる今日における希望の星をいくつかご紹介させていただきます。
「介護サービス」を変えるプラットフォーム
まずは、シンガポールの高齢者の介護サービスの「Homage」です。
〈Forbes JAPAN / 2023年1月17日〉
「アジアの介護を変える」と意気込む同社は、パートタイムを含めると約1万5000人の介護スタッフを抱え、マレーシアやオーストラリアに事業を拡大。
期待が集めています。
NPO団体「オーストラリア経済開発委員会」の2021年の報告書によると、同国の高齢者介護業界は今後10年間に少なくとも11万人の労働者不足に直面する可能性があるそうです。
調査会社ガートナーのヘルスケア部門のアナリストのシャロン・ハッケネスさんは、Homageのようなデジタルプラットフォームは、介護サービスへのアクセスを合理化することにより、人材不足の緩和に役立つと太鼓判を押しています。
その注目度は非常に高く、Homageは2016年に設立されてからこれまで多くの資金を調達しています。
その金額は、シンガポールの政府系ファンドのテマセク傘下のヘルケア企業「Sheares Healthcare Group」などから4500万ドル(約58億円)以上にものぼります。
実績も充分で、2018年に進出したマレーシアでは、2020年には3倍の180万シンガポールドル(約1億7000万円)に拡大しています。
損失の方は580万シンガポールから480万シンガポールドルに縮小。
さらに付け加えると、フォーブスアジアの注目企業リスト「100 to Watch」にも選出され、遠隔医療や医薬品のデリバリーなどにも進出しています。
もちろん、Homageでも介護スタッフほ人材不足は課題となっていますが、シンガポールの保険テクノロジー企業「Gigacover」と提携し、全てのスタッフとその扶養家族に医療給付を提供するなど、福利厚生を充実。
プラットフォームへの参加に対して、インセンティブを与えています。
さらに、コロナの打撃を受けたスタッフを経済的に支援するためのファンドを立ち上げるなど、人材確保のための一手を次々と打っています。
今後、日本でも有名になりそうなアジアの企業の1つだと言えるでしょう。
お家の困りごとを解決するフランチャイズ
続いてはアメリカの事例です。
住宅修理などのホームサービス分野で世界最大のフランチャイズ企業「ネイバリー」に注目が集まっています。
〈Forbes JAPAN / 2023年1月9日〉
同社は住宅や商業施設の修復・維持管理・改装を手掛ける30以上のブランドを展開。
アメリカのビジネス誌「インク」が同国で急成長を遂げる非公開会社を順位付けしたランキング「Inc. 5000」2022年版に4年連続で選出されている企業です。
ホームサービスとは、顧客がスキルや経験、機材不足により自分ではできない悩みの解決を請け負うもの。
例えば、配管や電気系統、大型家電の修理など、家にまつわるトラブルに対応してくれます。
「巣篭もり」という言葉に代表されるように、コロナで生活の起点が家に移ったことにより、ホームサービスへのニーズは増加。
しかも、同国ではローンを組む費用が上昇しており、人々は新しい家に引っ越すのではなく、今住んでいる家の改善に投資しているとのことです。
さらに、少子高齢化社会においても、非常に求められるサービスであると捉えています。
我が家のようなDINKsや、未婚の方にとっては老後、自分たちの暮らしをサポートしてくれる存在が必要となります。
私が高齢者になる頃には、家のさまざまなことをサポートしてくれるお手伝いロボットが生まれていて欲しいと思っているのですが、それよりも確実に期待できるのがホームサービスでしょう。
なるべく施設に入る時間を延ばし、自宅で生活したい方も多いはずなので、そういった気持ちに寄り添ったサービスが今後増えていくと良いなと感じています。
その1つの取っ掛かりとして、ネイバーのようなホームサービスの存在が日本でも充実していけば良いと願っております。
捜索・救助支援のスタートアップが誕生
最後もアメリカの事例です。
日本電気株式会社(NEC)の子会社で、新事業の創出を推進する米NEC X,Inc.(NEC X)は今月19日、ドローンを使った捜索・救助支援ソリューションを提供するスタートアップ企業「Flyhound Corporation」を設立したと発表しました。
〈Impress Watch / 2023年1月20日〉
Flyhoundは、NEC欧州研究所が開発した「SARDO」というAI対応ドローン技術を活用し、ドローンで携帯電話の電波を検出。
山や被災地などでの行方不明者の位置を素早く特定できるそうです。
捜索エリアのデジタル地図上で不明者をリアルタイムに表示し、捜索にかかる時間を短縮。
さらに、赤外線カメラを搭載した既存の捜索救助用ドローンとは異なり、樹木や葉、建物などで視界が遮られた場合でも位置を特定します。
ゆえに、地震や洪水による瓦礫が散在するような環境下でも被災者や行方不明者の居場所も予測できるそうです。
同社のCEO 兼 共同創業者、マニー・セルニリアさんは
と語っております。
警視庁の発表によると、1年間で約1万7千の人が徘徊による行方不明者として保護されています。
〈学研 Cocofump / 2023年1月18日〉
行方不明となってから1日が経過すると死亡率が約37%も増加するので、9時間以内に発見できるかどうかが分かれ目となります。
それだけに素早く捜索・発見できる捜索ドローンの誕生は、大きな光を社会に照らしてくれます。
まさに命を救うテクノロジー。
きっと、世界に安心が広がる素晴らしいサービスに成長するでしょう。
他にも、まだまだ紹介したい事例が数多ありますが、本日はこの辺で。
今後もちょこちょことご紹介させていただきますね。
それではまた明日。次回もよろしくお願いいたします。
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