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「育業」という言葉が示すこと

column vol.702

昨日、東京都の小池百合子知事が育児休業の新しい愛称を「育業(いくぎょう)」に決めたと発表いたしました。

〈毎日新聞 / 2022年6月29日〉

「育児もキャリアである」という考えが支持され、8825件の公募の中から選出されました。

これは、私も以前【育児は「次世代人財」への道標】でも語らせていただいた考え方でした。

ということで、本日は「育業」をテーマに、その課題と対策についてお話しさせていただきます。

「ワーク・ライフ・バランス」先進都市とは?

まずはグローバル視点のニュースから。

アメリカのソフトウエア会社Kisiが行った「ワーク・ライフ・バランスがとれている都市ランキング」がありますので、確認してみたいと思います。

1位 オスロ(ノルウェー)
2位 ベルン(スイス)
3位 ヘルシンキ(フィンランド)
4位 チューリッヒ(スイス)
5位 コペンハーゲン(デンマーク)
6位 ジュネーブ(スイス)
7位 オタワ(カナダ)
8位 シドニー(オーストラリア)
9位 シュトゥットガルト(ドイツ)
10位 ミュンヘン(ドイツ)

〈BUSINESS INSIDER JAPAN / 2022年6月1日〉

ちなみに、トップ30の約3分の1ドイツの都市が占めているそうです。

そして1位のオスロについて。

Kisiのデータによると、オスロの労働者は年間平均25日の休暇を取っていて、707日間の有休の育児休暇を取得

リモートワーク医療の質アクセス空気の質も高く評価されたとのこと。

ちなみに、日本では東京が14位。アメリカもトップ10入りを逃しているので、やはりヨーロッパが強いということが分かりますね。

育児は「難易度の高い仕事」である

そもそも、「育業」のように「育児はキャリアである」という考えに立脚すると、「ワーク・ライフ・バランス」の意味合いも変わって見えてくるはずです。

何となく「ワーク・ライフ・バランス」を強く求める人がいると、仕事一本で戦ってきた人からすると「う〜ん…」となりそうですが、家にも「仕事」があると捉えると社会全体での意識も少しずつですが変わっていくように思います。

オフィスと同じぐらい、もしくはそれ以上大変な仕事が家にもある。そう思うと、まず仕事と育児を両立していること自体が神業に感じてきます。

ちなみに、男性の育休取得は増加傾向にありますが、全体の1割強に留まります。

そんな中、東洋経済オンライン【「育児は簡単な仕事」と思ってた彼の育休後の変化】に対して、人気記事として注目が集まっています。

〈東洋経済オンライン / 2022年6月29日〉

育児は基本「24時間勤務」の仕事

まず、育児の大変さは何と言っても「24時間勤務」であるところです。

昔、「24時間、戦えますか?」というリゲインのCMが一世を風靡しましたが、今社内でそんなことを言ったら「ブラック認定」されますよね…?

一方、令和の世にあっても子育て24時間戦わなければなりません

もっと言えば、会社員であれば、体調が悪ければ欠勤することもできますし、何か対応できない業務があっても上司が何とかしてくれる場合もあります。(この辺の有無は会社によるかと思いますが…汗)

しかし、は家族にとっては経営者ですし、なかなか周りに頼みにくい状況…。愛する子に何かあってはとプレッシャーも半端ないでしょう。

実際、男性の育休取得は1割強、夫の家事育児の時間は「1日1時間程度」といるのが現状…。

厚生労働省によると、出産前に働いていた女性のうちおよそ半数が、出産を機に「仕事と育児の両立が困難」として退職しているそうです…。

育児の負担が心の負担に。最悪の事態も考慮

何より「産後うつ」は大きな社会課題であり、自死という最悪の事態を引き起こす要因となります。

特に今はコロナ禍で「子育て」が「孤育て」になりやすい状況。社会全体でこのことの意識を高めないと本当に怖いですね…。

今、私は大阪のとある商業施設で、育児世代のためのコミュニティ広場のオープンに向けて、コンサルティングを行っているのですが、協業してくれているコミュニティデザイン会社の「M-coto」代表取締役、杉山由美恵さんが令和の子育て「子育て3.0」と位置づけ、このように語っています。

輝く未来のために共働き家族が増加し、パパもママも一緒に子育てするのが一般的に。無理なくママも笑顔で社会で活躍するためには、滅私奉公するのではなく、令和流の子育ての事象や情報を正しく理解・整理し、それを自分の言葉で表現、判断する能力をつけ(子育てリテラシー向上)、子育ては賢くシェア(子育てシェアリング)する時代へ。女性がますます活躍する時代においても子育ては持続可能なものでなければなりません(サスティナブル子育て)。

〈M-coto / Webサイト〉

夫が参画することはもちろんのこと、両親や地域の人々も子育てのお手伝いをする。

その中で生まれた「ゆとり」でリテラシーを高め、賢い子育てに繋げる。品川が拠点の会社なのですが、そんな意識を地域活動を通じて広げていらっしゃいます。

東洋経済オンラインの記事でも、産後うつになった妻を救うべく、育休をとり育児の難しさに直面した夫の話が書かれていますが、「産後の母親のサポート」という印象が強い男性育休への意識を変え、「一緒に育てる」社会をつくっていけると良いですね。

頭の"よはく”のつくれる環境づくり

ゆとりを「頭の"よはく”」という表現で語られ、一つの参考になるかと思った記事がありますので、共有させていただきます。

〈マイナビ子育て / 2022年6月29日〉

こちらは、思考の整理家®鈴木進介さん著『本当に大切なことに集中するための 頭の"よはく"のつくり方』をもとに書かれた記事。

いろいろな人の助けがあったとしても育児は大変であることには変わりはない。それを思考のメソッドを使って、少しでも和らげることができるならと思ってのご紹介です。

まず、1つの思考法として

罪を憎んで人を憎まず

という意識づけがあります。

この考えは子育てだけではなく、仕事においても力になってくれます。

人は「コト」に意識が向くと「冷静」になり、「人(相手)」に意識が向くと「感情的」になってしまう。

例えば、脱ぎっぱなしの服がイスの背もたれにかかったままの時、「人」に意識が向くと、「あいつ〜〜」となり、それまでの悪行の積み重ねも相まって、イライラが止め処なく溢れ出てしまうでしょう。

一方、「ここに脱ぎっぱなしの服がないようにする仕掛けは無いだろうか」と思うと、相手のことは一旦置いておいて、コトの解決に意識が向きます。

例えば、イスの背もたれに服をかけるのであれば、背もたれのないイスに変えるとか。どうやったら、脱ぎっぱなしの服を置かないようにするかを考えていくようになります。

これは経営者リーダーの方にもオススメです。

人間は、皆違いますし、人の良し悪しを追求するとキリがない。そして、人は人以上に感情に囚われるものは無いのではないかと感じております。

私も上手くいかない時は、なるべくコトに目を向けるようにしています。

とはいえ、仕事も家事も人に目がいかないなんてことは無いと思いますので、あくまでも「なるべく」ということで本日はご容赦くださいませ。

「育業」という言葉から、どんな社会変化のきっかけが生まれるのか?

今後も注目していきたいと思います。



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