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「真実」と「現実」は、ちょっと違う

column vol.898

変化が激しく予想不能なVUCA時代は、“答えが分からない” 時代とも言えます。

…であれば、自分なりの解を見つけないとならず…、考えるには情報という考えるための材料が必要になります。

料理と同じで材料は良質なものの方が良い。

この情報収集について、3人の著名人が自論を展開する記事が面白かったので共有させていただきます。

タビラボ【2023年のキーワードを読み解く、3人の言葉】という記事です。

〈TABI LABO / 2022年12月26日〉

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の著者で実業家の山口周さん、ホテルプロデューサーの龍崎翔子さん、Voicy代表の緒方憲太郎さん。

それぞれ、皆さんとても素晴らしい視点をお持ちなので、ぜひタビラボの記事を読んでいただきたいのですが、私は個人的に心に響いたポイントをピックアップし、自論を展開させていただきます(笑)

情報源の精査はできているのか?

まずは山口周さんは「ファクトフルネス」を挙げていらっしゃいます。

ファクトフルネスとは、「ファクト+フル」が事実に満ちているを指し、「ネス」は〜な状態を指すので、直訳すれば事実に満ちている状態という意味です。

一般的には先入観や思い込みを排除したデータに基づいた視点、という意味で使われています。

なぜ、山口さんがファクトフルネスを重要視するかというと、収集した情報によっては認識がミスリードされてしまうからです。

「最近、青少年の犯罪が多くなっている…」と聞くと、「そうかも…」と思ってしまう部分もあるかもしれませんが、山口さんは「ピークは1950年代」であると指摘します。

同様に「格差社会、格差社会」と耳にしますが、所得格差をあらわすジニ係数がもっとも高かったのは昭和一桁台の時とのこと。

つまり、この100年で考えると「ピークよりは良くなっている」という見方もできます。

もちろん、犯罪率も格差も今よりも改善することは大切なのですが、“事実を踏まえた上で” という前提も大切です。

「情報の精査よりも、情報源の精査を」

それが山口さんのアドバイスです。

さらに、

政府機関の発表、日本だと日経新聞、海外だと公共放送のBBCや、営利企業ではあるもののウォールストリート・ジャーナルなども信頼できると考えています。日本の報道と海外の報道を見比べるのも良いと思います。

と具体的に信頼できるメディアを挙げていらっしゃいます。

確かに情報の出どころを精査するというのは、大切な視点です。

「対極」を取り入れられるかどうか

龍崎さんは「ダイバシティ」を挙げていらっしゃいます。

龍崎さんは産後ケアのホテル事業を行っているのですが、ご自身は独身お子さんもいらっしゃいません

では、どのように産後ママの期待に応えているのか?

実は難しいことではないんです。SNSなどで、自分とは違う、彼女たちの視点をインストールすることで、解像度を上げているんですね。

自分が当事者でないなら、当事者から聞けば良い

これは「マーケティングリサーチ」と捉えると分かりやすいかと思います。

そして、緒方さんは「バランス」を挙げていらっしゃいます。

子どもの頃「良い栄養を摂らないといい大人にならないよ」みたいなことを言われてきたと思うんです。ビジネスパーソンも同じ。良い情報を摂取しないと、良いビジネスパーソンになれません。ジャンクフードのようなゴシップや刺激的な情報ばかりを摂取していてもダメ。つい食べちゃうんですけどね(笑)

ゴシップ…、分かります(笑)

「ダイバシティ」「バランス」

ご本人とはまた違った視点で語らせていただくと、私はこの2つをミックスして「対極」を取り入れることを重要視します。

これは当社の先代社長で、マーケティングコンサルタントの谷口正和がとても大切にしていた考えなのですが、時折「ニュートラルである自分」を意図的につくっていました。

自分が黒だと思っているなら、あえて白(反対)を肯定してみる。

実はそれを意図しているのがディベートです。

ディベートというと「論破」をイメージしやすいですが、相手に議論で勝つことが目的なのではなく、多様な視点・考えを持つために行います。

当社では、イマジナスという時流分析会議を行なっているのですが、複数人で行うことで、さまざまな視点の情報と考え方が集めます。

ルールは他の人の情報や意見、考えを絶対に否定しないこと。

喩え、自分と主義主張が異なっても全部のっかります(賛成します)

そうすることで、自分でも気づかなかった視点に気づけるのです。

「真実」は1つ、「現実」は無限

よく谷口は人の話を「そうかもしれないけど、そうではないかもしれない」と心で唱えながら話を聞いていたそうです。

例えば、山口さんは「政府機関の発表の情報」を信頼できるソースと仰っていますが、もしかしたら担当者が誤っていたり、もしかしたら…いや、そうは思いたくはないですが…改ざんしている可能性もなくはないと思います…

不完全な人間が提供している情報に100%の正しさは期待できないわけです。

もちろん、100%信頼できる情報はあるのかもしれません。

ただ、それが真実だったとしても「現実」はまたちょっと違うと思うのです。

仮に今ここに貧困で苦しんでいる人に、「昭和初期の格差に比べたら良い方だから」と言っても、「そっか!安心した〜♪ じゃあ、気にしないね〜」なんて言う人は、そんなに多くはないと予想しています。

真実は1つであっても、現実は人の数だけ存在しています。

有名な心理学の理論に「コップの水理論」がありますが、半分残った水を見て「もう半分しかない…」と思う人もいれば、「まだ半分ある!」と思う人もいるわけです。

半分の水という真実は1つでも、悲しい現実嬉しい現実複数が存在しています。

もしかしたら、「何でオレンジジュースじゃないんだ!!」という怒りの現実があるかもしれません。

【「中速車線」が最も遠くに行ける】でお伝えした通り、「感情語辞典」には数多の感情語が存在しているので、それだけ多くの現実があるというわけです。

1つの情報を多様に考える

ということで、どんな情報にも一定の距離感で接することが情報収集では重要でしょうし、1つの情報からさまざまな答えを考えることも自分を広げる意味でも有効だと思います。

もちろん、ニュートラルのままでは車だって動きませんので、方向性を決めてドライブする必要はあるでしょう。

ただ、常にこの道がただ1つの道だと思ってしまえば、行き詰まってしまえば終わりです。

常にさまざまな道があることを意識していると、不慮の事態に遭遇しても回避しやすくなる

24時間のうち、1時間だけでもニュートラルな時間をつくる。

お忙しいのであれば週一、1時間でも良いと思います。

そうかもしれないけど、そうではないかもしれない。

少なくとも、私は情報に対してはそのように向き合っていく…

かもしれませんし、そうしないかもしれません(笑)

ちなみに山口さんの「ファクトフルネス」「きちんと現実を捉えれば、楽観的な事象がたくさんあることに気づくはずだよ」というポジティブなアドバイスですので、念のため最後に付け加えさせていただきますね。

本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

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