ソロ社会に大切な「マッチング思考」
column vol.559
2020年の国勢調査によると、世帯人員別の一般世帯数は単身世帯が2115万世帯で最も多く、2015年の前回調査より273万世帯(14.8%)も増えて、全体の38%も占めています。
日本はすでに「ソロ社会」に切り替わっているですが、これからの時代を豊かなものにしていくためにも、経営コンサルタントの大前研一さんのお考えがとてもヒントになります。
〈マネーポストWEB / 2022年2月5日〉
大前さんは上記の記事の中で、「おひとりさま省」の設置を提言されています。
それぐらい国が力を入れて取り組むべき課題ということですね。
「100年人生」は誰もがソロを受け入れる時代
まず、前提として「100年人生社会」というのは、「誰もがおひとりさまになることを受け入れる必要がある」と言及されています。
未婚率の上昇、格差社会におけるDINKsの増加、そして、寿命が伸びることで死別が増えることが必然になります。
例えばですが、夫婦のどちらかが70歳で病気で亡くなり、もう一人の方が100歳まで元気に生きたら、30年もソロ人生を過ごさなければなりません。
こういう世の中にあって、もちろん今も「孤独・孤立対策担当相」が設置されてはいます。
しかし、孤独・孤立対策は内閣官房に35もある政策担当「室」のうちの1つにすぎません。
大前さんは、「内閣府特命担当相(地方創生、少子化対策、男女共同参画)」「女性活躍担当相」「こども政策担当相」と兼務した上では、どうしたって片手間になってしまうのではないかと疑問を持たれております。
また、昨年の暮れに、電話やSNSによる24時間対応の相談体制の整備や情報発信の推進、地域との「つながり」の場づくりなど重点計画を策定しましたが、それについては、単身者同士をマッチングするビジネスの経済的利点やコミュニティの活性化などを追求すべきではないかと指摘されています。
そこに「おひとりさま省」が専任して取り組んでいく。本気の政策が求められるということですね。
ソロ社会の新しい「シェアハウス」のカタチ
大前さんのアイデアに「義理の里親制度」というものがあります。
これは、子育てが終わって時間や住宅のスペースに余裕があるシニア世代と、子育て真っ最中で共稼ぎの若い夫婦をマッチングさせるという考え方。
子どもが独立すれば空く部屋は増えるので、住居を二世帯またはシェアハウスに変えて、若いファミリーを受け入れます。
若い夫婦はリーズナブルにベビーシッターや幼稚園・保育所の送り迎えなどを頼むことができ、シニア世代は老後資金2000万円問題対策で収入を得られるのでお互いがウィンウィンになります。
私も、かつてのコラム記事でソロ社会のシェアハウスのあり方をご紹介させていただきました。
一つは、不動産を借りにくい高齢のシングル女性と、介護福祉士として働くために来日した外国人女性がともに暮らす大阪の女性専用シェアハウス「コモンフルール」。
そして、もう一つは東京の三軒茶屋にある保護ネコと共存する賃貸住宅「SANCHACO(サンチャコ)」。
ネコ好きで集まるコミュニティハウスでの生活なら、ネコちゃんを飼いたくても飼えない高齢の方でも、一緒に暮らす選択肢を得ることができます。
当社代表の谷口は、これからの社会はまるでクラブ活動のように「好きなこと」で繋がる新しい住まいのカタチ「クラブリビング」が生まれると示唆しています。
もちろん、一人で生活したい方も多くいらっしゃいますので、そういった方には単身世帯をケアするコンシェルジュサービスを充実させていく。
住まいは生活、もっと言えば「人生の拠点」となる場所ですので、新しい発想とそれに基づく住まいのあり方が築かれていくでしょうね。
生涯現役を叶える新しいジョブマッチング
住まいを安心な場所に変えたら、次は収入です。
先ほどの老後資金2000万円問題に触れましたが、生涯現役を目指しても、いつまでバリバリ働けるかは分かりません。
でも、限られた時間で自分のペースで働くことはできるような気がします。
一般的にはモザイクキャリアと呼ばれる働き方ですが、まず最初に頭に浮かぶのがスキルマーケットの「ココナラ」でしょう。
今や副業だけではなく、シニアのモザイクキャリアとしても利用が増えています。
一方、専業主婦として時間を過ごしてきた方の活躍の場となっているのが、「東京かあさん」(株式会社ぴんぴんころり)です。
〈PRTIMES / 2021年12月9日〉
コチラは、熟練主婦と育児世代のマッチングプラットフォームなのですが、登録した「東京かあさん」が個人家庭に訪問し、家事や育児を親子のようにサポート。
ときには料理や掃除のコツを教えたり、主婦経験を活かせます。
上記プレスリリースによると、第三者割当増資により、総額8200万円の資金調達を得たようで、今後はさらなる事業拡大を目指し、全国2800万人とも言われているアクティブシニアに活躍の場を創出いこうとしています。
今後は、さらにシニア向けのプラットフォームやサービスが増えていくでしょうね。
個人的には、先日お亡くなりになりました石原慎太郎さんが、直前まで執筆されていたとニュースで知りましたので、何か書くことを生涯現役で続けられたらと思い浮かべています。
自助、共助、公助を重ねながら、ソロ社会がより豊かなものになっていくと良いですね。
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