「ソーシャルグッド」な世界を目指す
column vol.695
昨日は、テクノロジーの進化も大切ですが、やはり人の想いが理想的な社会をつくっていくという話をさせていただきました。
今日は、その「想い」にフォーカスしたいと思います。
世の中をより良くしたい。
そんな希望を抱いて挑戦している事例をご紹介させていただきます。
「学びの格差」を無くすために
全ての子どもが学びの機会を得て、自己実現に向け挑戦できる社会を目指し、日々奮闘されている方がいらっしゃいます。
認定NPO法人Kacotam代表の高橋勇造さんです。
〈NEWS Collect / 2022年6月13日〉
「虐待や貧困、障害など、困難を抱える子どもたちに学びの場を提供する」
をミッションとし、北海道で、札幌市内や江別市、苫小牧市などに拠点を構え、複数の各教科の学習支援をしています。
他にも料理教室や英会話、自然体験学習、プログラミングなどの体験学習、キャリア学習など様々な学びの場を提供し、環境による学びの機会格差を無くそうと活動しているのです。
もともとは一般企業で仕事をしていた高橋さん。
しかし、「学びの格差」をなくしたいという想いから活動を始め、ついには退社。活動に専念することになりました。
それから10年。さまざまな困難にぶつかりながらも希望の灯火は燃え続けています。
それに10年も経つと、支援していた子供たちが成長し、今では高橋さんの活動ををサポートしてくれる側に回ってきてくれているとのこと。
まさに「善意の循環」。
活動当初は20人だったボランティアスタッフも今ではは200人を超えるなど、着実に同志が増えています。
最近は企業経営も「パーパス・ミッション・オリエンテッド」の時代と言われています。
自社が社会に果たす役割は何なのか?
その想いに人が集まる。
消費、投資、採用など、経営の全てにおいて支持を集めるためには、まずは「理想」が起点になっていくということが高橋さんの活動から学ぶことができます。
なぜ、この会社は存在し、何を果たそうとしているのか?
仮にパーパス・ミッションが曖昧な会社の場合は、「想い」の棚卸しから始めると良いのかもしれませんね。
社会貢献を目指す日本一の「学食」
「善意の循環」という点で、もう一つ良き好事例があります。
「日本一の学食」の呼び声もある東洋大学白山キャンパスの学生食堂が、サステナブルな社会の実現に力を注いでいるのです。
〈共同通信社 / 2022年5月31日〉
この学食を運営委託されているのが、株式会社ORIENTALFOODS。
代表取締役米田勝栄さんは30歳の時、大学の学食の不採算店舗を任され、半年で4倍以上の売上を叩き出した実績を持ちます。
学生バイトを雇って運営にあたっているのですが、若者の伸びやかな発想を取り入れて学食の魅力を高めている経営スタイルに注目が集まっています。
そして、同社の良き取り組み事例として「スマートベンチャー食堂」というものがあります。
具体的には、モバイルでのオーダーやAIを活用した食品ロス・残飯問題の解消、無人レジ導入といった「スマート食堂」、食堂や売店の空きスペースをビジネスに活用し、コンテストなども行う「ベンチャー食堂」、地産地消や子ども食堂など学食を地域と連携させる「FOODFOODプロジェクト」といった3つの取り組みを具現化しつつ、サステナブルな未来をつくり上げています。
そして、この取り組みに参加した学生は社会意識や知識を身につけることができ、社会に出てから、きっとその経験を活かして世に貢献していく。
もしかしたら、自分がそうしてきたことを次の学生世代に体験させたいと思えば、「善意の循環」に繋がっていきます。
そうして、パーパス・ミッションをもった会社が増えていく。
ORIENTALFOODSはその生産基地として社会での役割を果たしていくのかもしれませんね。
会社は「社会の公器」である
最後は誰もが知る有名企業の深イイ話で締めたいと思います。
「マルちゃん」ブランドを手がける東洋水産にまつわる逸話です。
〈ORICON NEWS / 2022年6月13日〉
恐らく、皆さんも一度は口にしたことがあるでしょう「マルちゃん焼そば」に深イイ話があるのです。
発売されてから47年も経つ超ロングセラー商品ですが、この間一切テレビCMを打ったことがないのです。
東洋水産と言えば、「同じ俳優を起用したテレビCMを最も長い間放映し続けている商品」として「赤いきつね」がギネス世界記録に認定されるなど、CM戦略に長けたメーカーとして知られていますが、焼きそばはその真逆の戦略をとったというわけです。
なぜなら、そこには日本全国、町中にあった製麺所への配慮があったからです。
業務用はもちろん、家庭で食される麺の提供もこれらの製麺所が担っていたわけですが、もし同社が派手なCM戦略をとっていたら、製麺所は深刻な事態に陥っていたかもしれません。
東洋水産はこのことを考え、自社利益に走らず、全国の製麺所との共存を目指しながら、家庭での焼きそば文化を育んでいったのです。
創業者である森和夫さんが常々口にしていたのは
「会社は公器」
という言葉。
この哲学は令和の今も引き継がれているのです。
創業者の「想い」に共感し、人が集まり、引き継がれていく。
とても刺激を受ける話です。
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