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ベンチャー企業で実感したティール組織がうまくいかない3つの理由

(Image source: Lean and Agile Adoption with the Laloux Culture Model by Peter Green)

株式会社BLAMの浅川です。

現在、5期目のベンチャー企業で30人ちょっとの組織で人事を含む戦略室の責任者をしています。
会社の説明は以前の記事で記載しているので興味あれば御覧ください。

当時、ベストセラーになった「ティール組織」を読みました。その際に、会社をティール組織とは言わずとも本書で紹介されている「グリーン(家族型)組織」のような組織にしようと考えていました。

しかし、それはうまく行かずに、「オレンジ(機械型)組織」に方向転換をすることで会社組織が活性化し始めました。その過程と理由をここに残しておきたいと思います。

そして、今だから断言できますが、日本のほとんどのベンチャー企業は「オレンジ(機械型)組織」より下、つまり「琥珀(軍隊型)」「レッド(狼の群れ)」が適していると言えます。


ティール組織とは

五重円-1

引用:https://nol-blog.com/what_is_teal_organization/


まず、「ティール組織とは」ですが、多くのまとめ記事が上がっているので割愛します。

が、一言でいうと、組織という概念は時代に合わせて進化をしており、組織フェーズは5つに分かれるというものです。(そこにフォーカスした話になります)

・Red(レッド)組織:個人の力で支配的にマネジメント 【狼の群れ】
・Amber(琥珀)組織:役割を厳格に全う 【軍隊】
・Orange(オレンジ)組織:ヒエラルキーは存在するが、成果を出せば昇進可能 【機械】
・Green(グリーン)組織:主体性が発揮しやすく多様性が認められる 【家族】
・Teal(ティール/青緑)組織:組織を1つの生命体としてとらえる【生命体】

引用:https://www.sbbit.jp/article/cont1/35603 より※比喩のみ【】にて記載

詳細は本や上記の引用記事を御覧ください。

特にわかりやすい要約は下記です。

https://nol-blog.com/what_is_teal_organization/

その際に読んだ感想としては、非常に素晴らしい本で、「ティール組織は無理だとしても、自分たちの会社が強みを活かせるのはグリーン組織(家族型)組織とティール組織の間だと感じ、そこを目指していくことを考えていました。

弊社の状況

当時の弊社は3期目。4名の業界経験者の社員と2名の業界未経験者の社員、アルバイトが4名、インターンが5名+業務委託といったような組織でした。

事業はWeb広告の代理業+新規事業を準備中といった状況。

メンバーもほとんどがリファラル採用で、代表の杉生もとにかく「人」熱いタイプ。さらにITでかつ平均年齢が25,6歳だったので、組織の色を「働き方」にフォーカスすることで、採用自体も非常にうまくいっていました。

事業も確かにうまく行っていました。毎年、成長率は300%。

その時に一番の課題だったのが、新規事業を3年間全く立ち上げられなかったことでした。

代表、副代表を含む、業界経験者4名(セールス経験2名、マーケ経験2名)でWeb広告の事業を回していました。しかし、人を増やし新規事業を立ち上げるために、セールス経験者の代表とマーケ経験のある私が、無理やりWeb広告の事業から離れることになりました。

その結果、どうなったかというと、業績は伸び続け、新規事業の複業マッチングサービス「カイコク」も立ち上げることができたのです。

言うまでもなく、これはWeb広告事業に残った経験者2名の個の力が圧倒的だったことと、未経験者メンバーや他のメンバーが、徹夜してでも事業を守り、お客さんの為に成果を出し続けた結果です。

その際に、私が目指していたのはティール組織とグリーン組織の間でした。


うまくいかない3つの理由

しかし、組織としてすぐに壁にぶつかりました。

最も大きな原因は私と代表が、広告代理業を組織論に合わせて、各メンバーに任せすぎてしまい、ヒアリングさえもしなくなってしまったことです。

結果、どうなったかというとよく分からなくなりました。
そして、新しいメンバーもどうしたらいいのか分からなくなったのです。

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【その時の状況】
経営陣:未来の業績はどうなるのか、誰が成果をあげているのか、目標を達成できない要因はどこなのか?

中間層:どうメンバーを教育したらいいかわからないから、自分でやる。すると、いつの間にか目標が達成できなくなってくるが、対策がわからない。

新メンバー(未経験者):何をしたらいいかわからない。だけど、会社のメンバーは尊敬するし、自分も役に立ちたい。
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つまり、会社のビジョンやメンバーがやりたい・成し遂げたいことに対して、多くのメンバーがどうしたらいいか分からなくなったのです。

ティール組織がはまらなかった3つの理由を記載します。

①成し遂げたいことが会社としてある
②難易度の高い職種が多く、メンバーのほとんどが未経験
③お金が潤沢ではない

①成し遂げたいことが会社としてある
 ティール組織を目指すというビジョンならいいかもしれません。
 また、個人としてそれぞれ、成し遂げたいことややりたいことがある。その踏み台として、全員が理解した上で利用している会社であるなら、とてもよいと思います。しかし、ベンチャー企業と呼ばれる会社はそういう理由でやっている会社は少ないのではないでしょうか。
 成し遂げたいことに対してメンバーが集っていることがベンチャー企業の大前提だと思っています。

難易度の高い職種が多く、メンバーのほとんどが未経験
 いわゆるティール組織やグリーン組織でうまく行っている企業の事例をみていると、比較的職種が接客やブルーカラーに近いものが多くあります。
 多くの企業にとっての組織の拡大時の課題は、経験者の採用又は社内メンバーの教育です。難易度が低い職種に関しては、適切なマニュアルを作成することで価値を出すことが可能です。しかし、難易度が高い業務に関しては教育が必要です。ティール組織においては、この教育という概念が大きく欠如しているように感じます。

 それは、なぜか?というと、アメリカでは日本のような新卒採用や総合職、終身雇用という概念はなく、スキルを身に着けたメンバーが期間限定で会社にジョインする仕組みだからです。

 このメンバーが初めて会う見知らぬ人に教育をするということは、時間を割いて教えるだけではなく、環境を提供する必要があるため、短期的な業績の悪化や、顧客への質の低下を招きます。これを個人のビジョンが集まった組織で成し遂げるのは非常に難しいことです。
 教育はあくまでも会社のビジョンや、会社のメンバーへの共感が前提として必要なのです。

③お金が潤沢ではない
 上記にそのまま繋がりますが、「では教育をせずに経験者や優秀な人だけを採用したらいいのではないか?」という話が出てくると思います。
 その、回答としてはお金がないと難しいということです。
 経験者を採用するには、もし会社に合わない可能性があっても高い給料で採用しなくてはなりません。また、役職を増やしたり、そもそも会社のブランド価値を上げることも必要です。
これらは、収益性という意味ではなく、資金調達することでも可能であり、それこそメルカリさんなどは非常にうまくやられていた印象です。

※弊社の経営陣の能力が高ければ、全て解決できる話かもしれませんが、、といった前提での話です。


今後の組織づくりにあたって

弊社としては、「すごい会議」や「識学」さんの方針を参考にした組織運営や組織図にし、フレックスの時間を短縮したり、リモートワーク全員OKから、ある一定のグレードのメンバーかつ、職種に限定するなどの制限は増えました。

その結果、組織はうまく回り始めました。
それぞれが、何をすべきで、誰がどういう状況なのかをメンバーが理解している。誰が何をしたら、会社にどのようにいい影響を与えられるのかが把握できるようになりましたし、各メンバーも明確になったのではないでしょうか。
また、指揮系統を明確化したことで、無駄なコミュニケーション齟齬は減り、見えなかった課題(金脈)がどんどん明確化してきました。

これらは、前提として「オレンジ組織(機械型)」の組織の施策です。
そして、世の中の90%以上の組織は「オレンジ組織(機械型)」ということに改めて気づかされました。

これらは、どちらがいいという話ではなく、状況によってどちらを取るかという話だと思っています。
もちろん、その枠組から外れるわけではありません。自社がどういうフェーズにあり、それに対しての有効な施策は何なのかということを考えやすくするフレームでしかありません。

ティール組織を目指すことを優先することは非常に価値のあることだと思います。一方で、私達は限られたものの中から、夢を追い続けるベンチャー企業です。

その夢が、第一優先。それ以外は、追うべきではなかったのです。
私達が今考えうる最適解はオレンジ組織とグリーン組織の間だと思っています。

最後に

もちろんティール組織というフレームに関しては今でも、本当に理想の組織形態だと考えています。何度も恐縮ですが、経営陣や私が未熟で気づいてしまった(私達には無理だと感じた)前提で、弊社の経験を記載させていただきました。

最後に毎回終わり方がわからないので宣伝となってしまいますが、「年末年始休暇が終わるのが死ぬほど嫌だ。」という人を少しでも減らすことは弊社のビジョンのひとつだと思っています。(もちろん、私も休みが終わるのは憂鬱です笑)

あ、「年末年始休暇が終わるのが死ぬほど嫌だ。」と思っている方は是非ご連絡ください。
まだまだ、壁だらけですが一緒に乗り越えていけるメンバーを継続的に募集中です。


2020年もよろしくおねがいします!





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