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21XX年プロポーズの旅 あとがき

 初めての方は初めまして、いつもの方はご機嫌麗しゅう。桃之字です。
 連載SF短編小説『21XX年プロポーズの旅』が無事完結しました。

 この記事はあとがきみたいなセルフライナーノーツみたいな、振り返りの記事です。

本編はこちら

はじめに

 2018年10月、逆噴射小説大賞に際して出来るだけ毎日投稿しよう、というチャレンジをしていました(結果として20本近く世界が出来上がりました)。本作はその中の1本から始まった物語です。

 お恥ずかしながら、実は"連載からの完結"は初めての経験なので、今あとがきを書きながら「なんだ……この胸の高鳴りは……」と感情の芽生えに震えるアンドロイドみたいな気持ちになっています。最後に「完」って書くのめっちゃ気持ちいいね。クセになりそう。

 テツもリカコもアーサーも自我が強く、結構好き勝手やりやがるので、これが"キャラが勝手に動く"ってやつか……とか思いながら伸び伸びと書くことができました。特にリカコは膠着状態になった瞬間うまいことぶっ壊してくれる良いヒロインだったと思ってます。お気に入り。

振り返り①:全体

 実はこれちょうどネタ切れを起こした時に書いた作品で、診断メーカー使ってネタを掘り出して1時間で書きました。以前やっていた二刻小説のノリですね。当時出されたお題がこれ↓

もものじは「晴れ」「プロポーズ」「最高の時流」を使って創作するんだ!ジャンルは「SF」だよ!頑張ってね!

 「晴れ」も「プロポーズも」も「最高の時流」も同じじゃね???? と思いながらも筆をとり、40分くらいで400文字書き上げたはず。
 もともと"めっちゃ強いけど見た目がダサい"主人公とか面白いよなーと思っていたので、安直に8本足の宇宙人を主人公に設定。一人称も冴えない感じで”僕”に。「せっかくSFだし宇宙旅行しようぜ!」と行き先を月に設定。

 これは反省点なんですが、400文字で軽くオチをつけたかったので、主人公がタコ型であることを最後に持ってっちゃったんですよね。ただ、今考えると逆効果だった気も。最初から「私、タコ型宇宙人のテツ! こっちはレディのガガ!」みたいにしたほうがインパクト強かったかも。反省。

 この時点では"オクト&レオン"とか指輪の出自どころか、ダイヤモンドリングのことすら全然考えていなくて、単純に「月面でプロポーズする」物語として見切り発車していました。勢いって大事。

振り返り②:"王国"

 その後連載を始めるにあたり「月面でプロポーズする」にしても障害が必要だなぁと考えた時、まず出てきたのが"王国"の設定でした。一話で出てきた黒服の奴らがそれに該当するわけなんですけど、今思えばあいつらなんで黒服着てたんだろうね。まぁそんなこともあるよね。

 "王国"という呼称と7割が砂漠化した地球という設定は完全に脊椎反射で書きました。結構気に入ってます。

 そして"王国"といえば、超絶不幸体質な苦労人、本作の第二の主人公アーサーくん。王子様で騎士団長でってそもそも相当苦労してそうだよね彼。
 彼については、当初はグラブルのパウダオーダさんみたいな"清く正しく美しい騎士団長"みたいなものをイメージしてました。ただ、一人称"僕"のテツとの対比を考えるともう少し荒っぽい方がいいかなーと思い、今の形に落ち着きました。現イメージはグラブルのパーシヴァルさんあたりです。

振り返り③:奇数回・偶数回の視点変更

 お読みいただいた方ならわかるとは思いますが、本作は奇数回がテツ/オクトの、偶数回が"王国"アーサーの一人称視点で綴られています。個人的には結構チャレンジングな挑戦へのチャレンジでした。

 この手法、お互いの見た目の説明や状況整理がやりやすいのは利点でした。一方、せっかく二人の認識のすれ違いを読者に簡単に伝えられるので、もっとテクニカルにやれたかなーという思いもあり、ちょっと反省。その方向性で言うとアンジャッシュのコントみたいなのが理想ですね。

 その反省点はさておき、この物語はとにかく"勘違いやすれ違いが広げてくれた"物語でした。なので、この手法を取って正解だったなーと思ってます。
 気楽に「最高のプロポーズするぜ!」みたいなオクトに対し「悪党が地球を滅ぼそうとしてる」と勘違いしてるアーサー。さらに指輪の効果の勘違いやら、火星の阿呆が敵対行為と勘違いしてくるなどなど。どれもこれもアーサーにとばっちりが行くという。ごめんよアーサー、君に恨みはないよ。

振り返り④:脇役ズ

 ガラハッドとマーリンは最初なんにも考えていなくて、単なる老害爺くらいのつもりでいたんですが、せっかくなので活躍させてみようとガラハッドvsテツ、マーリンvsウーパールーパーの展開に持っていきました。
 特にマーリンがわけわかんないっすねこいつ。筋肉を「魔法」と言い切るの、思い切って使ってみたら読者の皆さんの反応が変わったのでやってよかったなって思ってます。筋肉は魔法。未来においてもきっとそれは変わらない。

 また冒頭にも述べたとおり、リカコはとても良く動いてくれました。テツとアーサーだけだと膠着しそうなところでぶっ壊してくれるパワーがある。彼女も筋肉の塊なのでやっぱり筋肉は魔法。古事記にもそう書かれている。

 一点反省点ですが、爺二人だけでなくリカコも、なんならテツも、「こう見せかけて実はこう」みたいな反転が多かったかなーと思ってます。弱そうに見えて実は強い的な。
 このくらいの長さの短編ならさておき、長編で多用すると飽きられそうな気もするので、今後は気をつけていこうと思っています。

おわりに

 テツのプロポーズの旅は終わりましたが、個人的に"オクト&レオン"の物語はまだまだ続くといいなぁと思っておりますので、そのうちアイデアが降ってきたりご要望があれば続きを書きたいですね。逆噴射小説対象で別のトレジャーハンターものも書いたので競合しないように気をつけねば。
 あでも、同じ題材でも主人公が違えばやることもやりかたも違いそうなので、書き比べるのも面白そうだなぁ。やりたいことは沢山だ。

 さて、そろそろドトールのWiFiが切れそうなので終わります。

 最後に。
 逆噴射小説大賞の時点でスキくれた方、連載中にスキくれた方、こっそり感想送ってくれた方などなど、数々の応援のおかげでモチベーションを保つことができました。とても心強かった。本当にありがとうございます。

 次はアマガサ第2章です。ガンバルゾー


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