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「晴れ間が見える」制作日記 4

 よくきたな🍑

『碧空戦士アマガサ』制作にあたり考え、書き留めたアレコレが発掘されたので、分割して公開していきます。致命的なネタバレになる部分とかは伏せますので、「採れたてホヤホヤ新鮮で公開!」とはいかないことをご了承ください。

 なお、日記の中で出てくる「晴れ間が見える」という言葉は、碧空戦士アマガサの仮タイトルです。

前回はこちら

2018.8.15

 お盆は人が少ないし定時で帰れるしお客さんからの連絡もないから気楽で良い。仕事のタスク的にはいくつか残っているが、まぁ後回しにして今日の日記を書こうと思う。

 全てのものには終わりがある。その「終わり」がポジティブなものかネガティブなものか、というのは、「終わり」を迎える対象物がポジティブかネガティブかに依る。

 例えば拷問のような説教を受けていて(ネガ)、それが「終わる」のはポジティブなこと。推しのアイドル(ポジ)が「終わる」のはネガティブなこと。基本的に「終わり」はネガポジ変換で成り立っている。

 さて、逆説的に、対象物をネガティブなものと捉えれば、その「終わり」をポジティブなものにできる。無理やりにでも。

 言葉で書けば簡単だが、例えば推しのアイドルがいることをネガティブなことと捉えるのは相当にしんどい。多分それは推しのアイドルのポジティブ度が高いからだ。

 じゃあ例えば、「復讐」なんてのはどうだろう。

 自分の家族を殺された主人公が、その犯人に復讐する。復讐を遂げるまでの辛い道のりを乗り越え、やっと復讐を果たす主人公。その「終わり」は、ポジティブなものか、ネガティブなものか? これは人によって答えが変わるだろう。主人公が復讐をポジティブなものと思うか、ネガティブなものと思うかに依って大きく変わるからだ。

 そういう両面性というか自由度のあるテーマを使ってみようと思って、湊斗の戦う理由は『復讐』としてみた。

 復讐。その”終わり”が訪れて、彼は報われるだろうか・・・ということを考えて、ふと、そうじゃないなと思った。

 逆に、彼が報われるにはどうすればいいだろうか、と考えるべきだ。なぜなら、ヒーロー自身は報われるべきだからだ。無償の愛で戦い続けて、そのまま報われることがなく死ぬ。そんな悲しいことがあるか。現実はそう甘くないのはわかっているが、せめて創作の世界でくらい、都合よく報われてほしいと思っている。

 なので、彼には報われてもらわないと困る。

 復讐(ネガティブ)を”終わらせて”、報われる(ポジティブ)。そういう物語設定が必要だ。そのために、どんな終わりが良いかを考えてみる。

 設定に立ち返ると、湊斗が戦う原動力は”復讐”である。怪人にして全ての元凶である雨狐のせいで両親と姉を亡くし【■■■ネタバレになるので伏せます■■■】復讐のために立ち上がり、終わらない(終わりの見えない)戦いに身を投じる。

 彼の心にはずっと”雨”が降り続いている。【■■■ネタバレになるので伏せます■■■】。自分はなにもできなかった。守られただけ。後悔と無力感に苛まれる。

 そんな心の雨を止ませるにはどうすればいいか、湊斗にはわからなかった。だから、彼にとって最もわかりやすい目標である、”復讐”を目的に掲げた。【■■■ネタバレになるので伏せます■■■】そして雨狐の活動が活発になったのに合わせ、自らも本格的に活動を始めた。

 さて、ここまで考えて、終わりの形が”ラスボスを殺す”だったとして、彼は報われるだろうか。答えはノーだ。

 彼の雨の理由はなにも守れなかったことにある。両親だけでなく、病弱だった姉ですらも、彼を守るために死んでいった。彼にとってはそれが最大の後悔だ。もう一度あの時に戻れるならまず身を呈して自分が死ぬだろう。しかしそんなことはできない。

 長年醸造された想いはそうそう晴れることはない。けれど、彼はなんとかしてその目的を「復讐」以外のものに据え直す必要がある。さもなくば報われないからだ。

 ”終わり”の設計が必要だ。

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