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碧空戦士アマガサ 第2章(2)

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(承前)

- 1.相棒(2) -

 道場の屋根の上で、湊斗は胡座をかいて空を見上げている。その視線の先には、開いた状態のカラカサが浮かんでいた。

 時刻は午前8時過ぎ。今日は素晴らしい秋晴れだ。

 カラカサはしばらくの間、空中でクルクルと回りながら『んー』とか『あー』とか呻いていたが、15分ほどで降りてきた。

「どう?」
 カランと着地したカラカサに、湊斗は問いかける。カラカサは自らの傘を閉じると、番傘の姿に変化して湊斗の手元に収まった。

『んーまぁ、60%ってトコ』
「そっか。一応警戒しといたほうがいいね」

 これは、湊斗たちの日課"天気雨予報"だ。
 地脈や妖気の流れを元に、その日どの辺りに雨狐が出現するか検討をつけることができる、カラカサの特技だ。時間帯は割と当たるのだが、場所が大雑把なのが玉に瑕。

 今日の"予報"によると南西の方角、約10kmほど先が出現可能性エリアらしい。
 湊斗は自室として充てがわれた部屋に向かって移動しながら思案する。

「んー、やっぱ晴香さんたちにも伝えたほうがいいかなぁ」
『えー別にいいんじゃない?』
 湊斗の呟きに、カラカサは乗り気ではない様子だ。

『"協力関係"ねぇ。大丈夫なのかなぁ』
「んー」

 湊斗としても、カラカサの心配もわからなくはない。しかし、晴香が副隊長を務めるならばある程度は情報を渡しても良いと、湊斗は思っていた。

「まぁ、晴香さんは信頼できるよ」
『そういうもんかなぁ』
「そういうもんだよ」

 恐らくそれは、共に戦い、そして拳を交えた者同士の間に芽生えた信頼感だと思う。妖怪であるカラカサには伝わりづらいかもしれない。

「それに、一宿一飯の恩義は返さなきゃ」
『律儀だなぁ』
 などと会話しているうちに、湊斗は自室の真上に辿り着いた。

 彼はカラカサを開き、屋根から身を躍らせる。カラカサの妖力によって発生した浮力で、湊斗は宙を泳ぎ、窓から自室へと滑り込んだ。

 そこは四畳半の和室だ。隅に置かれた小さな卓袱台と湊斗の荷物以外はなにもない──いや、扉の下になにか落ちている。

「なんだこれ?」
『メモ?』

 寝てるようなので。起きたら、胴着洗濯するから持って降りてこい。あと今日は休み取ったから、お前の生活用品買いにいく。そのつもりで。晴香

『まぁ……ぶっきらぼうだけど、いい人なのはわかった』

 メモ書きを見て呟いたカラカサに、湊斗は「でしょ?」と笑ってみせた。

 (つづく)


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