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SNSが発達した今だから読んで欲しい本

R.P.G. 宮部みゆき 集英社文庫

宮部みゆきは超大作の模倣犯、ドラマ化もされた火車と現代ミステリーの傑作を数多く出している。しかし、上記傑作も含めページ数が多く敷居が少し高い。そこで宮部みゆき入門としておすすめなのが、このR.P.G.である。ページ数がおおよそ300Pと他作品に比べ少ない。登場人物が他作品から登板しているが、そちらを読まなくても楽しめる作りになっている。何よりラストの衝撃は宮部みゆき最高峰と言っても過言ではない出来である。

あらすじ
ネット上での擬似家族のお父さん役・所田良介が刺殺された。3日前に絞殺された女性と遺留品が共通していたため、警察は両事件を合同捜査で行う。捜査の過程で所田良介の娘・一美が父は時々見知らぬ人物と一緒だったとの目撃証言が得られる。警察は所田良介の擬似家族を集め、一美に面通しを依頼する。

タイトルになっているR.P.Gはロールプレイングのことであり、場面を想定し、様々な役割を演じさせて、問題の解決法を会得させる学習法(作中冒頭より)との意味合いである。R.P.GゲームのR.P.Gも役割を演じるところから来ている。この作品の擬似家族も役割を演じるR.P.Gである。端からみるとごっこ遊びに見えるが本人達にとっては癒しの場所ではないのかとSNSが発達した今たからこそ考えさせられる作品である。

時間と場面展開が限定されているため動きが少ない。ハラハラ感はないがリラックスして読めて、誰が犯人なのか好奇心が抑えられない作品である。

合わせて読みたい本
レベル7 宮部みゆき 新潮文庫
宮部みゆきの初期傑作。長いが読んで後悔しない。


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