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【BAR】空の巣~可愛い子には旅をさせよ~

気がつけば一人娘も高校1年生。入学から数ヶ月、新しい環境になかなか馴染めず、どうなるものかと心配したのも束の間、しっかり順応して高校生活を謳歌している。念願の野球部マネージャーにもなり、部活がオフの日は友人との約束が忙しく、あれだけ家が好きだと豪語していたのに、最近は日中空の巣が基本になっている。

かくいう親鳥も、高校生の頃はまさに同じような時間を過ごしていた。自分の場合は三人兄弟で、兄と妹がほぼ家にいるタイプだったこともあり、家を空けてもそこまで気にされてなかったのだと思う。ただ自分が親になった今は違う。「空の巣」の静けさに、多少の喪失感は否めない。その喪失感を埋めるべく、物分り良く世話焼きな親になることもできるのだが、それも何か違う気がしてならない。

「人生の春」を迎え、巣立ちの準備を始めた雛鳥に対し、「人生の秋(心理学者のユングが【人生の正午】と表現しているものとほぼ同意)」を前に巣に残された親鳥は、もはやセンチメンタルジャーニーでしかない。自分の好きなことや仕事に時間が使えるという点では恵まれた立場かもしれない。けれども「ポカポカ日曜日がいちばん寂しい(※注1)」という曲のタイトルが、これまでになく刺さる時期にいるのも事実なのだ。

自分の世界の中心が変わり始めて、再び自分にも旅立ちの時が来ているということなのだろうか。
ただ、今はその行き先が見つからないから、リビングのソファに座ってnoteを書いている。

「あぁ 牡蠣みたいに柔らかい
   鮑みたいにちょっと堅い
   貝殻まとった人になりたい」

「ポカポカ日曜日がいちばん寂しい 」KAN(2016)

前出の曲の歌詞を眺め返して、ふと目にとまった歌詞の一部。この詞を書いた真意はわからないけれど、自分もそんな人になりたい気はしている。殻をまとったら、次は旅に出るしかない。


※注1…シンガーソングライターKANの16thアルバム「6×9=53」収録曲


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