48 4月1日 その1

ちょうど20年前の春。
高校2年生になる私は、友人と話していた。

新年度の異動でやってくる先生が、友人の幼なじみのお父さんだ、と言っていた。
ただ、何気なく話していたこの会話が、初めて先生の事を知った時だった。

新年度が始まった、4月1日。
春休みも毎日部活で学校に行っていた私は、校舎内をランニングしていた。
校舎と校舎と繋ぐ、渡り廊下を走っていたとき、見覚えのない先生とすれ違った。

それが、はじまり。

別に、このときに、先生の事を好きだとか思ったわけじゃない。
他にも異動してきた先生はたくさんいたのに、何ですれ違ったのは先生だって覚えてるのかもわからない。

「運命」って言えればいいけれど、私の一方的な思いと記憶でしかないから、この言葉は使えない。

はじまりは、エイプリルフール。

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