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ガハハ先生ー人口減少と食料問題#1/5

あれやこれやと考えてることを、ガハハ先生となるほど君、デモネさんの3人の言葉を借りて、並べてみようと思います-ガハハ先生の農業概論-

5月のある水曜日の午後、ガハハ先生の研究室を、なるほど君とデモネさんの学生2人が訪ねた。オンライン主流の中、稀少な週1回の対面でのオフィスアワーの時間だ。

(1)食料需給へのインパクト
ガハハ:いらっしゃい。よく来たね。今日は、人口減少のインパクトと政策課題について、議論しようということだったよね。

デモネ:そうです。人口減少・少子高齢化社会で、食料・農業・農村に色んな影響があること、様々な政策課題があることは、理解したつもりなのですが、非常に幅が広くて、課題相互の関係性、政策の方向性など、消化しきれてないなって感じてます。モヤモヤを解消したくてお時間を頂戴しました。

ガハハ:いつも「そもそも論を大事にしよう」と話しているから、そういう話は大歓迎。でも、理解が進むと、モヤモヤ感は増す可能性もあるよ。物事を単純化しすぎて短絡的になるよりも、モヤモヤしながら問題に向き合い続ける方がずっと良いと思うけどね。今日のテーマは、何を対象として話しているか、お互いに意識していないと「群盲象を評す」ということになりかねない。ひとまず、食料需給に影響を与える構造的な要因を頭に入れながら、その切り口で話していくことにしよう。そもそも、人口が減少するって、どういう意味があるのかな。

なるほど:消費人口が減るという意味がありますよね。日本全体としては、国民への食料供給量は、より少なくても済むようになる。高齢化も進むので、一人一人の食が細くなり、需要量は減りますよね。

デモネ:でも、消費人口の減少は、世界のマーケットでの日本の購買力の低下につながるんじゃないでしょうか。これまで豊かな経済力を背景に、世界中から食料を調達出来ていた訳ですけど。

ガハハ:確かに、品質への細かい要求も相俟って、既に海外での食料の「買い負け」が指摘されているよね。それでは、供給サイドを見るとどうかな。
なるほど:現在でも農業の担い手が少なく、供給力の低下が心配されていますが、さらに、農業に従事する人口が減ることになると思います。作る人が減れば、農産物の供給量も減ることにつながります。

デモネ:それはどうかな。もともと零細規模の農家が多くて、規模拡大出来ないことが、日本農業の競争力の低さの要因だと言われていたよね。スマート農業で、人手のかからない生産を実現し、労働生産性を高めるなら、一概に供給が減るとは言えないのでは?

ガハハ:デモネさん、面白い指摘だね。その点については、後で、しっかり話してみよう。ところで需給以外の面でも、政策対応を語ろうと思うと、人口減少のインパクトを考えるべき点があるんだけど、さて、何だろう。

デモネ:政策対応っていうことは財政の話ですか。納税者が減るから、政策に使える予算が減るということでしょうか。

ガハハ:そのとおり。医療・福祉、教育や防衛などにも、財政支出が必要だから、限られた財源のなかで、どのような食料・農業・農村政策が実行できるのか、常に考えていないと、机上の空論になってしまうよね。二人とも良いポイントを指摘してくれたから、需要、供給の順に話を進めてみようか。
【#2に続く】

出典:農林水産省資料(2013)を基に筆者作成

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