#4 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

点字ブロックを足ツボ代わりに使ってしまうことがありますごめんなさい。no.2です。

#癖に刺さる

私が今回紹介したいのは『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』です。ブレイディみかこさん著で、既に2まで出ているシリーズもの(3も待ち望んでます)になります。イギリス南部に住む、中学生の息子を持つブレイディみかこさんのエッセイなのですが、ただの親目線のエッセイに留まらない含蓄のある作品になっています。

人種のるつぼ

日本に住んでいると体感しにくい1つの問題が、人種問題ではないでしょうか。イギリスの公立中学校では、みかこさんの息子を含め複数の人種が混在しています。アフリカの子だったり、ヨーロッパの他の国(どこか忘れたけど)の子だったり。子どもの社会は大人の社会の影響を受けやすく、イギリスの社会情勢が反映されていきます。そうなるとクラスが社会の縮図になっているわけです。クラスで息子が直面するトラブルを通して、実社会の人種問題を考えさせられる構図がこのエッセイの魅力です。

進行していく格差社会

これは日本でも感じられる話題ですが、イギリスの様相は日本よりももっと露骨かもしれません。緊縮財政の影響で、労働者の町に中流階級が越してきて、子どもの目から見ても明らかな格差が生まれてしまう。町の中でここは労働者の住む建物、ここは中流階級が住む建物と分断が起きていくことは、これもまさに社会の縮図のようです。一人の親として卑近な話しかしてないのに、気付いたら大きな話題まで連れてこられている点は無印・2に共通して言えることでしょう。

息子の言葉

息子の素直な言葉もこのエッセイの大きな魅力です。中学生のフラットな目線から発せられる言葉は、時に大人の凝り固まった価値観に一石を投じるかのような鋭さを持っています。タイトルの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」も息子のメモから引用していますし、母親と息子の間に余計な障壁がないからこそ拾える息子の率直な発言は多くの読者の胸に刺さるのではないでしょうか。

まとめ

住んでる国こそ違うけれど、息子がもつ悩み、母親のもつ課題意識は全世界的に共通しているのではないかと思います。社会の病理は、私たちのコミュニティの根っこにあって、それに対して右派とか左派とか関係なく、もう一回0から考え直すべきなのだと本著を読んで感じました。とても読みやすいエッセイなので、まったく本を読まない人でも楽しく読めると思います!ブレイディみかこさんの他の作品も読んでみたいなあ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?