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伊藤詩織事件の闇

- タクシードライバー証言(本物)との比較-

前回は週刊新潮が初報で伝えたドライバーの証言のインチキをご紹介した。それでは本物の証言と読み比べてみようではないか。以下は検察審査会宛に提出されたタクシードライバーの証言(本物)である。

転載はじめ)→
 (経歴を省略)

 今から2年前ほど前(原文ママ)の金曜日の夜の午後11時過ぎに、恵比寿駅付近から、シェラトン都ホテル東京まで男女を乗せたときのことはよく覚えています。
 2人が車に乗り込んできたのは、恵比寿南の交差点でした(添付地図の●地点)。男性はグレーっぽい背広の上下で、短髪に眼鏡をかけ、あご髭のある方で、印象に残る容貌の方でした。女性の方は、ズボンにブラウスのボーイッシュな感じの服装の方で、美人でスタイルの良い方でした。乗り込んできたときは、2人とも寿司が美味しかったというような話をしており、恵比寿南の交差点の近くに「喜一」という高級寿司店があることは私も知っていたことから、この店で食事をされたのかな、と思いました。男性が手前側、女性が奥側に座りました。

 車に乗り込むと、女性の方が、恵比寿南一丁目の交差点付近で、「近くの駅まで行ってください」と言ってきました。一番最寄りの駅は恵比寿駅でしたが、進行方向とは逆でしたので、「目黒駅が一番近いです」と私が答えました。すると、女性は「それでは、目黒駅に行ってください」と言いました。このときは、男性は何も言わなかったと思います。
 その後、車内では2人は仕事の話をしていたように思います。男性が女性に対して「いくら貰っているの?」とか「もっともらってもいいのではないか」というようなことを言っていた記憶があります。そのようなやりとりから、2人は恋人同士ではなく、仕事上の付き合いなのだと推測していました。
 女性の方は、「厚生中央病院前」の交差点付近でも「目黒駅へお願いします」と言ってきましたので、私も引き続き目黒駅に向けて車を走らせました。このときも、男性は何も言わなかったと思います。

 添付図面の赤字のルートを通って、目黒通りと交差する交差点まで近づいたとき、(転記者注:このあたりでゲロと思われる)私が「そろそろつきますけど」と聞きましたら、男性が「都ホテルに行ってくれ」と言いました。これに対して女性の方は「その前に駅で降ろしてください」と言っていたのですが、男性がさらに「まだ仕事の話があるから、何もしないから」などと言っていました。そのあたりで女性は静かになったように記憶していますが、後ろを振り返っていないため、女性がどのような状態だったかは分かりません。
 このため私は再度男性に、「ホテルでよろしいですか」と確認しシェラトン都ホテルに向かいました。

 目黒駅付近からシェラトン都ホテルには5分ほどで到着し、ホテルの車寄せに付けました。男性の方が料金を支払って、女性に降りるように促していたのですが、女性の方は一向に動きませんでした。
 私も金曜日の夜でかき入れ時だったこともあって、早く降りてもらいたいと思っていたため、なぜ早く降りないのかと思って振り返っていたことからよく覚えているのです。
 その後、男性は女性の体をドア側に引き寄せようとしたのですが、うまく行かず、いったん先に降りてカバンを車外に置いてから、女性の脇に自分の肩を入れ引きずり出すような形で女性を車から降ろしました。その後も、女性が自ら歩いて行くというよりは、男性に抱きかかえられるような感じでホテルに入っていきました。その時はホテルのボーイさんもいて心配そうにしていましたから、その後のことはボーイさんがよく覚えているのではないかと思います。

 二人が降りた後、車を出してしばらくして、嫌な匂いがするのに気がつきました。匂いは、いわゆるゲロの匂いとも違い、お酢の香りと洋酒のフルーティーな香りが混ざったような匂いでした。ひょっとしたらやられたかな、と思って後部座席を振り返って見ると、女性が座っていた後部座席の奥側の席の下に、液状ではなく、消化されていない食べ物がそのまま吐かれているのに気がつきました。

 このため、車の清掃をしなければならなくなり、会社に戻りました。■■■にある会社に戻ったのが午前0時過ぎのことでした。女性が座っていた奥側の後部座席の下のマットとフロアに貼られた布の上にはネタが混ざったご飯が少し消化された状態で吐かれていました。このため、マットを外して洗うとともに、布の部分については消臭剤をかけるなどして入念に掃除をしました。このため、今日はもう終わりだな、と思って仕事から上がりました。
 2人を乗せていた時間はせいぜい15分程度のことでしたが、印象に残る出来事があったことから、当日のことはよく覚えているのです。

 (聴取の経緯を省略)             ←(転載おわり
                        

【まとめ】

上は2017年6月26日付で検察審査会に提出されたものだ。以下の新潮記事(2017年5月18日号)からさほど日は空いていない。なのにこの違い!

>「その女性のことなら、よく憶えています。後部座席の奥側に彼女が座らされていたのですが、男性は彼女に“もっといい仕事を紹介する”と話していました。女性は何度か“駅の近くで降ろしてください”と訴えたのですが、男性が“何もしないから。ホテルに行って”と。それで、結局2人をホテルに連れて行ったのですが、到着しても彼女はなかなか降りようとしませんでした。けれど最終的には彼女は体ごと抱えられて、座席から降ろされたのです」

もっといい仕事→「いくら貰っているの?」とか「もっともらってもいいのではないか」
何もしないから→当人はゲロに動転して何を言ったか覚えていない旨、証言していた。
体ごと抱えられて→抱きかかえられるような感じ

ポイントは言わずもがなゲロだ。週刊新潮はゲロをごっそりカットして報じた。「駅でおろしてください」と「ホテルへ行って」の間にゲロがなければ話が変わってしまう。運転手でさえ走行中のゲロのタイミングは察知していなかったのだから(新潮ほどではないにせよ)リアルタイムでは会話の辻褄がよく分かっていなかったに違いない。何より「寿司が美味しかった」「仕事の話」など会話が成立しており、意識があったことを明確に伝えるものなので乙号証(山口氏側の証拠)でもいいくらいだ。

個人的に気になるのは、「寿司が美味しかった」程度に会話できていた伊藤さんが、運転手の描写によればコートを着ていなかったらしいこと。いくら酔っ払っていても自力で帰宅する気ならコートは着るものではないかな?

タクシー運転手の証言はドアマンの偽証(車から降り、その場でゲロに気づいてドアマンと会話した)を完全に打ち消すものである。ドアマン証言はハウスキーパー同様、証拠能力が乏しいために採用されなかったのは明らかだ。新潮は、そうと分かっているからこそ(ドアマン証言がウソと分かる)決定的なパートをカットして昨年末に報じた。全体像を伝えずに恣意的にストーリーを組み立て大衆を騙す、そうして社会を混乱させる、書かれた人の人権など屁とも思っていない・・・なんと悪質な週刊誌だろう。

さて、新潮の記事を真に受けた小林よしのり氏との訴訟に続いて、対新潮社裁判もいよいよスタートした。トンデモ記事がどのように作られ世に広められたか、法廷で明らかにする時が来た。

新潮社といえば『新潮45』の休刊(事実上の廃刊)騒動が記憶に新しい。誌上で論戦を継続させて議論を止揚させるかわりに、同社はなんと廃刊という暴挙に出た。社長の愚昧な声明とともに崖っぷちにあった論壇を愚かにも背後から突き落としたのだ。もはや論戦など存在せず、あるのは言論ともいえぬ悪口と印象操作のゲリラ戦ばかり。荒廃の一翼を自ら担ったのが新潮社である。せめて廃刊すべきは『新潮45』ではなく『週刊新潮』ではなかったか。

#週刊新潮の捏造記事を糾弾します