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レヴィ・ストロースの"社会"から考えるGive&Takeとタスク管理 3:57:39 12/12 (土)

レヴィストロースは、こんなふうに説明する。そもそも交換のシステム(ないし社会) というものは、人を信頼するところから出来あがっている。一般交換のような「信用取引き」にせよ、限定交換のような「現物決済」にせよ、いつもいつも女性を交換する、定常的なルートを作りだすのが、交換システムの条件である。ところが、父方交叉イトコ婚というのは、ひとつ上(母) の世代での女性の移動の方向を、子の世代で逆転させるものだ。いちど与えた女性を取り戻すことにほかならず、信頼とは対極の、嫉妬・憎悪の表明である。これでは、社会関係をかたちづくるどころか、破壊してしまうほかない。

出典 : はじめての構造主義 橋爪大三郎 Kindle版 位置: 1,171

「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」という本で、成功するのはTaker(奪う人)ではなく、Giver(与える人)という話があります。だからGive&Takeではなく、Give&Giveしようってことです。

冒頭のレヴィ・ストロースの信頼と嫉妬・憎悪の話は、このGiverとTakerの話にも通じるのかな、と思いました。

しかしレヴィ・ストロースは、社会とは信頼するところから出来上がっていると言います。つまりそれはGiveであり、Takeは社会を破壊する方向に導くのです。

社会の起源がGiveであるのなら、Takeの方が社会にとって異質なものになります。

「Giveしたら、次はもちろんTakeだろう」というGive&Takeの考え方は、原初の社会にはなかったのではないか?とわたしは思います。

人間が大きな脳みそを持て余し、「所有」をはじめとする、現実に存在しない、ロジックの上だけに成り立つ、形而上的な概念を次々と社会にデコりまくった結果の産物ではないかと思うのです。

だから、GiveしたらTakeするという考えの方が、現代社会的とは言えますが、不"自然"ではないでしょうか?

ところで、「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」では、相手がGiverかTakerかによって、自分がGiveするかしないか決める、という戦略が推奨されます。

「TakerにGiveするのはコスパ悪いでしょ?リターンないじゃん」という話です。

だけど私は、相手が誰であろうが、自分はGiverで居続ければいいと考えます。

なぜなら、信頼関係とは常に自分の信頼から始まると思うからです。

自分が相手にGiveすることによって、相手も自分にGiveする。

自分が相手をTakerだと思ってGiveしなければ、相手も自分をGiveしない人だと(下手すればTakerだと)認識して、Giveしない。

そう思うのです。

だって冒頭のレヴィ・ストロースが言っていることも同じではありませんか?

相手を信頼することによって、相手も自分を信頼する。だから社会が成り立つ。

相手を嫉妬・憎悪すると、相手も自分を嫉妬・憎悪する。だから社会は破壊される。

相手によって、Giveするかしないか決める戦略はこのように、自分が相手に与える影響を考えていないのです。

要するに自分だけが守られていれば良く、自分のことしか考えていないように見えます。

著者がアメリカ人だからか、アメリカっぽい自己防衛&個人主義的な発想っぽく映ります。「与える人が成功するって言うが、全然、与えてねぇじゃねぇか!守りに入ってんじゃねぇぞ!」とツッコミたくなります。

アメリカの宗教の予言者が言っているように、右のほほを打たれたら左のほほを出しときゃ良いんです。

「社会が維持されようが、破壊されようが、わたしには関係ない。わたしがハッピーであればいいんだ!」

という人は、社会を"自分の周りの人間関係"に置き換えてみてください。自分がGiveできるのは、自分の周りの人間に、だけですから。

自分の周りの人間関係が破壊されている状態で、あなたはハッピーになれますか?

社会=周りの人間関係が破壊された状態で、人は幸せになれないのではないでしょうか?

悩みの9割は人間関係によるもの、なんて話もどこかで聞いたような気もしますし。

信頼する自分をオセロの白い石、嫉妬・憎悪する自分を黒い石としましょう。

隣の黒い石を白くするには、自分が白い石でなければなりません。

隣の白い石に影響されて、黒が白へと反転するのです。

あなたにも、その人があまりに優しすぎるから、自分もその人に優しくなったような経験があるはずです。

一方、隣の石の色の様子に合わせて、自分の色を白だったり、黒だったりに変えていては、いつまで経っても盤面は白一色に変わりません。

盤面(社会=周りの人間関係)を白一色にしたいのであれば、自分が取る行動はひとつ。常に白色であることです。

タスク管理は個人主義の落とし子のようなところもあるので、用法を間違えると、周りの人にまったく、Giveしないタスク管理システムが組み上がることもあります。

前回、話に出した、自分とのアポを取るなんて、まさに守りに入る行動です。このテクニックの英語名称Time Blockingって表現が既に、自分を守ってる感じがするでしょう?

一度、人間は社会の中で生きていて、自分の幸せも社会の影響を受けるかも知れない、という観点で、タスク管理を見直してみるのも良いかもしれませんね。


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