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#14(の裏) 地獄にて1

橋の上で、ドローンを操縦している骸骨がいる。帽子をかぶり、りんごのマークの電子機器に囲まれている。この地獄の風景を、だいぶ高い所から俯瞰で撮影しているようだ。恐る恐る話かけてみた。物静かだが、聡明な感じの人だった。オズさん、という名前らしい。オズさんは、昔、映画の仕事をしていて、生前はかなり低い位置にカメラを据えて撮っていたので、その反動から今はこっちの世界で、すっかり、ドローンにハマってしまったのだという。ドローンのオズさんに映画のことを話すと、ぜひ参加したいと言ってくれた。あと、映画好きの友人に、クロサワ、ミゾグチというのがいるから、彼らにも声をかけてくれるらしい。よかった。これで仲間が増えた。

主人公の美波を、いったい、どの骸骨がやるのか。それが問題だった。だって、見た目がみんなほとんど同じだから。オーディションをしようと思ったのだが、誰が誰だかわからなかった。ふと、血の池地獄を、優雅に背泳ぎしている骸骨がいる。私は思い切って話かけた。ハラさんという名前だそうだ。なんでも生前、女優をしていたこともあるという。聞けば、ドローンのオズさんたちとは、生前、一緒に映画を作っていたこともあるらしい。きめた。美波はハラさんにお願いした。ハラさんの友達で、リュウさんって人がいるから、門司くんをやってくれるらしい。アツミさんって人もいるらしいんだけど、よくフラフラどっかへ行ってしまって、たまにしか帰ってこないから、スケジュールを合わせるのが難しいからやめた。あと、渋そうなケンさんって人には、美術をやってもらうことにした。不器用だって言ってたけど大丈夫かな。他にもたくさんの骸骨がいたけど、まずは、そのメンバーで映画を撮ることにした。

カメラは私のiphone。

メンツはそろった。


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