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感想:知的再武装 60のヒント

①概要

知的再武装 60のヒント
著:池上彰/佐藤優
定価:本体850円+税
発売日:2020年03月19日
ジャンル:ノンフィクション
発行所:文藝春秋

人生で最も役に立つのは、達人が明かす極意です。本書は60の極意から成っています。
人は人生において、二つの大きな転換期を迎えます。一つ目は45歳の人生の折り返し地点です。そこで重要なのは「知的再武装」をすることです。「知的再武装」はよりよく生き、よりよく死んでいくための、人生の必須課題です。
では、「知的再武装」で、何をどう学ぶべきか。その点について、二人の勉強の達人が、秘中の策を惜しげもなく教えてくれる。時間は有限な財産であるから、そこでやってはいけないこともある。それは何なのかも明言してくれます。もちろん、稀代の読書家の二人なので、厳選した読むべき書籍も推薦してくれます。
それだけなら、よくあるガイド本でしかありません。二人が提案するのは、学び直しに当たって、何を準備すればいいのか、いかにして継続させるのかです。そのための方策は細部にわたります。記憶力の上げ方や、映画・小説は当然のこととして、時代劇ですら、どうすれば勉強の対象になるかを開陳してくれます。(以下略)
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166612543

②感想

池上さんも好きだし、佐藤さんも好き。なら、読まないわけにはいかないだろうと思い、手にとりました。
本の帯には「『45歳の折り返し地点』と『60歳の壁』をいかに乗り越えるか。(以下略)」とありました。
私自身が2020年で44歳、社会人生活も折り返し地点ということもあり、気がつけばレジに持っていってました。
中には、耳に痛い言葉がたくさんありました。

・自分の限界を知ることと、何を諦めて何を伸ばすかを見切ることはすごく大事になってくる(佐藤さん)
・繰り返すこと、常におさらいすることが重要(池上さん)
・本当に怖いのは記憶力の衰えではなくて、好奇心の衰え(池上さん)

家庭と仕事の両立を考えると、「好奇心」よりも「今日1日をどれだけ穏便に済ませるか」「自分の体力をどれだけ無駄に消耗せずにいられるか」が大事になってくるので、どうしても好奇心が衰えがちなところがあります。なので、反省するところもありました。
中でもいちばん大きかったのは「終わりがあるから、逆算して切り捨てるものは切り捨てる」ということ。やっぱりこれは難しいですね。
たとえば自分が国際的なところに興味はあるものの、一般常識レベルしか知らない。それを今から掘り下げるとしたら、ちょっと厳しい。
じゃ、切り捨てるか?というと、それもそれで寂しい…といった具合です。
でもお二人がおっしゃるとおり、自分はすでに人生の折り返し地点にいるので、ある程度切り捨てていかないといけないんですよね。

また、この中におもしろそうな本もたくさん紹介されていたのですが、すべての読み切れる自信がないのです…なので、まずはどこから読もうか?というところでなかなか触手が動きません。

ひとまずは、いま読みたいと思う本を読み、そこから「自分が伸ばしていきたいところ」を探すことからはじめようと思います。

③意外にためになったところ

読み進めていて目から鱗だったのは、第五章「いかに対話するか?」でした。
見出しのとおり、「相手との対話には、仕分けが大事(それによって話し方が違う)」という話なのですが、「ちゃんと着替えて、ひげを剃って、1日一度は外に出る」という文脈がとても今のこの自粛モードに合ってるなと思いました。
私も経験しましたが、在宅勤務だと生活のペースが乱れがちです。夜寝る時間はいつもより遅くなるし、化粧はもちろん着替えなくてもいいし、お風呂に入らなくてもいいし、ご飯も適当になってしまう。でもそうなると、知的好奇心がなくなるのはもちろん、ダメ人間になってしまう。
そこには絶対堕ちないように、私は自分を守っていこうと思います(笑)。

補足1:本で紹介されていて読んでみようと思った本・サービス一覧

・太平記(岩波新書/兵藤裕己・校注)
 →現在漫画で「とりかへばや物語」と読んでいて、時代も近いし興味がわいたから
・世界国勢図会
 →本の中でも書かれていたが、各国を客観的に見るのはよさげな気がしたから
・論文の書き方(澤田昭夫/講談社学術文庫)
 →論文の書き方はもちろん、日本人が国際的な場で議論・説得できるまでの心得も記載されてるから。
・私家版 日本語文法(井上ひさし/新潮文庫)
 →助詞のうまい使い方、日本語の受け身表現を使うの多い理由が記載されているから
・ブルーバックスシリーズの本
 →理系の本だが、とてもわかりやすく記入されているらしい。
・KGBスパイ式記憶術(デニス・ブーキン、カミール・グリーイェヴ/水王舎)
 →実際にKGB諜報部員たちが使っている暗記方法が紹介されているらしく、興味があるから(最近もの忘れがひどい・・・)
・ジャパンナレッジ
 →1500冊以上の辞書や辞典が使い放題のオンラインサイト。
  歴史ものを引っ張ってくるには最適らしい。
・社会進化論
 →ダーウィンの生物学的進化論を少しカスタマイズして、「優っているものが生き残る」という理論(by ハーバード・スペンサー)
  帝国主義・人種主義に影響を与えた。
・聖書 ※新訳(発行:日本聖書協会)
 →聖書の翻訳に時代背景が影響されているらしいから。

補足2:見てみようと思った映画一覧

・化身(1986年公開 東陽一監督)
 →返しがおもしろいらしい。

補足3:気になった人一覧

・大宅壮一「1億総白痴化」
 →知識人が減ったという話でした。

その他

本で池上さんが紹介されていた映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」は見たのですが、そのとき勢いで買った原作(沈黙する教室)は、カタカナが多くて挫折したので、あらためて読んでみようと思いました。


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