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Louiszonaインタビュー

TARP参加作家のインタビューを発信していきます。

まず一回目はTARP発起人でもある、Louiszona(ルイゾナ)です。

※今回のインタビューは2020年7月に収録したものです。

聞き手:半袖

【Louiszonaインタビュー】

▼ルイゾナさんは今回のZINE、TARPの発起人ともいえる方ですが、なぜこの時期にモノクロのドローイング、また、複数の作家の参加するものを作ろうと思われたのでしょうか。


えーっと、まず去年2019年に半袖さんとルイゾナで二人展をやった流れで、その続編のような感じで今年もやりたいね、と話していたのが、今のコロナの影響でちょっとまあ延期というか、先延ばしという流れになって、じゃあその中でやれることをやろうということで、ZINEを作る流れになったっていうのが始まりですね。

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( ルイゾナと半袖の二人展、『Promnerd』 ビジュアル )

もともと、ZINEを作りたいというか、複数の人を集めて絵だけのZINEをやりたいなっていうのは、前々から考えていたことで、でまあ、やるならちょうどいいタイミングだろう、ということになって。

モノクロドローイングのZINEにしたのは、あえて制限を設けることで、かえって新しい、面白いものが出来るっていう事があるかと思うんですけど、それが今のコロナの影響でいろいろと制限がかかっている生活、状況とも重なったりとかいう感じも少し頭に置きながら…。普段は色を多用した絵を作っている、ルイゾナとか海老沢竜さんとかっていう人も、モノクロのドローイングっていう縛りで作品を作ったら新しい何かが出来るかもなあ、ということを思いながら、かつ、いつも描線が印象的な絵を描かれている春日井さゆりさんや中村美和子さんにも声をかけて、モノクロのZINEでありながらも色んなスタイルの人を集めて、それぞれの絵描きの色(個性)を楽しめるものになるといいかなあ…という風な感じです(笑)。

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( TARPの絵が集合した様子 )

▼実際ZINEが出来てみて、今、まだ売り出したばっかりだし売上がどうとかっていう話ではないんですけど、作ってみた感じとしてはどうでした?成功だったか、とか。

そうですねえ…まあそんなにたくさん売れてはないですが、いいものができたと思うので、いいんじゃないっすかね(笑)。いや、あの皆さん素晴らしい絵を送っていただいて…半袖さんもこれまでになかったような作風のものが出来たりとか…僕は僕でまあ…、自分の絵については反省しきりですが…(笑)。

ZINEとしては面白いものになったんじゃないかなあと思いますね。

…かなりボソボソ喋ってますけど、これ、録れてんすかね?(笑)


▼わかんないっす(笑)。あとでちょっと聞いてみる(笑)。じゃあ続き…今回、ZINEのタイトルを『TARP vol.1』としていますが、今後シリーズとして刊行を続けていく予定だったりはするんでしょうか。


そうですね、続けていきたいですね。ZINEとしての参加メンバーは変わるかもしれませんし、もし変わったとしても、今回参加していただいてる方々とは、今後も何かを一緒に作ったり展示をしたりとか、っていうことで、つながっていければと思ってます。

タープっていうのは、屋外に屋根だけの布を張るタープテントから来ている名前なんですけど、陽射しや雨から逃れながら集ってくつろぐ、ピクニック的な空間だったり時間だったりをイメージしたもので…、なので、そんな感じで、やんわりとしたつながりで、あくまで風通しよく、定期的に続けたいと自分は思ってますね。


▼今回作ったことで、TARP以外にも、編集したり、本とか作品集を作ったりみたいな、そういう可能性も増えたかと思うんですけど…


そうっすね、やっていきたいですね。とりあえすルイゾナZINEは作る予定でいるので…はい、ComingSoonです(笑)。

※インタビュー収録から数ヶ月経ち、ルイゾナZINE完成しました!TARPのグループ展で販売します。

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( ルイゾナのZINE、『破片たち』表紙)


▼ルイゾナさんの作品といえば、これまで私が見てきた中だと、フォトショップやエアブラシといった、デジタルもアナログも織り交ぜた様々なツールを重層的に使って制作されてきたという印象があるのですが、モノクロドローイングという、アウトプットの幅が非常に限られた中で、今回もそういった手法上の工夫みたいなことはされてたんでしょうか。


うーん。自分の意識としては、やっていることはそれほど変わらずで、古い印刷物とかをデジタル上で加工して作ったイメージを下絵とした上で、手描きでドローイングっていうものにしているんですけど、その点、デジタルとアナログを混ぜて、ごちゃまぜにするというか、行き来するという感じはいつも通りで、わりとまあ普通にやった、ていう感じなんですけど、うん。


▼じゃあ、今回モノクロドローイングだから、ということでとくに悩んだりとかそういうことはなかったと。


そうですね、昔デッサンの勉強をしてた時のことを思い出したりしながら、その、木炭とか鉛筆で描いたりっていうのを思い出したりしながら、っていうのはやってましたけどね。

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( TARP収録のドローイング )

▼たとえば今回、鉛筆とペンを同じ絵の中で使ったりされてますけれども、そういうのはやっぱり意識されてた?


あーそうですね、それは意識的にやりましたね。パキッとした描線と、鉛筆のぼやっとしたトーンを混ぜたりっていうのはまあ、やってみましたね。自分ができることの中でバリエーションを出したつもりです。


▼今回、表紙も入れると9点の作品を描かれてますけど、掲載の作品に一貫するテーマなどがあれば教えてください。


手法としては、デジタルとアナログを行き来して作ったっていうのは、ひとつ一貫して言えることだと思います。で、内容的には、イメージ全体が歪んでいたり、揺らいでいたりするものが多いと思うんですけど、それは、普段生活していて、なんか例えば…交際相手と別れたとか、身近な人が死んだとか、もしくはもっと些細なことであっても、様々な体験をすることで、それまで自分の中にあって当然と思っていた認識が変わったりとか、それまでの生活が崩れたりとか歪んだりする、っていうことが誰しもあると思うんですけど…、そんな感じで、世界の見え方とか認識が歪む瞬間みたいなものをイメージして、作っているもの、です。こういうことは、前からやっていて、まあ既存のイメージを画像加工で歪ませてるのは、ふざけ半分ではあるんですけど(笑)。

それで、今はコロナの影響で、さっき言ったような生活の歪みが誰しもに起こっている状況だな、みたいなことも少し思っていて、これまで当たり前だった生活が変わって…いま新しい生活様式とか言われてますけど…その歪みを誰しもと共有できてしまう状況下で、自分の絵がどう見えるか、ということは少し考えながら制作しましたね。


▼作風も含めて、いつも、すごくロジカルな考え方をされる方だと思っているのですが、制作する時、どういったアプローチで発想を膨らませていきますか?


最初はなんとなく思いついたアイデアを元にして、何を描くか、何で描くか、どうやって描くかっていうのを気分で決めて、とりあえず下絵だったり、イメージ図みたいなのを描いたり、画像加工で作ったりしてみます。それで、できた下絵はいったん寝かせておくというか、保留にして、他の下絵を作ったり、日常生活をしながら、なんで自分がこれを作ってるのかとか、社会との関係とか…、いろいろ考えたりしつつ、その絵と自分と他人(絵を見る人)との繋がりというか、関係みたいなものを念頭において、編集していくっていうか…組み立てていく、という作り方だと思いますね。


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( 2019年の二人展『Promnerd』で展示した絵 )


▼なるほど~。コロナ禍について思うところはありますか?生活や制作で、影響を受けたりなどはあったでしょうか?


うーん。どうだろうな…少なからず、なくはないとは思うんですが…自分個人の生活だったり作品に関しては、すごく大きな変化はないかなとは思いますね。元々インドアだし、あまり積極的には人と会わないんで(笑)。あんまり苦ではないですけど、通ってた銭湯に行けてないのはつらいです。

制作については、自分の絵のことではありませんけど、TARPを作ったことがやっぱり一番大きいんじゃないでしょうか。多分コロナの影響がなかったら出来てなかったものだと思うんで、それは、まあ前向きに捉えていいかはわからないんですけど、コロナの影響があったからこそ出来たものだとは思います。


▼有名・無名を問わず、影響を受けた作家、人に紹介したい作家などがいたら教えてください。


HIPHOP音楽に影響を受けた部分が大きくて、自分は音楽は作らないんですけど、HIPHOPが十代のころから好きで、HIPHOP以降の音楽の作り方とかに、強く影響を受けてます。

HIPHOPのトラック制作の過程が見れるものとして、tofubeatsさんらがやってたHARD-OFF BEATS(※)がおもしろいので、未見の方にはお勧めです。

(※決められた予算内でハードオフのレコードを買ってサンプリングのみで曲を作る企画 https://youtu.be/YWoB2la9sBg)


▼ルイゾナさんが思う、「TARPの見どころ」は何でしょう?


見どころですか。やっぱりそれも、HIPHOP好きなんで、マイクリレーみたいな感じで。マイクリレーって、一つの曲の中でいろんなラッパーがラップしながら、一つのトピックのことをそれぞれ言ったり、関係ないことを言ったりしていくっていうのがありますけど、そのような感じで、一つの冊子の中にいろんな個性が入っていて、その流れだったりっていうのが、見どころだと思います。


▼最後に何か、一言(もしあれば)。


ひとこと…(笑)。なんすかね。買ってください、ですかね(笑)。いや、なんか…、これは(インタビューに)入れなくていいと思います(笑)。


▼了解です(笑)。今日は、ありがとうございました。

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( Louiszona 近影 )

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